ジロ・デ・イタリア第13ステージ:総合バトルついに勃発!大逃げのザッカリンが一気にログリッチに迫る!ランダとカラパズのモビスターコンビもアタックでタイム挽回!ニーバリまたもログリッチに苛立ち
ついに始まった山岳バトル、事前の予想ではこの過酷なステージ単独でも今大会の優勝争いが一気に決まってしまうのではとの予想もあったが、ふたを開けてみればここまでのステージでタイムを失った総合勢が逆襲、一気にタイムを挽回し総合争いが白熱した形になりそうな予感を感じさせる結果となった。そんなステージを制したのはイルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、このステージ単独で個人TTで失ったタイムに匹敵するタイムを取り返し、一気に総合3位まで順位を上げてきた。
この日の逃げはザッカリン、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)、さらにはアンドレイ・アマドール(モビスター)といった総合上位勢までが加わる危険な大人数の逃げとなった。ここまでのステージでタイムを失った選手が多かったことで、次々と強豪が逃げに乗ることを選択、さすがにプリモズ・ログリッチ擁するジャンボ・ヴィズマも対処しきれなかった。対して最大ライバルの可能性高いヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)はドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)ら二人を送り込むなど、着実にログリッチに対してプレッシャーが掛かる。
逃げ集団に多くのトレック・セガフレドメンバーが入ったことでペースが上がる中、追走の大集団ではジャンボ・ヴィズマが必死でタイム差をキープ、何とかタイム差を3分以内に抑え続ける。するとこの日の逃げに選手を送り込めなかったアスタナが残り66kmでペースを上げ、追走も人数を減らしていく。
先頭集団が繰り返される山岳の険しさに徐々に崩壊、ばらばらになっていくが、それは追走集団も同じこと、昨日総合リーダーとなったヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ)もアスタナのアタックで脱落、さらにはエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)も脱落する。これでこの日はコース上に選手がばらばらと点在する荒れた展開となった。
そして残り25km、アスタナがさらにペースアップで攻撃を仕掛ける。すると今度はミケル・ランダ、リチャード・カラパズのモビスターがアタックを仕掛ける。残り16km、モビスターの攻撃態勢はライバルたちに一気に火をつける。しかしその中でミケル・ランダは残り12kmでまさかのメカトラブル、ところがバイク交換に手間取りあっという間に置き去りにされていく。
先頭ではモレンマとザッカリンが激しいバトルを繰り返すが、残り5kmでザッカリンがアタック、ついに独走態勢へと持ち込んでいく。一旦はモレンマとミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット)が追いつくが、、残り1.9kmでザッカリンが再びアタック、これで勝負あり、最後までザッカリンが逃げ切って見せた。
その背後でも1秒を巡る激しいバトルとなる。残り4kmでニーバリが揺さぶりをかけるがログリッチは黙ってそれに対応、すると今度はラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)がアタックを敢行、差を広げていく。ランダやカラパズ、マイカらライバルたちが順に先着する中で、早い段階から一人となってしまっらログリッチはただ淡々とニーバリをマーク、これにはニーバリも苛立ちを隠せず、昨日同様に辛辣な言葉を投げかけた。サイモン・イェーツはこの日最大の犠牲者となり総合争いから大きく脱落、代わりにザッカリン、ランダは総合バトルに再浮上してきた。
途中遅れたポランクだったが何とか踏ん張り切り貯金のおかげもあり2分25秒差のタイム差をキープ、マリア・ローザを守り抜いた。
「この勝利は嬉しいね!アタックは予定通り、ジロでの目標はトップ5、間違いなく達成可能な雰囲気だね。」
~イルヌール・ザッカリン ステージ1位 総合3位
「脚が持つ限りアタックを繰り返すよ!チームカーが1分半まで広がったと教えてくれたから、さらにそこから30秒タイム差を稼げたから満足だよ。ライバルの動きを見れば、間違いなく僕らより脚がないのが分かったからね、それはモチベーション上がるよね。」
~ミケル・ランダ ステージ2位 総合8位
「ログリッチは僕にカラパズやマイカとのタイム差を詰めさせたかったんだよね。”ふざけんな、そんなのはもうなしだ!”って彼に言ってやったよ。ログリッチはまだ優位に立っているけど、あんな走り方をしていたらジロは勝てないよ。もちろん僕も勝てないけど、他の誰かにみすみす勝利を差し出すだけだよ。ただ人を付け回すだけの走りはレースじゃないよ。少なくとも僕はそういうのはレースだとは思わない。確かに実力差がないのかもしれないけど。あと2016年度クライズワイクがマリア・ローザを着用して落車した時に僕が置き去りにして勝利を奪い去ったんで、ぼくに対してチームとして敵意があるのは理解しているよ。まあでも心理戦も戦略のうち、そして今日はひたすらにきつい一日になったよ。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ ステージ7位 総合5位
ジロ・デ・イタリア第13ステージ
1位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) 5h34’40”
2位 ミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット) +35”
3位 ミケル・ランダ(モビスター) +1’20”
4位 リチャード・カラパズ(モビスター) +1’38”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +1’45”
6位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +2’07”
7位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’57”
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +3’34”
10位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ) +3’50”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) 54h28’59”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +2’25”
3位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +2’56”
4位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +3’06”
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +4’09”
6位 リチャード・カラパズ(モビスター) +4’22”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +4’28”
8位 ミケル・ランダ(モビスター) +5’08”
9位 パヴェル・シヴァコフ(チームイネオス) +7’13”
10位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +7’48”
H.Moulinette