ジロ・デ・イタリア第12ステージ:山岳初日は逃げ容認、ポランクが逃げてチームメイトコンティからマリア・ローザ引き継ぎ獲得!ログリッチの徹底した守りの姿勢にニーバリが苛立ち

ジロ・デ・イタリア最初の山岳ステージは、大逃げが容認され、またしてもその逃げが総合勢に大きく食い込むという展開となった。ステージを制したのはその逃げのメンバー、シーザー・ベネデッティ(ボーラ・ハンスグロエ)、さらにはステージ6位に入ったヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ)が、チームメイトのヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ)から引き継ぐ形で総合1位、マリア・ローザを獲得した。
通常総合1位の選手がいるチームが集団自体をコントロールするのだが、そもそも総合狙いではないチームであるとともに、逃げにメンバーが乗ったことで積極的なコントロールとはならない。その為比較的総合上位の選手たちが逃げに乗ったことで、この日はまたしても逃げが総合上位に多く入るという結果となった。

©Bettini Photo
この日の逃げは25名、大人数の逃げとなり、また集団も積極的な追走を行わなかったことで、その差はどんどんと広がっていき、最大で15分以上にまで広がる。流石に総合系を抱えるチームがこれ以上のタイム差は許さず、レースは逃げによるステージ優勝争いと、総合勢によるバトルという二つの局面となる。

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前方では激しい駆け引きが行われ、選手たちがステージ優勝目指して極限のバトルを繰り広げる中、追走の大集団で動きがあったのは残り35kmになってからだった。まずはアスタナが二人動きを見せるが、そのうち一人は個人TTで大きくタイムを失ったミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)だ。しかしこの動きはジャンボ・ヴィズマがじわじわと差を詰める。さらに残り33kmになるとミケル・ランダ(モビスター)がアタック、次々と陽動作戦が展開される。ランダとロペスはともに大きく総合順位を落としており、少しでも挽回していきたいところだ。特にアスタナは総合上位にアシストのペッロ・ビルバオ(アスタナ)が控えているだけに、ロペスはある程度自由に仕掛けが可能となっている。結局ランダとロペスはそのまま飛び出し最後まで総合系の集団に捉えられることなくゴール、わずかにタイムを取り戻すことには成功したが、少人数で走り切ったことでの疲労に見合うほどのタイム差は取り戻すことが出来なかった。

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集団前方ではジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレド)とエロス・カペッキ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が抜け出し二人でのゴール勝負になるかに思われたが、残り1km手前でエドワード・ダンバー(チームイネオス)が合流、さらにはこの3人がお見合いをしたことでさらにダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ)とベネデッティが合流してしまう。すると後方から合流したカルーソとベネデッティがそのまま一気にスプリント、タイミングを見失ったカペッキはここで諦めの表情を見せる。
そのままベネデッティが圧倒的な速さでゴール、プロ初勝利がジロの山岳ステージ逃げ切りからのスプリント勝利と言う派手なものとなった。

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一時はステージ勝利も狙ったが、総合リーダージャージ獲得が確定的となったポランクは無理することなくステージ6位、これでマリア・ローザをチーム内で渡すことに成功した。それにより大集団でゴールしたプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)に対して4分以上の大きなタイム差をつけてこれからの山岳に挑むこととなる。またこれにより人数は多くないスロベニア選手が総合1位と2位を占める珍事にもなっている。
「予定ではなかったけど、何とか少しでもタイムを奪い返さないといけなかったんだよ。」
~ミケル・ランダ
「今日はあまり気分もすぐれなかったし最初から動くつもりはなかったよ。でも最後までまあうまくいったよね。まあここまでスプリントステージで脚を貯めてこれたけど、逆に言えば脚がなまっている状態だからね。これから徐々に体が動き出すよ。重要なのは今大会のゴールでマリア・ローザを着用していることであって、その途中で獲得することではないからね。」
~プリモズ・ログリッチ 総合2位
「ログリッチ以外はみな主力は働いたよね(ローテーションをして)。まあ彼には最終ステージのTTがあるから余裕なんだろうけど、でも明日のステージは直接対決でタイムが大きく動くだろうから、その後でもそんな余裕を持っていられるかね。」
~ヴィンチェンツォ・ニーバリ 総合5位

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「(スロベニア選手団がドーピング疑惑で揺れていることに対して)僕らがこうしてクリーンで戦い続けることで、スロベニア選手がドーピングなしでも勝てるということを示したいね。僕らは国の誇りを背負って戦っているからね。この総合リーダージャージを獲得できたことをスロベニア人として誇りに思うよ」
~ヤン・ポランク ステージ6位 総合1位
ジロ・デ・イタリア第12ステージ
1位 シーザー・ベネデッティ(ボーラ・ハンスグロエ) 3h41’49”
2位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・メリダ)
3位 エドワード・ダンバー(チームイネオス)
4位 ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレド) +02”
5位 エロス・カペッキ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +06”
6位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) +25”
7位 マッテオ・モンタグーティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +34”
8位 トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル) +2’36”
9位 フランチェスコ・ガバッツィ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
10位 マニュエル・センニ(バルディアーニCSF) +2’38”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) 48h49’40”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +4’07”
3位 ヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ) +4’51”
4位 エロス・カペッキ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +5’02”
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +5’51”
6位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +6’02”
7位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’00”
8位 リチャード・カラパズ(モビスター) +7’23”
9位 アンドレイ・アマドール(モビスター) +7’30”
10位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・ファースト・ドラパック) +7’33”
H.Moulinette