ジロ・デ・イタリア第3ステージ:昨日の借りは今日返す!ヴィヴィアーニが真っ向勝負でアッカーマン撃破で今大会初勝利!…のはずがまさかの降格でガヴィリアが繰り上げ勝利!初山翔が144kmの大逃げ
レースは何が起きるかわからないからレース、レースは生き物なのだ。昨日パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)に屈したエリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が真っ向勝負を挑んでスプリント勝利したかに思われた。イタリア国旗のジャージを指さし、高らかに勝利を宣言したヴィヴィアーニだったが、しかし主催者の裁定は、ヴィヴィアーニ降格処分だった。それにより繰り上げでフェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)が勝利、しかしどちらの選手にも笑顔がないすっきりしない結末となった。
ボブ・ユンゲルス(ドゥクーニンク・クイックステップ)の渾身の牽引から、前ステージ同様にアッカーマンの背後を取ったヴィヴィアーニは、同じ轍は踏むまいとタイミングを見て一気に加速をする。この際左側にいたマッテオ・モスケッティ(トレック・セガフレド)に体を預けるような恰好で進路を切り開く。そのまま力で勝負を仕掛けたヴィヴィアーニが迫りガヴィリアを振り切り勝利を挙げた。しかしその直後モスケッティへの進路妨害を宣告され降格処分となってしまった。
表情をこわばらせ沈黙を貫くヴィヴィアーニ、そしてゴールでヴィヴィアーニを祝福する握手をしたガヴィリアもひきつった表情での表彰式となり、後味の悪いステージとなってしまった。ステージ勝者となったガヴィリアは、「あれは僕個人的には偶発的であり故意ではないから、今日はヴィヴィアーニが勝者になるべき。僕はヴィヴィアーニに負けたんだよ。負けて勝者になるなんて嬉しくないからね。」とコメントしている。
これによりアルノー・デマール(グルーパマFDJ)がステージ2位となり、昨日の勝者アッカーマンが3位となっている。
そしてこの日もう一人の主役は初山翔(ニッポーヴィーニ・ファンティーニ)だった。もう一人の日本人選手でありチームメイトの西村大輝 (ニッポーヴィーニ・ファンティーニ)がまさかの初日8kmの個人TTでタイムオーバー失格となったことが海外でもニュースとして取り上げられてしまったが、そのことさえも吹き飛ばすような素晴らしい逃げを見せる。
逃げとしては単独となってしまい、逃げ切りが難しい形にはなってしまったが、それでも144kmにわたり独走で逃げ続け、世界にチームと「初山翔」という名を知らしめた。
この日のステージは初山を後続の大集団が捉えた後も動きなく推移、しかし何度となく落車が発生する危険なステージとなる。総合でも状につけていたタオ・ゲオグヘーゲン(チームイネオス)がこの日最大の犠牲者となり、大きくタイムを失う結果となった。
そんな荒れた展開でも、絶好調の総合リーダー、プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)はそれらすべてのトラブルを回避していく。無駄なタイムロスや無駄な動きをしないことに徹した男はこの日も総合リーダージャージをキープ、どこまでこのジャージを守り続けるのかに関心が集まっている。
ジロ・デ・イタリア第3ステージ
1位 フェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ) 5h23’19”
2位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
3位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 マッテオ・モスケッティ(トレック・セガフレド)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(ディメンション・データ)
6位 ヤコブ・マレチェッコ(CCC)
7位 ダビデ・チモライ(イスラエル・サイクリングアカデミー)
8位 マニュエル・ベレッティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
9位 クリスチャン・クネース(チームイネオス)
10位 サッシャ・モドロ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
H.Moulinette