リエージュ・バストーニュ・リエージュ2019:3度目の正直!アルデンヌクラシック3位、2位ときたフグルサングが正真正銘のモニュメント制覇!ボーラ勢が2位3位獲得でサガン抜きでも結果
モニュメントで最も価値があると言われるドワイエンヌ、最古参と言われるリエージュ・バストーニュ・リエージュの勝利の女神は諦めないことを信条とした男に微笑んだ。ここまでのアルデンヌクラシックで3位、2位と結果を残しながらも勝利から遠かったヤコブ・フグルサング(アスタナ)が、渾身の独走態勢へと持ち込み、見事すぎる勝利を挙げた。今年のクラシックで何度となく一緒に逃げてきた「相方」ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が失速する中、何度となく勝利を逃してきた男は貪欲にワンデイでの結果を追い求め続け、そしてつかみ取って見せた。
ここまでのシーズン、圧倒的な勝利数を誇っているチームがドゥクーニンク・クイックステップとアスタナ、最多勝を巡るバトルを繰り広げながらもクラシックシーズンではドゥクーニンク・クイックステップが圧倒、幾人ものエースを立て連戦連勝で勝利を量産した。しかしアスタナは目ぼしい選手が優勝候補にあがらず、ただ一人グランツールでもエースを担ったことのあるフグルサングが孤軍奮闘ともいえる結果を残してきた。もちろんチームメイトあってこその結果ではあるが、アルデンヌクラシックでもここまで3位、そして2位とまるでカウントダウンかのように順位を上げてはきたが、内容は完敗という結果だった。
昨今のレースで多く見られるように、優勝を巡る動きは終盤まだ距離を残して発生する。ルート上最後の上りとなるセクションで満を持して動いたのはマイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、そしてそれに乗じてフグルサングも動く。アラフィリップがそれに対応するだろうと思われたが、なんと逆にここで失速、それに対してダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ)とウッズのみがぴたりとマーク、先行する逃げは3人となる。
追走ではヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)やアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が仕掛けるも不発、この日中盤いつも通りの激しい追走を見せたドゥクーニンク・クイックステップ勢は誰一人として姿が見えない状況となる。
先頭ではフグルサングがジワリと加速をするとまずはウッズが脱落、そしてさらにフォルモロも脱落をする。独走態勢となり、完全にスイッチが入ったフグルサングの走りの前に、いいがつけばメイン集団は1分近いタイム差をつけられてしまう。それでも最後まで分からないのがレース、残り4.5kmではフグルサングは後輪が大きく跳ね上がるようにスライド、あわや落車というハプニングもあるが、驚異的なボディーバランスでこれを持ちこたえる。「怖かったけど、あれで冷静になれた。」とレース後に語ったピンチを乗り越えると、最後まで追走を寄せ付けることなくゴール、ついに待ち焦がれたモニュメント制覇を成し遂げた。
「最後の上りではチームが本当にいい仕事をしてくれた。レース中盤は散らばっていたけど、最後の勝負どころではいいポジションまで連れて行ってくれたんだ。そのおかげで勝てたんだよ。ウッズが仕掛けたのは僕にはいいタイミングだったんだよ。このコースでは終盤まで行けば行くほど僕には不利になるのはわかっていたんだ。だから早めに仕掛けたんだよ。それで人数をふるいにかけるのが思惑だったんだよ。そしてそこからは順番にウッズ、フォルモロが脱落していくのを確認したから、後はゴールまで漕ぎ続けるだけだったよ。」フグルサングは満面の笑みを見せた。
フォルモロは粘り続けてそのまま2位を獲得、さらにその背後ではマキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ)がトップでゴールし3位を獲得した。今シーズンここまでいいところなく絶不調のエース、ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)を欠くチームにとっては、まさに予想外ながらも最高の結果となる表彰台2スポット獲得となった。
リエージュ・バストーニュ・リエージュ2019
優勝 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) 6h37’37”
2位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ) +27”
3位 マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +57”
4位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
5位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
6位 ダビデ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)
7位 ミケル・ランダ(モビスター)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
9位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ)
10位 ワウト・ポエルス(チームスカイ)
H.Moulinette