パリ~ルーベ2019:ジルベール貫禄の勝利で5大モニュメント中4大モニュメント制覇!抜群のチームワークでワン・スリーでトップ10に4人!チームも通算700勝!ポリットは経験の差で敗北
石畳頂上決戦、各チームがこのレースに対してマシンを含めて様々な特別策を講じるほどに特殊で過酷な最悪最強の悪路バトルは、今シーズンのここまでのクラシックシーズン通りドゥクーニンク・クイックステップが見事なチームワークを披露して見せた。その鮮やかなチームワークの果てに36才の大ベテラン、フィリップ・ジルベールが見事に勝利、これで5大モニュメントのうち4勝目となりモニュメント全制覇(残るはミラノ~サンレモ)に王手をかけた。
鮮やかなのはいつものこと今シーズンもここまでクラシックシーズンを見事にチームワークで勝利を量産してきた。数戦勝利を逃したがシュヘルデプライスで再び勝利すると、満を持してパリ~ルーベでもクラシックエース4人を送り込んできた。数的優位を作り出すお得意の作戦はこの日も見事にはまる。
勝負へ向けての動きが発生したのは残り67km、ニルス・ポリット(カチューシャ・アルペシン)が飛び出すと、それに反応したのはジルベールだった。この動きが起点となり一気にレースは活発化する。残り45kmではそれを追随する動きを見せたのがイブ・ランパート(ドゥクーニンク・クイックステップ)、元シクロ世界王者ワウト・ファン・アールト(ジャンボ・ヴィズマ)、元世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)、セップ・ファンマルケ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)だった。6人は一つの集団となりそのままレースを先導する。
あまりにも強力な6人に、追走はずたずたに引き裂かれていく。しかし後続との差が広がると、2人いるドゥクーニンク・クイックステップを警戒したライバルたちは積極的な協調体制を拒否し始める。そんな中ファン・アールトは落車とメカトラからの集団復帰で脚を使っており、難関のカリフルール・デ・ラルブルの石畳で遅れてしまう。
そして残り14.5km、再び動いたのはポリットだった。そしてそれに対応できたのはまたしてもジルベール、あっという間に二人は後続の3人との差を30秒ほどに広げてしまう。即座にランパートはサガンとファンマルケをマーク、ライバルたちの追走を抑えにかかる。これにより先頭は完全に二人の駆け引きへと持ち込まれていく。
ファンマルケはここへ来て痛恨のメカトラに見舞われバイク交換を余儀なくされ、またサガンも追走で脚を使い切り失速、これによりランパートが残り3kmで難なく単独3番手へと浮上する。ポリットはジルベールの動向を見ながらも、追走のランパートも気にせねばならず苦しい状況を余儀なくされる。
ジルベールは積極的な牽引を見せないままにゴール勝負へと持ち込むと、決着はスプリントの嗅覚の差が勝敗を分けることとなった。チームBMCで苦しい時期を過ごし、古巣と格安で再契約を結んだジルベールは、ここ数年再び勝利を量産、不死鳥のごとく蘇り再びクラシックハンターの称号を手にした。これでチームは通算700勝目、メモリアル勝利はベテランのスマートな走りから生み出された。
「僕はロングスパートは嫌じゃなかったよ。僕にとっては成功したこともある手法だからね。ポリットと協調できたのがよかったね。最後は真っ向勝負、僕が最強だったね。でも正直アルデンヌクラシックでやってきたことがここではまるかは不安だったんだよ。」これで5大モニュメントの内の4つ目を制したジルベール、これで狙うは”クラシックモニュメント全制覇”となった。
ポリットはそのまま2位、敗北こそしたが新たな才能が開花した。また3位にはランパート、そして6位にはフロリアン・セネシャル、8位にはゼネク・スティバーとドゥクーニンク・クイックステップはトップ10に4人を送り込む圧倒的な強さを印象付けた。
「僕はプロ4年目、それでパリ~ルーベ2位は上出来じゃない?ジルベールは世界チャンピオンにもなっているし、何勝も挙げている。だから敗北をしても恥ずかしいということはないよ。」ポリットは謙虚に語った。
今回もサガンは走りに精彩を欠いた。ここまでまだ目立った結果が残せていない今シーズン、今まででは考えられないような形で振り切られる形が続いており、今シーズンどこまで活躍できるのかかなり不透明に感じられる。どこかの段階で復活できるのか、世代最強と呼ばれている男の逆襲に期待したい。
パリ~ルーベ2019順位
優勝 フィリップ・ジルベール(ドゥクーニンク・クイックステップ 5h58’02”
2位 ニルス・ポリット(カチューシャ・アルペシン)
3位 イブ・ランパート(ドゥクーニンク・クイックステップ) +13”
4位 セップ・ファンマルケ(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40″
5位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +42”
6位 フロリアン・セネシャル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +47”
7位 マイク・テウニッセン(ロット・ジャンボ)
8位 ゼネク・スティバー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位 エヴァルダス・シスケヴィシアス(デルコ・マルセイユ)
10位 セバスチャン・ラングフェルド(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
H.Moulinette