ミラノ・サンレモ2019:シーズン最長291kmのスプリンターズクラシックで純粋なスプリンターではないアラフィリップがスプリンター勢撃破!クイックステップのクラシックシーズン勝利続く

ドゥクーニンク・クイックステップの勢いが止まらない。今シーズンここまでクラシックシーズンでワンデイレースをオムループ・ヘット・ニウスブラッド、クールネ・ブリュッセル・クールネ、レ・サミン、ストラーデ・ビアンケと制してきていたチームの勢いそのままに、ストラーデ・ビアンケを勝利し、ティレーノ・アドリアティコでステージ2勝を挙げたジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が常に先手を打つ攻撃的な姿勢を貫きゴールスプリント勝負を制した。アラフィリップにとっては初めてのモニュメント(5大クラシックレース)制覇となった。チームはこれで早くもシーズン19勝目、3月にして早くも20勝に王手となった。

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シーズン最長の291kmのレースは、ゴール手前のポッジオの丘での動きが勝敗を大きく左右することが多い。ポッジオまでの流れでもドゥクーニンク・クイックステップのレースコントロールは常に際立っていた。今シーズンのここまでのワンデイ・クラシックの流れそのままに、ゼネク・スティバー、ジュリアン・アラフィリップ、フィリップ・ジルベールと言うクラシック系選手たちに加え、マキシミリアーノ・リケーゼとエリア・ヴィヴィアーニと言うエーススプリンターの姿もそこには見える。ウルフパック(オオカミの群れ)と呼ばれ、誰もがエースになる極めて稀な全員エース体制で、いかなる状況になろうとも誰かが勝負に出られるように準備万端で最終局面へと向かっていく。

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そして残り7km、ポッジオの頂上まで1km強でアラフィリップが仕掛ける。この加速で集団は一気に大きく分断される。アラフィリップの動きに反応したのは元世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)、さらにこちらも元世界チャンピオンのミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)、さらには現世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)らそうそうたるメンバーに絞られていく。

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そして頂上を超えると、このままゴールまで行っては不利と感じたのか、ニコロ・ボニファッツィオ(ダイレクト・エナジー)がテクニカルなダウンヒルで時速80km以上をブレーキレバーも握らず鬼神のごとき走りを見せる。しかしダウンヒルが終わり平坦セクションとなると、ボニファッツィオは掴まり、局面はスプリント勝負へと向かっていく。すると今度は残り1.5km、マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が一気に博打に出る。しかし新旧世界チャンピオン3人に加え、グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCC)らがそれを許さない。

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お互いを警戒しながららの駆け引きとなるが、まず仕掛けたのがマテイ・モホリッチ(バーレーン・メリダ)、そしてそれに反応したのはアラフィリップ、コース左を一気に駆け上がっていく。さらにはオリビエ・ナーセン(AG2R)がアラフィリップを追う。先日のティレーノ・アドリアティコでのゴールスプリントでも強豪スプリンター勢を撃破したアラフィリップは一気に先頭に躍り出ると、そのままスプリンター勢に何もさせず最後はガッツポーズまで見せる完勝だった。

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「きつかったね、信じられないよ。自身初のモニュメントだろ、感無量だね。でもこれもチームがレースを支配してライバルたちを削ってくれていたおかげだよ。早めにスプリントを初めて、そして左右を確認したら誰もいなかったんだ。勝利を確信した瞬間だったよ。もちろんいつでも勝ちたいさ、でもそれは、チーム内の選手たちのレベルがいかに高いかということだよ。今日だって僕の勝利のためにどれだけアシストしてくれたか!彼らだって勝てる選手なのに、そんなレベルの選手がアシストしてくれたんだよ。負けられないし、負けるわけないよ。」アラフィリップは疲れの表情を見せながらも安堵の表情を見せた。
「2位には大満足だよ。今日はアラフィリップが強すぎたんだよ。だって強豪の純粋なスプリンター蹴散らしたんだからね。そうだね、僕も彼らに勝ったんだよね。この2位は本当に大きいよ。」表彰台を獲得した2位のナーセンは満足げに語った。
「勝利まであと一歩、そりゃ悔しいし、どこで間違えたんだろうと思い悩むよ。でも振り返ればだれもが限界まで走っていたんだよ。それでアラフィリップにあの走りを見せられたら、表彰台には納得するしかないんだよ。ポッジオでもアタックして、最後も仕掛けられるほどにまだ脚を残していたんだよ。」クウィアトコウスキーは敗北をいさぎよく認めた。
サガンは4位に終わり、そしてシクロクロスシーズンからそのままロードシーズン突入している元シクロ世界王者のワウト・ファン・アールト(ジャンボ・ヴィズマ)はこのレースでもキッチリ6位に入り、その能力の高さを見せつけた。近い将来間違いなく優勝争いに絡んでいきそうだ。

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ミラノ・サンレモ
優勝 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 6h40’14”
2位 オリビエ・ナーセン(AG2R)
3位 ミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)
4位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・メリダ)
6位 ワウト・ファン・アールト(ジャンボ・ヴィズマ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
9位 サイモン・クラーク(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
10位 マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
H.Moulinette