ストラーデ・ビアンケ:止まらぬクイックステップ!これでワンデイ4連勝!チームワークで追走抑え、逃げたアラフィリップがフグルサングとの一騎打ち制し優勝!元シクロ王者ファン・アールトは3位
鮮やか・・・これ以上の言葉はないだろう。クラシック開幕連戦をゼネク・スティバーとボブ・ユンゲルスで連勝、さらにはレ・サミンではその二人のアシストをしたフロリアン・セネシャルが勝利したドゥクーニンク・クイックステップが、”白い道”と呼ばれる未舗装路のクラシック、ストラーデ・ビアンケもその勢いのままに制して見せた。今度勝利したのはジュリアン・アラフィリップ、これでチームはワンデイ4連勝をすべて異なる勝者という個性派集団だからこそ成し得る離れ業をやってのけた。
このレースでも優位に立ったのはドゥクーニンク・クイックステップだった。レース中盤の長い未舗装路セクターで集団が大きく分裂すると、しっかりとその先頭集団に、イブ・ランパート、ゼネク・スティバー、アラフィリップの3人を送り込む。そこにはロット・ソウダルのツートップ、ティム・ウェレンス、昨年度の覇者ティス・ベノート、さらにはシクロ元世界王者で、昨年もここで3位表彰台を獲得し、今しんーずんから本格的にロード参戦のワウト・ファン・アールトなどもキッチリとその集団に加わる。アスタナもヤコブ・フグルサングを筆頭に3人を送り込むが誰が試合巧者かは明らかだった。
残り23kmでレースは大きく動く。のぼりで仕掛けたのはフグルサング、それにファン・アールトが即座に反応をする。集団先頭にいたランパートはこれには動けず、一瞬間が開きそこからアラフィリップがランパートやスティバーの位置を確認しながら追走のアタックを仕掛ける。これで残りのクイックステップの仕事は明白、これ以上の余計な追走をさせないことだった。
先頭ではアラフィリップも合流し3人がそのまま快調に差を広げていく。追走集団でも追走を仕掛けたいが、脚を使いたくない思惑が見え隠れしなかなか思うように動けない。さらには先頭に選手を送り込んだクイックステップに加え、アスタナのアシスト勢もフグルサングの為に先頭交代をしないことで追走を妨げる策に出たため、一気にレースは先頭3人での決着へと流れて行った。
しかし先頭でも異変が起きる。ファン・アールトが未舗装路区間ののぼりで脱落、アラフィリップはその表情を確認しながらフグルサングに声をかけ一気に引き離しにかかる。そして先頭は二人、追走一人、さらに後方に追走集団という形のままレースは終盤へと差し掛かる。
フグルサングとアラフィリップが細かくお互いをけん制しあい続けると、なんと残り1kmでついに単独追走をし続けたファン・アールトが合流を果たす。しかし街中の急こう配セクションでの勝負の為の脚はもう残っていなかった。先に仕掛けたのはフグルサング、ファン・アールトの右手側をすり抜けて一気に加速する。それに即座に反応したアラフィリップは左手側を駆け上がり、そのまま二人は全力での上り勝負となる。しかしクラシックですでに勝利を重ねてきているアラフィリップに一日の長があった。フグルサングをぴたりとマークし続けると、最後の最後で一気に追い抜き、そのままゴールまでの下りコーナーのインへと飛び込んでいく。コース幅が狭いここではこれで勝負あり、満面の笑みとガッツポーズでアラフィリップが大会を制した。フグルサングはクラシックでは勝てずまたしても2位、そして昨年同様にファン・アールトが3位を獲得も、意味ある表彰台獲得となった。
「最高だね、いい形でシーズン開幕したけど、まずはクラシックが一つ目標だったんだ。ノーミスだったことが大きかったね。毎年フレッシュ・ワロンヌとツール・ド・フランスを明確な目標にしてきたけど、それだけじゃつまらないと思ったんだ。だから冬場からいろいろなことを考えてトレーニングしてきたんだよ。特にストラーデ・ビアンケはみなが僕向きだと言っていたからね。」アラフィリップはこれで今シーズン早くも4勝目となった。
フグルサングは一歩及ばず2位、「全力だったよ、勝つために何が欠けていたのなんてわからない、でもこの結果からしても近いうちに勝てるんじゃないかな。」と悔しさをにじませた。
そして2年連続3位に入ったファン・アールトは、「前回の3位とは大きく意味が違うよ。今回はきちんと考えながら走れたんだよ。」と答え、次のレースへの可能性を感じさせた。
ストラーデ・ビアンケ
優勝 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 4h47’14”
2位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +02”
3位 ワウト・ファン・アールト(ジャンボ・ヴィズマ) +27”
4位 ゼネク・スティバー(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’00”
5位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル)
6位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(CCC) +1’01”
7位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ)+1’04”
8位 サイモン・クラーク(EFエデュケーションファースト・ドラパック)+1’08”
9位 トム・スクインス(トレック・セガフレド)+1’12”
10位 ティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)+1’21”
H.Moulinette