ドーピングスキャンダル再び!オペレーション・アデルラスに恐怖おののくスポーツ界、自転車界でもすでにデニフルとプライドラーの中堅二人が関与を認め引退状態に

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オペラシオン・プエルトと言えば覚えていらっしゃる人も多いだろう。世界中のスポーツ界を混乱に陥れたあのドーピング(EPOなど)スキャンダルだ。自転車選手も多くの選手が黒となり、出場停止処分となった。そして昨年度のマーク・シュミット医師がガレージに40袋の血液を保管していたとして逮捕されたことで発覚したのが、今回のオペレーション・アデルラス(瀉血)だ。

今回のドーピングはいわゆる血液ドーピングと言われるもので、簡単に言えば自己輸血だ。わかりやすく説明すると、体調が万全な時に血を抜き、疲れがたまっているレース後などにそれを体内に戻すことで劇的な回復を体に促すのだ。いわゆる薬物などでは副作用など体に対する負担が極めて大きいが、自己輸血では体への負担は少ない事から、新手のドーピングとして行われてきた手法だ。

そもそも自己輸血は、手術などで輸血をすることが見込まれる際に、他人の血液を輸血するよりも拒絶反応や感染症などがないことから行われる輸血方法だ。血液には保存できる限界日数があるため、あらかじめ日程を決めて行うことが多く、ドーピングで行われる際には綿密な計算のもと、日程から逆算して採血をしておく必要がある。

今回のケースではすでにスキーの世界選手権でこのオペレーション・アデルラスがらみで5人の選手が逮捕されており、自転車選手も事情聴取を受けていた。その中でゲオルグ・プライドラーとステファン・デニフルの二人が採血を認めたのだ。その後自己輸血は行わなかったとはしているが、自己輸血目的での採血をしていたということで、二人ともチームを追われることとなった。

チームメイトや現役選手たちからも懸念と批判の声が上がっている。

「裏切られた気持ちしかないよ。正直こんなことやってるやつらが、賞金やいい契約を勝ち取っていたのかと思うと反吐が出るよ。早く残りの血液袋が誰のものであるかが判明して欲しいね。スポーツの印象を地に貶める行為には厳罰をもっと対処してほしいね。故意なドーピングのペナルティーはもっと厳罰化していいと思う。悪意を持って行われた場合には一発で全ての記録の抹消と永久追放でもいいんじゃないかな」~マテアス・ブランドル

「プライドラーほどの選手が、プレッシャーを感じてドーピングに手を染めるとは思えないよ。僕は周囲の人間に恵まれたんだと思う。誰もそんな悪魔の囁きはしてこないからね。今回もそうだけど、ドーピングは一人では行えない、必ず組織立って行われているから、表面上の選手達を追い詰めるだけではなく、きちんとその悪の権化を捉えてほしいね。またそういった甘い誘惑を若手選手たちにするような人間を排除していけるようなシステムが必要だよ。」~マルセル・キッテル

「正直まだ混乱しているよ。これはチームメイトとしてというより、友人としての裏切りだよね。まだいろいろなことが頭の中をぐるぐると巡っていて、練習もままならないよ。」~ティボー・ピノー(プライドラーのチームメイト)

終わらない競技での不正行為、人であるが故に不正をするというのもまた人間たる所以、誘惑やプレッシャーなど、様々な理由はあるかもしれないが、それでもフェアにプレーしている選手たちに対しての尊敬の念があれば、簡単にそのような行為に手を染めることはないだろう。これからもまだまだ発覚する可能性があるだけに、せっかく回復してきた信頼がまたしても地に落ちるのを見るのは辛すぎる。選手会含めて努力してきただけに、コメントを残してくれた選手たちの言葉には、無念さと残念さが滲み出ている。

H.Moulinette