シクロクロス世界選手権2019:今シーズン絶好調のファン・デル・ポエルがヴァン・アールトを余裕の撃破で2度目の世界王者に!ネイス引退後シクロ界牽引の二人はこのままロードシーズン突入へ
シクロ界の鉄人スヴェン・ネイス引退後は、シクロクロスの世界はU-23ながら飛び級でエリートを制してきたマシュー・ファン・デル・ポエルとワウト・ファン・アールトの二人の頂上決戦の場となってきた。奇しくも今シーズンから本格的にロード参戦するこの二人が今年も世界チャンピオンの証であるアルカンシエルを目指し激突するも、シーズンを絶好調で過ごしたファン・デル・ポエルが圧倒的なパフォーマンスの差を見せ圧勝という形となった。これで今シーズン出場したレースでは、わずか1戦を除いてすべて優勝という離れ業を世界選手権という大舞台で締めくくった。
ファン・デル・ポエルはレース序盤で早々とファン・アールトとの一騎打ちへと持ち込む。そして中盤でじわじわとその差を広げていくと最後は独走態勢となり、そのまま2015年以来久しぶりのアルカンシエル獲得となった。途中何とか食らいついたファン・アールトだったが、後半は世界選手権シリーズの年間チャンピオンとなったトゥーン・アールツに追いつかれ苦戦、それでも最後は地力の差を見せ銀メダルを獲得して見せた。今シーズン大きく飛躍したアールツは銅メダル獲得、勝利こそ逃したが年間を通してこれ以上ない一年となった。
「ふぅ~、正直肩の荷が下りたよ。このジャージを奪還するまでが長すぎたよ。ようやくまたアルカンシエルに袖を通すことが出来たよ。ここまで良いシーズンを送れてきたし、今日は勝てる感覚はあったんだよ。でも実際勝利するのがこれほどまでに難しいとはね。」ヨーロッパチャンピオンに次いで世界チャンピオンの獲得した世代最強の男は笑顔で語った。勝利は確定させたが、オランダ人選手であるファン・デル・ポエルは、コース脇のベルギー応援団からの罵声とビールのシャワーと最後まで格闘しながらのレースとなった。しかし最後はゴールまで大声援に包まれての歓喜のガッツポーズとなった。
このレースで勝敗を分けたのはコースのキャンバーセクションの得意不得意だった。ファン・デル・ポエルがうまく超えていくのに対し、ファン・アールトは苦戦、その都度距離が広がっていってしまった。「いい感じでその差を詰められたのに、肝心なところで横滑りしてしまい、そのまま突き放されてしまったよ。」ファン・アールトは敗北のきっかけとなったキャンバーセクションに関して語った。
今年の大会でもシクロクロスを国技とするベルギーが圧倒的な強さを発揮、世界チャンピオンこそ逃したものの、トップ10のうち7人がベルギー人選手となった。圧倒的な強さを誇るベルギーシクロクロス界、そのトップとオランダのシクロクロスのトップが今年はロードでも激突する。シクロクロスのシーズンから休みなくロードシーズン入り、最強二人の今後の活躍が楽しみだ。
シクロクロス世界選手権2019
金メダル マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ) 1h09’20”
銀メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー) +16”
銅メダル トゥーン・アールツ(ベルギー) +25”
4位 ミカエル・ファントゥーレンハウト(ベルギー) +50”
5位 ローレンス・スウィーク(ベルギー) +1’01”
6位 ラース・ファン・デル・ハール(オランダ) +1’10”
7位 クインテン・ヘルマンス(ベルギー) +1’24”
8位 マルセル・メイセン(ドイツ) +1’29”
9位 イェンス・アダムス(ベルギー) +1’31”
10位 ジャンニ・フェルメサーチ(ベルギー) +1’33”
H.Moulinette