チームスカイを救うのはだれか?自転車界に携わる大富豪がチームに触手を伸ばす、イスラエルサイクリングアカデミーとの統合か、それとも中国初のUCIワールドツアーチームになるのか?

最強集団と言われてきたチームスカイ、クリス・フルームにゲラント・トーマスと言う二人のグランツール覇者を抱え、さらには元世界チャンピオンのミカル・クウィアトコウスキーなど豊富なタレントを抱えるチームスカイだが、年末にメインスポンサーの撤退が決まりチーム存続は霧の中となりそうに思えた。しかしここへ来て数名の大富豪がそのチーム全体に対してその触手を伸ばしていることが分かった。チームが存続することとなっても、少なくともチーム名は変わることとなるが、解散という最悪のシナリオは回避できる公算が高くなってきた。
ゲラント・トーマスとミカル・クウィアトコウスキーに関しては、すでに他チームが今後に関してのオファーを出しており、チームからの離脱の可能性は高い。しかしそれでも輪界最強と言われるメンバーはまだまだ人材の宝庫、手っ取り早く最強チームを手に入れるべく、すでに二人の大物が動きを見せている。
まず一人目はプロコンチネンタルチームのイスラエルサイクリングアカデミーのオーナーのカナダ人大富豪、シルヴァン・アダムスだ。イスラエルサイクリングアカデミーとの統合を前提として、チームスカイの運営会社の買収を検討している。
もう一人の男はティム・ケイ、中国初のUCIワールドツアーチーム設立を目指している男だ。こちらもチームスカイ自体の拠点を中国登録として存続する道を模索していると言われている。
しかし現チームオーナーのデイブ・ブレイルズフォードは、もう一つの生き残りの道も模索している。それはチームの機材スポンサーであるピナレロの母体、ルイ・ヴィトングループ(LVMH)にメインスポンサーになってもらうという形だ。しかしLVMHに関しては、昨年度中のフルーム問題や、ウィギンスのTUE(治療目的例外措置)の悪用がともにグレーなままであり、印象度の悪さから乗り気ではないようだ。
しかしこれから数か月以内にメインスポンサーを見つけなければ、チームの来シーズンの運営に支障が出てくるのは間違いなところ。最悪のケースを想定しないといけない状態だけは避けたいだけに、春先までにどのような生き残り策が浮上するか、UCIのワールドツアー改革の中でレース界の顔である最強チームの苦悩はまだまだ続く。
H.Moulinette