ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ:総合勢直接バトルがついに勃発!サイモン・イェーツがステージ優勝でマイヨ・ロホ奪還!拷問のような激坂に未舗装路の潰しあいで総合シャッフル
軽い拷問のようなこの日の最後の頂上ゴール決戦、舗装されたばかりのコースはコース図の最大勾配17%をはるかに超える勾配で延々と上り続ける。そして最後は未舗装路区間へと投入しての勝負、このハードな頂上決戦でようやく総合系が直接バトルを繰り広げた。一進一退の攻防の中で飛び出したのはサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、僅差でアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)とミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)を振り切りステージ勝利を挙げるとともに、再び総合リーダージャージに袖を通した。
先行し続けていた逃げのミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)も掴まり、レースは最後の激坂頂上ゴール決戦へと向かっていく。昨日の最大勾配24%もきついが、この日はなんといっても急こう配が延々続く平均勾配がきつい戦い、アタックを仕掛けようにも一気の加速で引き離すのが困難な山岳だ。
まず最初に仕掛けたのはスティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ)、そしてそれにを追走する形でリチャード・カラパズとバルベルデのモビスターコンビが動く。しかしその背後に控えていたナイロ・キンターナ(モビスター)の背後からS.イェーツが揺さぶりをかけその差を詰めてしまう。再び集団が一つになると、今度はキンターナとロペスが動きを見せる。その差が広がっていくかに思えたが、これも追走の粘りの走りで再び集団は一つに戻る。
そして残り1km、S.イェーツが動く。この動きにライバルたちは疲労からか反応が鈍い。一気に開いたその差を詰めるべく、バルベルデとロペスがジワリとペースアップを図るが、目の前の背中は近くて遠かった。最後はガッツポーズでS.イェーツが締めくくり、ロペスとバルベルデは僅か2秒届かなかった。キンターナはS.イェーツに7秒遅れ、これで総合は大きくシャッフルされ、S.イェーツが総合リーダーに返り咲き、バルベルデが総合2位に、さらにトップ10は大きく入れ替わった。
「難しいステージだったね。でも最後の仕掛けのタイミングは抜群だっただろ。仕掛けたら一気に差を開いて、少し勾配が緩むまで後続を確認しなかったんだよ。そうしたらまだ差が開いたままだったんで、”いける”と思ってさらに加速したんだよ。この勝利は本当にうれしいね~。明日もこの調子でいきたいね。」S.イェーツは勝利と総合リーダージャージ奪取に笑顔を見せた。
総合では2分差以内に9人がひしめき合う激戦が続いている。特に総合1位のS.イェーツから総合4位のロペスまでは僅か47秒、この激戦はまだまだ続きそうだ。
このステージでは中盤の山岳からの下りでヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)がチームの総合エースとなったヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)の為に鬼引きダウンヒルを決行、これにより集団は細切れになってしまう。この犠牲となったのが昨日までの総合リーダーヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)だった。さらに総合系の選手も分断された挙句、ルイス・メインチェス(ディメンション・データ)は落車し、そのまま崖下へと転落してしまう。何とか斜面を登り集団復帰を果たしたが、総合トップ10入りの可能性はついえてしまった。
「こういうステージでは積極的に仕掛けないと局面を打開できないんだよね。成功するときもあれば失敗するときもある、でも仕掛けない限りチャンスはないんだよ。でも今日タイムロスする予定はなかったんだけどね。」~キンターナ
「正直言うと今日はしくじったね。勝てたステージだったよ。S.イェーツをまだ追い込めたはずなのに、彼の力を見くびって仕掛けるのが後手になったよ。ゴール前でもう一度勾配がきつくなるかと思っていたら、そうじゃなかったんだ。今日の勝者はサイモン、ただ僕自身余力を残してゴールしてしまったことは後悔しているよ。」~バルベルデ
「大差がつけられないところでの攻撃で体力は消耗したくないんだよ。それは労力に見合わないからね。」~ロペス
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 4h19’27”
2位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +02”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +05”
5位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +07”
6位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +11”
7位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +19”
8位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +27”
9位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ) +37”
10位 ファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ) +39”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 59h11’18”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +20”
3位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +25”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +47”
5位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +1’23”
6位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1’28”
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)(AG2R) +1’40”
8位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +1’47”
9位 トニー・ギャロパン(AG2R) +1’55”
10位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’08”
H.Moulinette