ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ:頂上を制したのは初出場の新生バスクチームのグランツール初出場のロドリゲス!プロ初勝利が大金星!総合は大きな動きなく展開
バスクの人気チームエウスカルテル・エウスカディが解散となってから、待望のバスクチームとしてローカルレベルから這い上がってきたエウスカディ・バスクカントリー・ムリアス、今シーズンからプロコンチネンタルに昇格し、そして初めてのグランツール出場となった。そのチームの中でもTTからクライムまで万能にこなせるオスカル・ロドリゲスが大きな仕事をやってのけた。23歳でグランツール初出場を果たしたロドリゲスは総合系やクライマーたちがしのぎを削る難関ステージで、見事単独頂上制覇、プロ初勝利を大金星で飾った。本人にとってもチームにとっても初出場となるグランツールでいきなりのステージ優勝、今まで無名だった男がいきなり世界中の注目を浴びることとなった。
32名の逃げが徐々に分断され、残り8kmから頂上までの最後の上りに入る中とさらにその人数は絞られていく。残り2kmを切り最大勾配は24%とと言うまさにブエルタらしい激坂区間に入り、先頭はラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)とディラン・テウンス(BMC)の二人となる。コースの難易度も考えると、ステージ優勝はこの二人での争いになると誰もが疑わなかっただろう。しかし残り1km手前でまさかの光景が広がる。一度は大きく遅れたものの、そこから落ちないペースで淡々と踏み続けたロドリゲスが一気に追いついてくると、そのまま二人を置き去りにしてしまう。
一気に広がっていくその差、残り1kmを切りマイカが何とか追走を仕掛けるが、ロドリゲスは冷静に何度となく後ろを振り返りその差を確認する。縮まらない距離、それどころかロドリゲスとマイカとの差はさらに広がっていく。そして誰もが予想すらしていなかった男が山頂ゴールでガッツポーズを決めた。
「信じられないよ!プロ初勝利がブエルタのステージ優勝だよ!正直最後の最後の瞬間まで勝利は確信できなかったんだ。まさに夢の中で走っているようだったんだよ。勝った今でもまだその勝利が本物かを信じられないよ!」ロドリゲスは興奮を抑えながら語った。
マイカは2位に終わり、テウンスは3位でステージを終えた。そしてマイカもロドリゲスの走りに驚きを隠せなかった。「正直驚いたよ。僕はまだ脚が残っていたし、勝負できると思っていたんだ。それが背後からものすごいスピードで追いついてきたなと思ったら、そのまま僕らを抜き去っていったんだよ。これもレースだね。」
そしてその背後では総合系の争いもサバイバルと化していた。一気に勝負をつけるチャンスがあるステージだけに、戦前の予想ではこのステージで総合優勝が決まるかも知れないとまで言われていた。しかしふたを開けてみれば誰も飛び出すほどの実力差は持ち合わせておらず、お互いを確認しながら耐えしのぐバトルとなった。一番好調に思われたミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)は激坂区間でまさかのメカトラ、何とか再スタートは切り、メイン集団復帰は果たしたが、勝負するタイミングを逸してしまった。
残り1kmになり、ナイロ・キンターナ(モビスター)とサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)がわずかにライバルたちから飛び出すも、大きなタイム差をつけるには至らずにゴール、総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)も最小限のタイム差でゴール、総合バトル第1ラウンドは大きな波乱がないまま終わりを迎えた。
昨日マイヨ・ロホを獲得したヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)も粘りの走りでタイムをい失いながらもジャージはキープ、もう一日総合リーダージャージを着用する権利を自らの力で守り抜いた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ
1位 オスカル・ロドリゲス(エウスカディ・バスクカントリー・ムリアス) 4h17’05”
2位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +19”
3位 ディラン・テウンス(BMC) +30”
4位 ビョルグ・ランブレヒト(ロット・ソウダル) +38”
5位 ローラン・デ・プラス(クイックステップ・フロアーズ) +43”
6位 マラゥイ・クドゥス(ディメンション・データ) +1’00”
7位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +1’12”
8位 ピーター・セリー(クイックステップ・フロアーズ) +1’21”
9位 エドワード・ラヴァシ(UAEチームエミレーツ) +1’25”
10位 ベンジャミン・キング(ディメンション・データ) +1’27”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) 54h50’19”
2位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +1’42”
3位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’50”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +1’54”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +2’23”
6位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +2’33”
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)(AG2R) +2’35”
8位 トニー・ギャロパン(AG2R) +2’40”
9位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +2’44”
10位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’47”
H.Moulinette