ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージ:ジェニエが逃げ切りスプリント勝負を制して勝利!同じく逃げに乗ったエラダが予定外のマイヨ・ロホ獲得!総合で一気に3分差以上の単独リーダーに
明日からの山岳ステージを前に、嵐の前の静けさになるかと思われた第12ステージだったが、ふたを開けてみれば細い道とアップダウンがジェットコースターのように襲ってくるコースに、逃げメンバーによるステージ優勝争いが激化、そしてそこに途中まで参加していた逃げのヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)がまさかの総合リーダージャージ奪取、しかも総合勢に3分以上のタイム差と言う見事なパフォーマンスを見せた。
ステージ優勝は4人でのスプリント勝負を制したアレクサンドレ・ジェニエ(AG2R)、ゴール後のスペースが狭く、そこを横切ろうとした大会関係者に激突、弾き飛ばされたが警官によって体を支えられ大事には至らなかった。対してステージ2位に終わったディラン・ファン・バーレ(チームスカイ)はその巻き添えをくい激しく落車、勝負にも負け地面にも叩きつけられ散々なステージとなった。
残り25km、逃げのメンバーは8人にまで絞られていた。そこから激しく分裂と合併を繰り返しながらの駆け引きが行われる。お互いの顔色を見て仕掛けないのではなく、お互いの顔色を見て仕掛けるという積極的な姿勢が、後続の総合系集団にタイムを縮めさせない。
その後続集団は昨日モビスターに仕事をしていないと批判された総合リーダージャージのサイモン・イェーツを要するミッチェルトン・スコットがコントロールをするが、結果的にその重圧から逃れる意味も込めてこの日は逃げを容認、途中で早々とバーチャルで総合リーダーに立っていたエラダへのジャージ移行を容認する構えを見せる。それにより総合勢のバトルはこの日は発生することなく終わる。
それに対してステージ優勝を巡るバトルは二転三転する中でジェニエ、ファン・バーレ、マーク・パドゥン(バーレーン・メリダ)、ディラン・テウンス(BMC)の4人に絞られる。残り1kmを切り道はさらに狭く、スプリントでお互いが体を振る幅がないような狭さにジェニエは真っ先に仕掛けて見える。ファン・バーレも粘り一度は並ぶが、お互いの体が接触した瞬間にブレーキを握ったのはファン・バーレだった。これで勝負あり、ジェニエがステージ優勝を挙げた。
「正直勝つ自信はなかったよ。でも勝てたからね。実はジロではチーム方針で総合狙いだったんだけど、あれはやりにくかったね。僕はこうしてその日その日のステージを狙う方が性に合ってるんだ。」そう語るジェニエはこれでブエルタで通算ステージ3勝目となった。
その後逃げの残党と共にゴールしたエラダは総合系のゴールを待つこととなる。ペースが上がったとはいえ一時11分台まで広がったその差は縮まり切ることはなく、これでエラダのマイヨ・ロホ獲得が決定、ステージ前には予想すらしなかった男が表彰台に上がることとなった。
「もちろんジャージを手放すのは嬉しいわけないよ。でももっと大きな目標があるからね。その為には無理しないのが一番なんだよ。その為には集団をコントロールし続ける必要もないしね。」~サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
「総合リーダージャージは結果だよ。狙っていたのはステージ優勝だからね。でもせっかくだからできる限りこのジャージを守っていきたいね。どこまでできるかは全く自分でも未知数だけどね。今シーズンは序盤から絶好調なんだよ。でも勝利をまだ挙げられていないんだよね。でもこうして結果的に最高のジャージを獲得できたことは大きなモチベーションになったよ。」モビスターからコフィディスへの移籍を今シーズンしたばかりのエラダは新天地で最高の結果を残して見せた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージ
1位 アレクサンドレ・ジェニエ(AG2R) 4h22’59”
2位 ディラン・ファン・バーレ(チームスカイ)
3位 マーク・パドゥン(バーレーン・メリダ)
4位 ディラン・テウンス(BMC)
5位 ヴィクター・カンペナーツ(ロット・ソウダル) +02”
6位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ) +05”
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレド) +24”
8位 ドリエス・デヴェニエンス(クイックステップ・フロアーズ) +48”
9位 トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル) +2’27”
10位 ヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ) +2’29”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) 50h28’56”
2位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット +3’22”
3位 )アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +3’23”
4位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’36”
5位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)(AG2R) +3’39”
6位 トニー・ギャロパン(AG2R) +3’46”
7位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +3’49”
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +3’54”
10位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +4’05”
H.Moulinette