ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ:最強大ベテラン絶好調!バルベルデが上りスプリントでサガンを一蹴!貫禄のガッツポーズで今大会ステージ2勝目!
暑さになれており、さらには母国開催のレース、勝手知ったるブエルタ・ア・エスパーニャで大ベテランのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)の勢いが止まらない。打撃戦となった上りスプリント勝負、誰もがスプリンター中心の展開となるかに思われたが、世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)を圧倒的な力でねじ伏せたのはグランツール総合を狙う男だった。確かにポイント賞ジャージを着ているとはいえ、積極的にステージ勝利を狙う貪欲さは今大会ここまで圧倒的な存在感を見せている。
最終局面、テクニカルなコーナーが続き一気に先頭集団がばらけ、一気に展開はスプリントへと向かう。ボーラ・ハンスグロエはアシストがサガンを牽引して行くが、先に仕掛けたのはイヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ)だった。それに合わせるかのようにサガンも残り200mで一気に加速勝負に出る。その背後ではバルベルデも加速、サガンの逆サイドを駆け上がっていく。しかし残り100mを切り、コース中央に舵を切ったサガンをあざ笑うかのようにバルベルデは逆サイドと進路を変えると、誰もいないオープンスペースで一気に加速し残り50mでサガンを捉えて見せた。そのまま衰えぬ加速のままゴールラインを切り、ガッツポーズを決めた。
「今日はきついって聞いていたから、誰かがタイムロスをいするだろうとは思っていたんだ。チームは”サガンの背後を取れ!”って指令だったんだけど、僕的にはタイムロスさえなければよかったんで”今日は勝利を狙うつもりはないよ”って伝えたんだ。でも結局最後は本能的にサガンを見たらスイッチが入ってしまったね。調子がいいのはわかっていたけど、まさかサガンを真っ向勝負で倒せるとは思っていなかったよ。」そう語るベテランの口調は滑らかだった。
サガンはステージ2位に終わり、さらにはステージ終了後にはメカトラの後の追走でドラフティング行為があったとして総合でも20秒のペナルティーと、イライラが募るステージとなった。
「全力で勝負したよ。でもそれでも勝利には届かなかったんだよ。あと数メートル、その差が勝敗を分けるのがレースなんだよ。でも調子は上がってきているし、いい感じだよ。」サガンは世界チャンピオンらしく毅然とそう語った。
この日のステージは逃げが発生するもボーラ・ハンスグロエやクイックステップ・フロアーズなど、スプリント勝負に徹したいチームが、逃げ切りを容認することはなかった。
明日の山岳バトルで総合は大きく順位を変えるだろう。本来であれば足を休めたいステージではあったが、調子がよかったバルベルデは本能的に勝負を挑み勝利をするなど、ライバルたちにその好調さを印象付けた。大本命なき大混戦となっているだけに、予想外の選手たちにさえ総合上位を狙うチャンスがある。今日の総合順位が明日はどう変わるのか、今から楽しみだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ
1位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) 4h35’54”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 ダニー・ファン・ポッペル(ロットNLジャンボ)
4位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(トレック・セガフレド)
6位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)
7位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
8位 ビョルグ・ランブレヒト
9位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ)
10位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ルディー・モラード(グルーパマFDJ) 31h20’34”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +37”
3位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +48”
4位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +51”
5位 トニー・ギャロパン(AG2R) +59”
6位 ミカル・クワイトコウスキー(チームスカイ) +1’06”
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)(AG2R) +1’11”
8位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’14”
9位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +1’18”
10位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +1’23”
H.Moulinette