ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ:最高のタイミングで飛び出したギャロパンがステージ勝利!クウィアトコウスキーは落車でタイムロス、バルベルデがステージ3位で総合2位にジャンプアップ

ここまでのステージとは違い、このステージの最終盤はそれぞれの思惑渦巻く乱戦となった。ステージ優勝を狙うものと総合でのジャンプアップを狙うもの、それぞれが激しい駆け引きを行う中、タイミングよく飛び出したトニー・ギャロパン(AG2R)が歓喜の勝利を果たした。そして総合争いではその総合勢のバトルに突入する前にミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)が落車、何とか追走をしタイムロスを悔いとどめるだけで必死のステージとなってしまう。そんな中で輝いたのはまたしても大ベテランのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)だった。ステージ3位で総合でも2位にジャンプアップを果たし、今大会の主役であることを改めて認識させた。

©Tim D.Waele/Getty Images
ブエルタほどコースマップがあてにならないグランツールはない。コースが間違っていることもあれば、表記されていないアップダウンがあることもしばしば、そしてこのステージでの獲得標高が2000mはあるが、一見そこまでの派手なバトルになるとは思えなかった。しかし、ふたを開けてみればかなり険しいゴール前のルートが、大混戦を生み出した。

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逃げのメンバーを追い込んでいくメイン集団のペースが上がり、その集団もどんどんと脱落者が出るサバイバルバトル、残り7kmでチームスカイのエース、クウィアトコウスキーが下りで落車をしてしまう。残り3kmの救済措置圏外であり、集団のペースが上がっていることもあり、セルジオ・エナオ(チームスカイ)のアシストを受けながら必死の追走となる。
先頭集団では残り3km手前でナイロ・キンターナ(モビスター)やジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ)らが動きを見せる。しかし残り2km、タイミング良く飛び出したパンチャー、ギャロパンの走りは軽快だった。ライバルたちがお互いをけん制するのをしり目に淡々と独走態勢へと持ち込むと、最後までそのわずかな差を守り切り、見事ステージ優勝を果たした。

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「今年は怪我、病気、そして数々のバッドラックといいところなしだったよ。ツールでもリタイアして、でもそれでもチームは僕をブエルタに送り込んでくれたんだ。それが功を奏したね。ここで勝てたことはとても大きな意味があるよ。最初は逃げに乗る予定だったんだけど、個々のコースは知っていたし、後半はかなり荒れると予想したんだ。そしてチームがその為に僕の為に最高の位置取りをしてくれたんだ。あとはチャンスを伺い、タイミングよく飛び出したんだ。残り50mで後ろを振り返り、後続との距離を見て勝利を確信したよ。」ギャロパンは笑顔でしゃべり続けた。
その背後ではスプリントバトルが勃発する。ポイント賞ジャージを狙うピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)に対し、真っ向勝負を挑んだのはそのポイント賞ジャージを着用するバルベルデ、最後はサガンが先着したが、大ベテランバルベルデの走りと存在感は際立っていた。
クウィアトコウスキーは残り5km過ぎからはアシストを失い単独となりダインピンチを迎えたが、それでも冷静に追走を続けタイムロスを30秒ほどと最小限にとどめることに成功した。
総合ではバルベルデが一気に総合2位までジャンプアップ、クウィアトコウスキーは逆に総合6位まで順位を下げた。ただタイム差は僅差での肉薄した状況が続いている。
「今日は運がなかったよ。でもエナオと何とかタイムロスを最低限にとどめることに成功したよ。」~クウィアトコウスキー

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「今日何がよかったかと言えば、ノートラブルで終えられたことだよ。ゴール前はきついことは予想していたけど、想像以上にきつかったね。路面も荒れていたからだと思うんんだけど、ちょっと舗装がよくなったところで無理をしたらチームスカイの選手(クウィアトコウスキーだと気づかず)のように落車してしまうことになったんだよね。あの後も次々目の前で落車していたからね。ライバルが落車で脱落するのを見るのはあまり好きじゃないけど、それでもそれがレースという生き物なんだよね。僕は最後まで細心の注意を払いながら気を抜かないで走り続けたよ。」~バルベルデ

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ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ
1位 トニー・ギャロパン(AG2R) 4h18’20”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +05”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
4位 エデュアルド・プラデス・リベルタ(エウスカルディ・バスクカントリームリアス)
5位 オマール・フライレ(アスタナ)
6位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)
8位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ)
9位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
10位 セップ・クス(ロットNLジャンボ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ルディー・モラード(グルーパマFDJ) 26h44’40”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +47”
3位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +48”
4位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +51”
5位 トニー・ギャロパン(AG2R) +59”
6位 ミカル・クワイトコウスキー(チームスカイ) +1’06”
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ)(AG2R) +1’11”
8位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’14”
9位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +1’18”
10位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +1’23”
H.Moulinette