ツール・ド・フランス第21ステージ:決着!新王者誕生!過去一度もグランツール表彰台さえなかったGトーマスが念願のマイヨ・ジョーヌ獲得!シャンゼリゼスプリント決戦を制したのはクリストフ


©Tim D.Waele/Getty Images
長くも短かった2018年夏の祭典が終わった。大会前から様々な話題を振りまいてくれたチームスカイが、最後までその主役の座を譲らなかったが、その中心にいたのはチームに”プランB”扱いされ、反骨心と闘争心を滾らせた男だった。過去12年間で13度のグランツール出場ながらも、最高順位が15位だった男が、華麗なる進化を遂げ、圧倒的な存在感でマイヨ・ジョーヌをパリまで守り切って見せた。表彰台ではウェールズの国旗を掲げ、壇上のスピーチはアドリブで行うなど、見る側にとっても新鮮味溢れる結末となった。

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「信じられないよ。この勝利を実感するまでにはもう少しかかりそうだね。普段ならステージはきつい者なんだけど、今日はもう気持ちと一緒でふわふわしていたよ。マイヨ・ジョーヌで仲間と一緒にパリを駆け抜けることができたなんて夢のようだよ。正直チーム内のことでいろいろあったけど、それでもこの3週間、崩れることなく一つにまとまったのがうちのチームだったよ。」Gトーマスは感慨深げに語った。
総合2位はトム・デュムラン(チームサンウェブ)安定した走りで最後まで走りぬいたが、一歩及ばずジロに続いてまたしても頂上に立つことはできなかった。しかし今年グランツールでチームスカイを実質的に追い詰めているのはデュムラン一人と言うことからも、この男の底力は恐ろしいものがある。

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総合3位にはクリス・フルーム(チームスカイ)が入った。大会前からのサルブタモールケースの幕引きがいまだに不信感となっているが、4大会連続でのグランツール出場、そして4連続勝利への挑戦はやはり常人のメンタルでは不可能だっただろう。やはり最後は切れ味を失うことが多く、最終的には自ら「エースはGトーマス」だと潔く認めてアシスト的動きに回るなど、チームの主柱としての役割を果たしたうえで、個人TTで迫りくる新鋭プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)を再逆転して表彰台を確保して見せた。
今年のツールでは、山岳賞はジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ)、さらには新人賞はピエール・ラトゥール(AG2R)と地元フランス人選手たちが大活躍を見せた。昨今なかなかフランス人選手が活躍できていなかっただけにこの活躍は大いにフランス全土を盛り上げた。

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ポイント賞は6度目となるピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)、ライバルたちが次々と脱落したことで早々と当確ランプに灯がともったが、まさかの落車で大怪我、本来であればリタイアしてもおかしくはなかったが、ジャージを守り抜くためだけに最終日まで走り切り完走、グリーンジャージに笑顔で袖を通した。
チーム総合は総合1位、3位を確保したチームスカイ…かに思われたが、各ステージでの上位3人のタイムがカウントされるチーム総合を制したのは、トリプルエースで挑んだモビスターだった。個人結果こそ物足りなかったが、チーム力という点では力量が高い選手が揃っており、うまく機能すれば間違いなく打倒チームスカイが可能だろう。

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そんな最終ステージを制したのはアレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)、有力スプリンターがほぼリタイアした中で、その過酷な山岳を耐えて生き残った男が最後の最後で有終の美を飾った。ジョン・デゲンコルブ(トレック・セガフレド)とアルノー・デマール(グルーパマFDJ)との直接対決となったが、誰よりも勝利に飢えていた今大会未勝利の男が最後の最後に底力を見せた。
「夢のようだよ!シャンゼリゼでの勝利をどれだか夢見てきたことか!何度となくもう少しと言うところで勝利を逃してきたからね。でもいつもマーク・カベンディッシュ(ディメンション・データ)やマルセル・キッテル(カチューシャ・アルペシン)ら最速の男たちが立ちはだかってきたからね。でも今日は彼らがいなかったから、チャンスだったんだよ。今日のぼくは強かった!最高にハッピーだよ!」クリストフは喜びを爆発させた。

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ツール・ド・フランス第21ステージ
1位 アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ) 2h46’36”
2位 ジョン・デゲンコルブ(トレック・セガフレド)
3位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
4位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)
5位 クリストフ・ラポルテ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(エティックス・クイックステップ)
7位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
8位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 アンドレア・パスカロン(ワンティ・グループゴベール)
10位 ジャスパー・デ・ブイスト(ロット・ソウダル)

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ツール・ド・フランス総合順位
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 83h17’13”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +1’51”
3位 クリス・フルーム(チームスカイ) +2’24”
4位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) +3’22”
5位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +6’08”
6位 ロメイン・バルデ(AG2R) +6’57”
7位 ミケル・ランダ(モビスター) +7’37”
8位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +9’05”
9位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +12’37”
10位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +14’18”
山岳賞
ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ)
ポイント賞
ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
新人賞
ピエール・ラトゥール(AG2R)
チーム総合
モビスター
総合敢闘賞
ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)
H.Moulinette