ツール・ドフランス第18ステージ:大会終盤のスプリントを制したのはデマール!サガンは怪我の影響もありスプリントに絡めず、キンターナが落車も翌日の山岳勝負を見据え総合勢は沈黙

山岳ステージでタイムオーバー失格との戦いをくぐり抜けてきた数少ないスプリンター、アルノー・デマール(グルーパマFDJ)がようやく安堵の時を迎えた。今大会苦悩が続いていただけに、ようやくの勝利、強豪スプリンターたちがほとんどリタイアした中でとはいえ、価値あるツールのステージ優勝をもぎ取った。

©Tim D.Waele/Getty Images
全くいいところがなかったグルーパマFDJにとっては数限られたチャンス、ここで勝利を逃せば地元フランスチームにとっては屈辱的な大会となるところだった。追走集団のペースをコントロールし、何とかスプリント勝負へと持ち込みたい思惑ははっきりとしており、その予定通り残り20kmで逃げの5人を吸収、主導権を保ったままスプリントへと持ち込んでいく。この日もここからはっきりとした動きを見せたのはボーラ・ハンスグロエ。世界チャンピオンでもあり6回目のポイント賞ジャージ獲得をほぼ確定させているピーター・サガンのために明確な目的意識を見せる。ただサガンは先日の落車の影響もあり、ステージ前から体の痛みを訴えており、難しい展開となる。
高速のまま何度も左右のコーナーが繰り返されるテクニカルな展開に、刻一刻と位置取りが変わっていく。しかしその中でもデマールとグルーパマトレインは先頭周辺を常にキープし続ける。そして残り200m、満を持してデマールが飛び出すと、クリストフ・ラポルテ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)とアレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)がそれに反応、三つ巴のまま一気にゴールへと突入していく。しかしこの日誰よりも意気込みスプリントに挑んだ男の勢いは抜群だった。デマールは渾身のガッツポーズを決め、自らの勝利を祝った。

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「今大会はほんと苦悩し続けたよ。このまま何もできないままに終わることが怖かったんだよ。今日は何とか勝負の土台に上がりたかったんだ。この勝利で安心して最終日のシャンゼリゼでのスプリントに挑むことができるよ。今日のチームワークは完璧だったよ。」デマールは安堵の表情を浮かべた。
総合勢では昨日のステージ勝者ナイロ・キンターナ(モビスター)がまさかの落車、なんでもない場所で発生した落車に巻き込まれる形となった。
「アシストが足りなかったね。でもそれ以上に僕の脚が回らなかったんだよ。」~クリストフ
「僕はいたって冷静だよ。まあいらいらはするけどね。足首も痛いしね。明日までに痛みが引いてくれるといいんだけどね。」~キンターナ
「あと一日、まだ勝負の山場はこれからだよ。上り勝負は緊張感たっぷりだよ。このまま最後まで乗り切りたいね。」~ゲラント・トーマス(チームスカイ)

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ツール・ド・フランス第18ステージ
1位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ) 3h46’50”
2位 クリストフ・ラポルテ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)
3位 アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)
4位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)
5位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(クイックステップ・フロアーズ)
7位 ジョン・デゲンコルブ(トレック・セガフレド)
8位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 テイラー・フィニー(EFエデュケーション・ファーストドラパック)
10位 ティモシー・デュポン(ワンティー・グループ・ゴベール)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 74h21’01”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +1’59”
3位 クリス・フルーム(チームスカイ) +2’31”
4位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) +2’47”
5位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’30”
6位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +4’19”
7位 ミケル・ランダ(モビスター) +4’34”
8位 ロメイン・バルデ(AG2R) +5’13”
9位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +6’33”
10位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +9’31”
H.Moulinette