ツール・ド・フランス第11ステージ:総合戦線に動きあり!仕掛けたのはデュムランとバルベルデ、しかし猛追のスカイからGトーマスが飛び出し勝利!Bプラン扱い否定がマイヨ・ジョーヌも獲得!
大会も中盤戦へと差し掛かり、総合バトルが一気に動き出した。真っ先に仕掛けたのは3人のエースを抱えるモビスターのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、さらにはツール初制覇を狙うトム・デュムラン(チームサンウェブ)だった。しかしその動きを最終的に粉砕したにはチームスカイのチーム力、そしてそこから飛び出した2枚看板のゲラント・トーマス(チームスカイ)とクリス・フルーム(チームスカイ)だった。Gトーマスはステージ勝利を挙げるだけではなくそのままマイヨ・ジョーヌも獲得、チームスカイがプランB扱いしながらも、それを自ら否定し続けた男が総合リーダーに躍り出た。
逃げのメンバー5人による逃げ切り勝負から飛び出したのはミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット)、皮肉にもチームのエースアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が総合勢が集まる集団から遅れを取るタイミングで飛び出した男はそのままステージ勝利めざし独走態勢へと持ち込む。
その後方では残り54㎞という早い段階で仕掛け、アシストのマルク・ソレル(モビスター)と共に一時は総合勢に2分差をつけたバルベルデ、さらにはその後その総合勢の集団から飛び出し追走を仕掛けたデュムランが攻めの姿勢を貫く。
しかしそのさらに後方では、この期に及んで5人体制を維持しているチームスカイが驚異的なペースアップでバルベルデとデュムランの猛追を仕掛ける。どんどんとその差が縮まっていくが、そのタイム差が30秒ほどになってからはなかなか縮まらない。しかし残り?km、ついにバルベルデはデュムランについていくことができなくなり脱落してしまう。
残り6km、ペースアップする追走の総合勢集団から飛び出したのはなんとGトーマス、フルームではなくGトーマスが先制攻撃をし変えると、あっという間にデュムランへと合流を果たす。その後ろではロメイン・バルデ(AG2R)、ナイロ・キンターナ(モビスター)らが揺さぶりをかけるが、最終的に抜け出したのはダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)とフルームだった。この二人の追走を誰がするのかで顔を見合わせている間に、一気にその差は広がり、その差はゴールまでじわじわと広がり続けることとなった。
残り1kmを切り、Gトーマスはさらにデュムランを置き去りにすると、一気に加速、別次元の軽やかな走りで残り400mでニエベを捉えると、そのまま独走でゴール、ステージ優勝とマイヨ・ジョーヌ獲得という目的をきちんと達成して見せた。デュムランはフルームに追いつかれるが、最後の最後、ゴールライン手前で意地を見せチームスカイのワン・ツーを阻止、何とか2位でステージを終えた。ステージ4位にはステージ序盤からの逃げの残党ダミアーノ・カルーソ(BMC)が、そして逃げ続けぎりぎりで勝利を逃したニエベがステージ5位となった。
「まだ夢心地だね。あのアタックは”本能”だったね。あれは”攻撃は最大の防御”、っていうことだよ。フルームは自分で何とか出来るからね。あとはまずデュムランを捉えて、フルームが来るのを確認して置き去りにするだけだったよ。ニエベには申し訳ないけど、勝利が見えたからね。行くしかないでしょ。」Gトーマスは冗舌だった。「マイヨ・ジョーヌはライバルの走り次第でもあるからね。でも獲得できたのは光栄だよ。二年連続袖を通せたのは最高だね。」
これで総合リーダーはGトーマスとなり、総合2位にはフルームとチームスカイのワン・ツー体制となった。そして3位にはデュムランと戦前の優勝候補がきっちりと上位に挙がってきた。昨日までの総合3位バルベルデは後半に大失速で3分を失い、一気にトップ10陥落、代わりに粘りの走りでバルデやキンターナらとゴールしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が総合4位、プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)が総合5位となっている。そのバルデとキンターナもそれぞれ総合8位と9位まで順位を上げてきた。イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ヤコブ・フグルサング(アスタナ)、ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ)らは大きく失速、総合争いから脱落した。
「誰もこの展開予測してなかっただろ。ラルプデュエズで、優位に立つのだろうと思われてただろうけど、この段階でライバルにかなり優位に立てたね。」~フルーム
「今日はいい走りができたね。でもこのツケを明日払うことになるかもね。それでも今日の走りには満足しているよ」~デュムラン
「今日は仕掛けて優位に立ちたかったんだけど、理想通りにはならなかったね。とにかくハイペースだったのが響いたよ。ここでのタイムロスが致命傷にならないことを願うよ。」~キンターナ
「今日は皆が仕掛けたね。今大会は誰がいつ”バッドデイ”を迎えるか次第になりそうだね。僕も落車してなかったらもっと上位にいただろうからね。」~Dマーティン
「チームスカイのペースが速すぎるんだよ。僕も一度はレッドゾーンまで行ったけど、何とかリカバー出来てタイムロスを抑えられたよ。」~ニーバリ
ツール・ド・フランス第11ステージ
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 3h29’36”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +20”
3位 クリス・フルーム(チームスカイ)
4位 ダミアーノ・カルーソ(BMC) +22”
5位 ミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット)
6位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +27”
7位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +57”
8位 ロメイン・バルデ(AG2R) +59”
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
10位 ナイロ・キンターナ(モビスター)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 44h06’16”
2位 クリス・フルーム(チームスカイ) +1’25”
3位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +1’44”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +2’14”
5位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) +2’23”
6位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +2’40”
7位 ミケル・ランダ(モビスター) +2’56”
8位 ロメイン・バルデ(AG2R) +2’58”
9位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +3’16”
10位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)
H.Moulinette