ツール・ド・フランス第10ステージ:山岳初日はアラフィリップが大逃げでクイックステップ今大会3勝目シーズン51勝目!総合リーダーのヴァン・アーヴェルマートも大逃げでタイムをさらに稼ぐ

個性派集団クイックステップ・フロアーズにはそもそも絶対的なグランツールエースはいない。だからこそステージ勝利へのこだわりを見せ続けている。今大会ここまでもフェルナンド・ガヴィリア(クイックステップ・フロアーズ)で2勝を挙げていたが、山岳初日の第10ステージではジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)が大逃げを決めた集団からさらに飛び出し、単独でステージ優勝を決めた。山岳ポイントも荒稼ぎしこれで山岳賞ジャージも確保、チームにとってはこれで10ステージ3勝となるとともに、今シーズン早くも51勝目、シーズン中盤にもかかわらず、昨年度の勝利数56に早くも手が届きそうだ。さらにはマイヨ・ジョーヌのグレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)までもが大逃げに乗り、さらには後続に追いつかれることなく踏ん張り切りゴール、後続の集団とのタイム差をさらに広げる殊勲の走りを見せた。

©Tim D.Waele/Getty Images
ヴァン・アーヴェルマートを含む21人の大逃げが決まったこのステージ、山岳ポイントを荒稼ぎしたアラフィリップは、残り31㎞で飛び出すと黙々と山岳をこなしていく。レイン・タラマエ(ダイレクトエナジー)がかろうじてアラフィリップについていくが、それを嫌ったアラフィリップは1級山岳からの下りで加速、タラマエを置き去りにする。

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その背後でヴァン・アーヴェルマートは必至の走りで粘り続ける。昨日のチーム存続のニュースを祝うかのごとく出来る限りマイヨ・ジョーヌをキープするために必死の走りを見せる。そのさらに背後の追走集団に固まる総合勢だが、そこから仕掛ける選手は出てこない。チームスカイのエース、クリス・フルームはパンクで遅れチームメイトのホイールを貰ったが、それもパンクしていたという冗談のような展開でさらにもう一度機材交換をする羽目となるが、それでもこの日の集団のペースを握っていたのはチームスカイ、そのハイペースにライバルたちは攻撃のチャンスを失ってしまう。

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アラフィリップはゴール前最後の1級山岳もトップ通過、最後まで独走を続けガッツポーズでステージ優勝を決めた。「感極まったよ。ツールでの勝利は難しいからね。それが今日のような圧倒的な勝ち方で勝利できたのは感激だね。僕自身も嬉しいけど、家族を喜ばすことができたのはもっと嬉しいね。うちは一応ボブ・ユンゲルス(クイックステップ・フロアーズ)が総合では上位を狙えるから、そのサポートをするよ。ただ今晩はこの勝利の余韻に浸っていたいね。」アラフィリップは感極まり涙しながら勝利を喜んだ。

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ヴァン・アーヴェルマートもそのまま後続との差をキープしたままステージ4位でゴール、総合リーダージャージを着ながら大逃げをするという動きに対して、敢闘賞が送られた。後続の主要総合勢の集団に1分39秒の差をつけてのゴール、これで一気に総合のタイム差が開いた。これで2位のゲラント・トーマス(チームスカイ)とのタイム差が、2分22秒差まで広がった。
総合勢の大多数は集団でゴールしたが、昨日の石畳で落車、怪我を負っていたユンゲルス、さらにはバウク・モレンマ(トレック・セガフレド)、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)はその集団からも1分近く遅れた。さらにリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック)はさらに昨日の影響もありこの日また大きくタイムを失ってしまい、総合争いで大きく後退してしまった。

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総合争いではアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が総合3位へと順位を上げ、チームメイトのランダも総合8位まで順位を上げてきた。またヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)も総合9位となり、総合優勝を狙うメンバーが徐々にトップ10に顔を揃え始めた。
この日のステージではニュートラルゾーンで落車が発生、モビスターのトリプルエースの一人、ミケル・ランダがまたしても落車してしまった。これによりスタートが遅れたが、その後再開されたスタートで勢いよく飛び出していったアラフィリップが最後まで主役であり続けた。
「コントかと思ったよ。パンクしてホイール貰ったらそれもパンクしてんだもん。」~フルーム
「欲しいと思っただけではマイヨ・ジョーヌは手に入らないんだよね。それがTDFだし、ヴァン・アーヴェルマートの走りが素晴らしいということだよ。でも彼は総合では脅威ではないからね。あと最終局面でも誰も仕掛けなかったのは、誰も確証が持てなかったからだね。」~ゲラント・トーマス(チームスカイ)

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「今日仕掛けようと思っていたやつは多かったはずだけど、あの向かい風とチームスカイのペースでは無理だったね。見事に封じられたよ。」~トム・デュムラン(チームサンウェブ)
「チームスカイと向かい風が、今日の仕掛けを不可能にしたよ。」~ニーバリ
「マイヨ・ジョーヌを守ろうという意識はなかったんだけど、僕が動いたらチームスカイがどうするかと思ったんだ。全く動かなかったね。」~ヴァン・アーヴェルマート
ツール・ド・フランス第10ステージ
1位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) 4h25’27”
2位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ) +1’34”
3位 レイン・タラマエ(ダイレクトエナジー) +1’40”
4位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC) +1’44”
5位 セルジュ・パウエルス(ディメンション・データ)
6位 リリアン・カルメジャーヌ(ダイレクト・エナジー) +2’24”
7位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +3’23”
8位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)
9位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)
10位 ゲラント・トーマス(チームスカイ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC) 40h34’28”
2位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +2’22”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +3’10”
4位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +3’12”
5位 ボブ・ユンゲルス(クイックステップ・フロアーズ) +3’20”
6位 クリス・フルーム(チームスカイ) +3’21”
7位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
8位 ミケル・ランダ(モビスター)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +3’27”
10位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) +3’36
H.Moulinette