ASOが強硬手段に!クリス・フルームの出場を拒否へ!「ASOレースに暫定王者はいらない」とジロ”暫定王者”を拒否し、レース規約にのっとり出走拒否をチームスカイへ通知
何度となく応酬が続いていたが、ついにツール・ド・フランス主催者のASOがフルーム問題で動いた。UCI規則では出場停止に該当していないサルブタモール問題渦中のクリス・フルーム(チームスカイ)に対して、主催者としての出場拒否権を発動、それをチームスカイに通達した。
ASOはレース規約28項の「レース主催者は、特定の選手の出場がそのイベントのイメージを主催者のレース理念を損ねる場合は出場を拒否することができる」に従い、フルームの今大会の出場を拒否することをチームスカイ側へと通達した。すでにこれだけ世間を賑わせる問題になっていること自体がレースの名誉と伝統を著しく傷つける行為に当たるとしている。それに対してチームスカイは即座に反応、まずはフランス五輪協会に上告した。明後日7月3日にはフランス五輪協会によるヒアリングが行われる予定で、その判断次第でCAS(スポーツ仲裁裁判所)へと進むこととなるだろう。その場合CASの判断は間違いなくツール開幕には間に合わないと思われる。
チームスカイは「フルームはルールにのっとり出場をするだけであり、それを妨げられるいわれはない。」としているが、それに対してASOの代表クリスチャン・プルドムは「そもそも競技連盟がツール開幕前に問題を解決できていないことがそもそもの問題」とUCIを断罪、その上で「グレーな選手は大会にいらない」と明確に審議中の身のフルームの出場を否定した。
実はチームスカイもASOがこのような対応に出る可能性を認識していたと思われ、多くのチームが出場選手を公表している中で、まだ出場選手を確定していなかった。誰がエースになるかでアシストの入れ替えが必要になる可能性があり、早い段階で「僕はツールでエースになる準備はできている」との発言をしていたゲラント・トーマス(チームスカイ)を中心としたメンバー構成になる可能性が出てきた。
過去には2008年にアスタナのチーム全体の出場を拒否、当時チームのエースであったアルベルト・コンタドールが連覇挑戦を絶たれたことがある。ASOが背負っている歴史という重みと伝統と格式は、想像を絶するプレッシャーがあることは容易に想像ができる。その為万が一のことを考え、ツールの名が汚される可能性のある要因は排除しておきたい、と言うのが明確だ。
今回のASOの判断にはすでに他のワールドツアーチームからは賛同の声も上がっており、チームスカイはますます追い詰められた状況となりそうだ。
H.Moulinette