クリテリウム・ド・ドーフィネ第7ステージ:TDFでのエースとなるアダム・イェーツが地力発揮で山頂を制しステージ優勝!総合優勝は余裕をもってゴールのゲラント・トーマス!


©Tim D.Waele/Getty Images
勝負どころの最終盤で遅れるも、ゲラント・トーマス(チームスカイ)余裕をもって総合優勝を確保した。今大会はチームスカイの組織力が極まったが、だがそれだけでなくトーマスの地味ながらも粘り強い走りと、ライバルたちの仕掛けどころをきちんと見抜く洞察力など、グランツールでのエースとしての資質を感じさせた。
しかしそんなステージを制したのは、ツール・ド・フランスでのエースが確定しているアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)だった。ジロ・デ・イタリアでの弟サイモンの活躍の触発された双子のもう一人がツールを前に結果でその調子の良さを示して見せた。

©Tim D.Waele/Getty Images
この日のステージではトーマスは2度のパンクに泣かされることとなる。そして2度目のパンク時にはAG2Rがペースアップをしていたこともあり、集団復帰に手間取る形となった。それでも集団復帰まで持っていけるのがチームスカイの組織力であり強さ、しかしトーマスはこれにより疲弊してしまう。

©Tim D.Waele/Getty Images
さらにはAG2Rのエースロメイン・バルデが執拗にアタックを繰り返し、攻めの姿勢を見せ続ける。だがそれもチームスカイのゲオグヘーゲン・ハートが徹底して対応し潰しにかかる。さらにはここへ来て好調なダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)も揺さぶりをかけるなど、総合争いが激化する。

©Tim D.Waele/Getty Images

©Tim D.Waele/Getty Images
ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)らと一緒に序盤から飛び出したダニエル・ナヴァーロ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)は独走態勢となり、そのまま単独ゴールとなるかに思われたが、総合勢の激しい駆け引きでペースアップした追走から残り500mで飛び出したAイェーツは猛然と加速、なんとゴールまで残り50mでナヴァーロを捉える。苦悶の表情と共に悔しさをにじませるナヴァーロを足取り軽くパスしたAイェーツはそのままゴールで笑顔でガッツポーズを決めた。総合でも2位を獲得、TDFに向けて最高の調整となった。
バルデも意地を見せ最後の最後でトーマスを振り切りステージ3位を獲得、これで総合でも3位をキープした。

©Tim D.Waele/Getty Images
「僕の戦歴の中ではこの勝利は間違いなく大きなものになったね。正直初日の滑り出して躓いたから、勝てるとは思ってもいなかったよ。常に一つ先の上り、一つ先のステージを意識して黙々と走り続けたんだよ。僕はトラック選手としてスタートし、まさか山岳をこなしてこのような総合優勝ができる選手になれるとは思っていなかったよ。でもこの勝利はチームワークがあってこそ、この勝利は僕一人の力ではないこともまた事実だね。全幅の信頼を寄せ、盲目に信じることができるチームメイトがいることは宝だよ。そして今日のチームの走りはすごかったよ。僕の2度のパンクでもきちんと対応しきったからね。僕自身も何とか最後までまだ脚を残せたのはラッキーだったね。」トーマスは勝利に感慨深くそう語った。「これでツールを明確に目標にできるね。」

©Tim D.Waele/Getty Images
そしてステージ勝利と総合2位を確保したAイェーツもツールへ向けて準備万端のようだ。「ツールは僕のゴールだからね。カタルーニャで予定が狂い、そこからのリカバリーに時間を費やしたけど、今はコンディションも整ったよ。今日は明確に勝利が欲しかったんで、自分のタイミングが来るまで我慢し続けたのがよかったね。」
この大会で総合系エースを務めた選手たちの多くはツール・ド・フランスでもエースを任される可能性の高い選手たちだ。結果を残し調整がうまくいっているもの、まったく調子が上がってこないものなど明暗は分かれた。ツールまで残り1か月、本番までに誰がどこまで調子を上げてくるのか、残された時間は少ない。
クリテリウム・ド・ドーフィネ第7ステージ
1位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 3h51’34”
2位 ダニエル・ナヴァーロ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +04”
3位 ロメイン・バルデ(AG2R) +09”
4位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +14”
5位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +19”
6位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +24”
7位 ダミアーノ・カルーソ(BMC)
8位 ギヨーム・マルティン(ワンティ・グループゴベール) +28”
9位 ピエール・ラトゥール(AG2R) +35”
10位 ピエール・ローラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +41”
クリテリウム・ド・ドーフィネ 総合順位
優勝 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 24h43’12”
2位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +1’00”
3位 ロメイン・バルデ(AG2R) +1’47”
4位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +2’35”
5位 ダミアーノ・カルーソ(BMC) +2’44”
6位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +3’05”
7位 ピエール・ラトゥール(AG2R) +4’05”
8位 ピエール・ローラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +4’22”
9位 ダニエル・ナヴァーロ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +4’31”
10位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +4’45”
H.Moulinette