ジロ・デ・イタリア第18ステージ:クイックステップが連勝!シャフマンが逃げ切り勝利!イェーツがマリア・ローザ守るも頂上ゴールへの上りで失速!デュムラン、フルーム、ポッツォヴィーヴォに遅れる

遂に終盤戦、総合対決が激化する中で、ここへきて逃げ切りバトルとなった。ステージ勝利はなんとステージ連勝となるクイックステップ・フロアーズ、昨日のエリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップ・フロアーズ)に続いて、この日はマキシミリアン・シャフマン(クイックステップ・フロアーズ)が存在感を見せつける走りでチームに今シーズン37勝目をもたらした。これでチームとしては今大会18ステージで5勝、総合を全く狙わないチームとして、ステージ勝利を量産し続けている。これもチーム戦略でありチームのスタイル、特化したチーム作りの賜物だろう。
そして総合争いでも最後の頂上ゴールへ向けバトルが勃発、マリア・ローザのサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が、ライバルたちの攻撃の前に遅れるも踏ん張り切り総合リーダーの座を守り切った。

©Tim D.Waele/Getty Images
この日は逃げが容認され、逃げメンバーの中から勝者が決まることが確定すると、駆け引きが始まり徐々にその人数が減らされていく。その中でも疲れ知らずな走りを見せたのがシャフマンとマッティア・カッタネオ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)だった。クリストフ・フィングステン(ボーラ・ハンスグロエ)も粘りの走りを見せるが、何度も繰り返される揺さぶりに翻弄され脱落、ルーベン・プラーザ(イスラエル・サイクリングアカデミー)は脱落をするも粘りの走りでシャッフマンとカッタネオに喰らいつく。

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残り1kmを切り再度プラーザが合流を果たすと、ここからは心理戦となったが、勾配がカッタネオとプラーザを予想以上に消耗していた。シャッフマンはそれを見逃さず豪快な加速、プラーザも最後の力を振り絞るがまったく届かず、完璧な勝ち方でクイックステップ・フロアーズがステージ連勝、これで18ステージで5勝となんと1/3近い勝利を挙げるという強さを見せている。
「初めてのグランツールで初めてのステージ勝利なんて最高だよ!あとはヴィヴィアーニのさらなる勝利のために専念するよ。うちのチームは誰が勝とうと関係ないんだ、勝てる人間が勝てばいい、勝利はチームの為、勝てばOKなんだよ。」シャフマンは個性派集団の理念を口にした。

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その背後では壮絶な総合争いが勃発した。ゴールまでの険しい上りに入り、モビスターがペースアップ、これにより総合系集団は一気にアシスト勢を失い、それぞれチームのエースの直接対決となる。チームのエースとなるリチャード・カラパズ(モビスター)の新人賞と総合順位アップをもくろんでの動きだったが、逆にこれがその直接ライバルであるルイス・アンヘル・ロペス(アスタナ)の逆襲の呼び水となってしまった。カラパズも懸命に追うが、ロペスはそのまま単独でぐんぐんとライバルたちを置き去りにしていく。

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残り距離も2kmをきり、総合3位以下は僅差のタイム差となっているため、ここから順位を落としたくない選手たちが動く。まずはクリス・フルーム(チームスカイ)が加速すると、僅差の総合3位、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)が動く。さらにはトム・デュムラン(チームサンウェブ)も苦悶の表情を浮かべながらもなんとかそれについていく。しかしここでなんと総合首位、マリア・ローザのサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)がこれについていくことができない。ここからじわじわとタイム差が開いていき、最終的にはデュムランから28秒遅れでゴールとなった。ゴール後は笑顔で「まだ28秒あるよ。」と気丈に語ったイェーツだが、連覇を狙うデュムランの足音がついにその真後ろまで迫ってきた。さらにはポッツォヴィーヴォとにタイム差もこれで再び2分差台まで縮まり、イェーツにとっては耐えなければならない正念場、総合優勝へ向けたプレッシャーの中で、フィジカルと共にメンタルの強さも試される時がやってきた。

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「今日は最高の一日とはならなかったけど、悪くはなかったよ。明日はより僕向けのコースだから心配はしていないよ。残り日数が少なくなり、防御主体で行こうとは思っていたけど、それがうまくはまらないなら攻撃あるのみだね。事実前半戦はそれが結果に繋がったからね。最後の最後まで、 ローマまで戦うよ。」イェーツの目はまだまだ死んではいない。
ジロ・デ・イタリア第18ステージ
1位 マキシミリアン・シャフマン(クイックステップ・フロアーズ) 4h55’42”
2位 ルーベン・プラーザ(イスラエル・サイクリングアカデミー) +10”
3位 マッティア・カッタネオ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +16”
4位 クリストフ・フィングステン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’10”
5位 マルコ・マルカート(UAEチームエミレーツ) +1’26”
6位 ミカエル・モロコフ(クイックステップ・フロアーズ) +1’36”
7位 ヴィアシェスラウ・クズネツォフ(カチューシャ・アルペシン) +1’52”
8位 ホス・ファン・エムデン(ロットNLジャンボ) +3’22”
9位 アレックス・チュリン(ウィリエール・トリエスティーナ) +3’29”
10位 デビデ・バレリーニ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +5’09”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 75h06’24”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +28”
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ) +2’43”
4位 クリス・フルーム(チームスカイ) +3’22”
5位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +4’24”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’54”
7位 ローハン・デニス(BMC) +5’09”
8位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +5’54”
9位 リチャード・カラパズ(モビスター) +5’59”
10位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ) +7’05”
H.Moulinette