ジロ・デ・イタリア第14ステージ:ゾンコランを制したのはフルーム!イェーツもそれに対応しライバルとのタイム差をさらに広げることに成功!デュムラン踏ん張るも40秒を失う!総合大シャッフル


©Tim D.Waele/Getty Images
戦前から総合勢による大バトルになることはわかっていた。しかし誰が主導権を握るかは未知数だった。そんなステージで、ようやくエンジンのかかったクリス・フルーム(チームスカイ)が本来の姿を披露、チームワークと自らのハイケイデンス走法で攻撃を仕掛けてステージを制した。マリア・ローザのサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)はただ一人それに最後まで対応しきって僅差でゴール、総合争いで最も危険視していた昨年度の覇者トム・デュムラン(チームサンウェブ)とのタイム差をさらに広げることに成功した。たいしてファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)は完全に脱落、総合争いからも大きく後退した。

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残り4km、今大会ここまでらしくない走りでタイムロスを積み重ねてきた男が動いた。この日は最強のアシスト陣がようやくその力を活かせる状況となり、ワウト・ポエルス(チームスカイ)がペースを上げてライバルたちのアシストを一気に削ってしまった。そしてポエルスが役割を終え離れた瞬間、フルームが飛び出していった。しかし一気にその差は広がらない。イェーツ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)の3人が集団となりそれを追走する。

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デュムランとティボー・ピノー(グルーパマFDJ)はこの動きには全く動じず、焦ることなくマイペースを貫く。特にデュムランはジロを制した昨年そうであったように、爆発的な動きへの対応はほぼせず、自らのペースを守り続けることで山岳をこなしてきた。通常であれば焦りそうなこの局面でも、この日も初めて上るゾンコランでそれをきっちりと守り続けるあたり、デュムランのメンタルの強さがうかがえる。

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そして残り3km、イェーツがう動く。単独でフルームを追走開始、徐々にその差を詰めていく。昨年度まではいつもこの最終局面で後れを取っていた男は、一年という期間を得て間違いなく進化していた。フルームの走りに対して小柄な体を左右に揺さぶりながら追走、最後の最後までフルームに追いつくことはできなかったが、それでも唯一フルームに肉薄する走りを見せた。フルームも背後に迫るイェーツを感じながら何度となく再加速をするが、最後まで振り切ることはできなかったが、それでもわずかなタイム差を維持し続け、ゴールでは勝利の雄たけびを上げた。イェーツは2位に入り、フルーム以外の総合のライバルたちとのタイム差をさらに広げることに成功、文句なくこの日もう一人の勝者となった。

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「ゾンコランというジロの象徴で勝てて感無量だよ。特に今大会はしょっぱなから躓いたからね。だからチームのサポートを得てここで勝利できたことは本当に意味があるよ。残り4km、あそこが仕掛け時だと思ったんだ。ちょうどポエルスがアシストを終えたばかりのタイミングだったし、そのままのペースで仕掛けてしまいたかったんだよ。ずっとサイモン(イェーツ)が背後に近づいてきているのをひしひしと感じていたから、残り100mを切って勝利を確信したときはほっとしたよ。」フルームは冗舌に語った。

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「勝てなかったけど満足だよ。フルームが仕掛けたあのタイミングでは、僕は動けなかったんだ。だから自分が動けるまではマイペースで行ったんだよ。デュムランとはタイム差が広がったけど、まだ十分じゃないね。TT一発で簡単に取り換えされてしまうだろうからね。そういう意味ではまだまだ攻めないといけないよ。」イェーツは喜びをにじませながらも、マイペースで走り切ったデュムランを警戒した。
そのデュムランは離されながらも一切動じずマイペースで上り続け、フルームから37秒遅れでゴール、タイムロスを最小限にとどめ大会連覇をまだ視野にしっかりと捉えている。このステージが終わり総合は大シャッフル、イェーツとデュムランのワン・ツーは変わらないが、総合3位にはポッツォヴィーヴォが順位を上げ、フルームも一気に総合5位まで順位を上げた。更には新人賞争いも激化し、総合順位で6位にジャンプアップしたロペスが、7位へと順位を下げたリチャード・カラパズ(モビスター)からジャージを奪った。

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一つ注目すべきは、気が付けばなんと総合トップ10にアスタナ勢が2人もいることだ。アルーが抜けエース不在と言われるチーム、エース獲得失敗でスポンサーの怒りをかい結果を求められているチームが確実に結果を残している。
ジロ・デ・イタリア第14ステージ
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 5h25’31”
2位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +06”
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ) +23”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +25”
5位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +37”
6位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +42”
7位 ワウト・ポエルス(チームスカイ) +1’07”
8位 セバスチャン・レイエンバッハ(グルーパマFDJ) +1’19”
9位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +1’35”
10位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +1’43”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 61h19’51”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +1’24”
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ) +1’37”
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +1’46”
5位 クリス・フルーム(チームスカイ) +3’10”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +3’42”
7位 リチャード・カラパズ(モビスター) +3’56”
8位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ) +4’04”
9位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +4’29”
10位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +4’43”
H.Moulinette