ジロ・デ・イタリア第15ステージ:マリア・ローザパワー炸裂!イェーツが独走勝利でライバルたちを撃沈!デュムランはこの日も踏ん張るが痛いタイムロス、昨日勝利のフルームは勢い無く完敗


©Tim D.Waele/Getty Images
今年の主役はサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、誰がそんなジロ・デ・イタリアを予測していただろう。しかしそれが現実、休息日前の山岳ステージでも圧倒的な強さで自ら仕掛けると、そのまま独走態勢を築いたまま単独で頂上ゴールへの上りへと突入する圧倒的な走り、そのままスピードを緩めることなく今大会3勝目を挙げるとともに、ライバルたちをさらに突き放し大きなアドバンテージを得ることに成功した。連覇狙うトム・デュムラン(チームサンウェブ)も相変わらずのマイペース走法を貫くが、勢いに乗ったイェーツの軽やかな走りの前では力不足だった。

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残り17㎞、ついにイェーツが動いた。この時点でフルームはすでに後方に置き去りにされ、残っているのは総合上位者のみ。かろうじてミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)がイェーツに反応こそするが、あっという間に引き離されロペスはデュムラン、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)、ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)、リチャード・カラパズ(モビスター)に合流する。
ここからのイェーツは圧巻だった。単独で黙々と上り頂上を超えると、頂上ゴール前の下りでもデュムランらとの差を広げていく。デュムランら5人は何とか協調体制を維持するが、それでも総合上位勢は自らの順位を優先する意識も働き積極的な追走とはならない。いらだちを見せるデュムランが「しっかりとローテーションしろ」と指示する場面も見受けられた。

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そして迎えたゴールまで最後の上り、淡々と上るイェーツの表情は自信に満ち溢れていた。苦しさは感じられず、ただ自分のペースで淡々黙々とペースを刻んでいく。その背後ではデュムランが一旦遅れを取ってしまう。しかしここでもデュムランは冷静であり続けた。圧倒的な走りを見せたイェーツが歓喜のガッツポーズでゴールすると、その背後ではデュムランが再び残り4人に合流を果たし最後はスプリント勝負にも参加、ロペスに次いでステージ3位に入って見せた。

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「本能だね。まずは下りで少し差が開いたから、ジャック・ヘイグにペースを上げてくれるように頼んだんだ。それが最初、で次は僕が仕掛けたときはこれこそがタイミングだと思ったんだよ。脚もよく回っていたし、行けると思ったんだ。最初ロペスらが反応はしたけど、その反応の具合を見てもう一段階アタックをしたんだ。そしたらそのまま抜け出せたんだよ。ゴールまでの15kmは人生で最も長くてきつい時間だったね。」イェーツの勝負勘は冴えまくっているようだ。これでついに総合2位のデュムランとの差は2分以上にまで広がり、TTを考えてもかなり優位な立場に立つこととなった。「このタイム差は一回のTTで失ってしまうかもしれないけど、それでも今現状アドバンテージがあるという意味では気持ちが楽だね。」

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そして連覇へのハードルがあがってしまったデュムランだが、「今のイェーツは現状のぼくには強すぎる相手だ。」としながらも「今日はあの4人と一緒に行ったのが失敗だった。もっと積極的に動くかと思ったら全然動かなかったんだよ。僕一人でさっさと追走したほうがよかったわ。」とレース後イェーツを積極的に追わないライバルたちに怒り心頭だった。
昨日ゾンコランを制して調子が上がってきていると思われたフルームだったが、この日は一転早々と脱落、粘りの走りを見せるも1分半遅れでのゴールとなった。そして大会前もう一人の優勝候補だったファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)はなんと19分遅れる大ブレーキ、中盤の上りで苦悶の表情を浮かべると、向けられたカメラに向かっても「撮らないでくれ」とアピールするなど、完全にブレーキとなった。

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ジロ・デ・イタリア第15ステージ
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 4h37’56”
2位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +41”
3位 トム・デュムラン(チームサンウェブ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)
5位 リチャード・カラパズ(モビスター)
6位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)
7位 アレクサンドレ・ジェニエ(AG2R) +1’20”
8位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ)
10位 サム・オーメン(チームサンウェブ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 65h57’37”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +2’11”
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ) +2’28”
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +2’37”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’27”
6位 リチャード・カラパズ(モビスター) +4’47”
7位 クリス・フルーム(チームスカイ) +4’52”
8位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ) +5’34”
9位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +5’59”
10位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +6’13”
H.Moulinette