ジロ・デ・イタリア第9ステージ:休息日前の頂上決戦、制したのは総合リーダーのイェーツ!チャベスと共に総合ワン・ツー!デュムランは12秒、フルームとアルーは1分以上のタイムロス!
休息日前の頂上ゴールは、間違いなく頂上決戦となるのだ。今年もその慣習は健在ながらも、積極的ではなく地味に最後まで推移することとなった。しかしそれでも展開はドラマチックに、連覇を狙うトム・デュムラン(チームサンウェブ)は最後の最後でじりじりと引き離され12秒差、そしてもう一人の大本命クリス・フルーム(チームスカイ)は1分差以上のタイム差をつけられる惨敗となった。そんなステージを制したのはマリア・ローザを着用するサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、もう一人のエースでありイェーツをアシストしたエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)と共にその存在感を強烈に印象付け、ステージ1位と3位を獲得し、総合でもチャベスがジャンプアップし総合ワン・ツー体制となった。
とにかく動かない展開が続いた。ゴールまでの最後の上りに入り、先行するのは逃げの残党の最後の一人、ファウスト・マスナダ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)、そしてそれを逃げと総合勢を含んだ集団が追う展開となる。マスナダ以外の選手が次々と飲み込まれ、残り5kmを切りいよいよ総合勢も消耗戦となる。
一発の仕掛けはないものの、アシストを削るペースアップなどが繰り返され、みるみる間に集団は小さくなっていく。マスナダも蛇行しながら粘り続けるが迫る総合勢に飲み込まれ、さらには残り2kmでフルーム、そしてファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)が遅れだす。ギウリオ・チッコーニ(バルディアーニCSF)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)はここでさらにペースアップと揺さぶりを繰り返し、フルームとアルーは苦悶の表情でさらに後退していく。
残り1kmを切り、ミッチェルトン・スコットがその数的優位を発揮する。チャベスとイェーツは一気に勝負を決めるペースアップを図ると、それに対応できたのは連日不気味にタイムを削り続けるティボー・ピノー(グルーパマFDJ)と新人賞ジャージを着用する昨日の勝者リチャード・カラパズ(モビスター)のみだった。最後はマリア・ローザーのイェーツが貫禄の勝利、チャベスもステージ3位でにんまりとした笑みを蓄えながらのゴールとなった。この日もステージ2位のピノーはまたもボーナスタイムを獲得、着実にタイムを稼ぎ出している。
デュムランは地道にマイペースを刻みタイムロスを最低限に抑えて12秒差のステージ8位、しかしながらボーナスタイムによりチャベスに逆転を許し総合3位へと後退した。フルームとアルーは1分以上のタイムロスで総合総合トップ10から陥落、大会前有力候補に挙げられた二人が中盤で早くも窮地へと追い込まれた。
「今日の勝利はチームメイトたちのおかげだよ。彼らが主導権を握りぼくらが走りやすい環境を作ってくれたんだよ。今日は逃げ切りが容認されるかと思ったけど、でも一定距離を保つように仕向ければ、もしかして他チームの関心を示しステージ勝利争いになるかと思ったんだ。そうしたら思惑通りアスタナが乗っかってきてくれたんだよ。マリア・ローザを守るためにはまだデュムランとのタイム差を広げないとね。」イェーツはこの日のチーム力を称えた。
まさかのタイムロスとなったフルームは、「きつかったよ。今年のジロは本当にいろいろと出だしからきついよ。今日はあとただ耐えしのぐしかなかったよ。休息日でここまでの走りを再評価してこれからを考えないとね。」ここまで苦戦するフルームはあまり見たことがない。そしてもう一人の有力候補アルーも「何を言えっていいんだい?僕だって人間だよ。とにかくもう足に力が残っていなかったんだよ。」同じ日に有力選手二人が”バッドデイ”、選手たちが3週間のうち必ず迎えると言われる最悪の一日を味わうこととなった。
ジロ・デ・イタリア第9ステージ
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 5h54’13”
2位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)
3位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)
5位 リチャード・カラパズ(モビスター)
6位 ダビデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ)
8位 トム・デュムラン(チームサンウェブ)
9位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
10位 ギウリオ・チッコーニ(バルディアーニCSF)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 37h37’15”
2位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) +32”
3位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +38”
4位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +45”
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ) +57”
6位 リチャード・カラパズ(モビスター) +1’20”
7位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ) +1’33”
8位 ローハン・デニス(BMC) +2’05”
9位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ)
10位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +2’25”
H.Moulinette