ジロ・デ・イタリア第3ステージ:止まらないクイックステップとヴィヴィアーニ!力の差を見せつけステージ連勝!これでチームは今シーズン早くも30勝到達!


©Tim D.Waele/Getty Image
不利な状況においてもそれを打開することができるのが真の強者、そんな真の強さとは何当たるかをエリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップ・フロアーズ)が見せてくれた。進路がふさがり不利な状況でもペダリングやめることなく続け、進路をこじ開けての勝利、見事ジロ・デ・イタリアの大舞台でステージ連勝を成し遂げて見せた。そして総合上位ではゴール手前のテクニカルなコース設定が災いし、総合3位のヴィクトル・カンペナーツ(ロット・ソウダル)が大きくタイムを失う結果となり、総合トップ10から思わぬ形で脱落した。

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この日のステージは横風への不安が選手たちを苦しめる。229㎞という長丁場に加え、路面のアスファルトも慣れ親しんだものとは若干の違いがあり、選手たちは神経をとがらせる。そんな中昨日も地元イスラエルでの活躍を見せたイスラエル・サイクリングアカデミーのギヨーム・ボイヴィンが逃げに乗る。エンリコ・バルビン(バルディアーニCSF)、マルコ・フラポルティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)、と共にスタート直後から集団から飛び出すとそのまま3人に逃げは延々と続いた。

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何度となく横風にさらされる集団、分裂と吸収を繰り返しながら、最大7分以上あった先頭3人との差を縮めていく。予想されていた横風は最後まで強く吹くはなく、レースはそのままスプリントバトルめがけて展開していく。ここでやはり際立つのはクイックステップ・フロアーズの動き。隊列を組みどんどんとペースを上げていく。
しかしここ二日のヴィヴィアーニの動きは、クイックステップの定番、圧倒的なアシストからの発射ではない。この日もアシストが最終局面で何度も振り返りヴィヴィアーニの位置を確認する。そのヴィヴィアーニはライバルスプリンターの背後にぴたりと収まり、ライバルの動きを注視する。

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そしてこの日動いたのはサム・ベネット(ボーラ・ハンスグロエ)、その背後からスプリントを開始したヴィヴィアーニはベネットの脇を駆け上がろうとするがベネットは斜行し、進路がふさがれそうになる。しかしここからがヴィヴィアーニの巧みさ、自転車を左右に振ってもがけないほどに幅を寄せられながらも、ペダリングを辞めずにさらには肘でベネットを制止させ、それ以上の斜行を止めたのだ。そしてそのまま昨日同様に爆発的な加速でステージ連勝、王者の貫禄漂うスプリントでチームの今シーズンの勝利数を30勝にまで伸ばした。
「今日は長丁場できつかったね。実は獲得標高も積み重ねれば2000mにもなったし、集団内が横風を警戒してピーキーだったからね。実はレース序盤は調子が良くなかったんだよ。それがだんだんと気分が乗ってきたんだよ。最後もチームのリードアウトから発射しようかとも思ったんだけど、向かい風が強かったからベネットマークに切り替えたんだ。後は御覧の通りさ。イスラエルでの週末は最高のものになったね。ジロとして最高のスタートだっただけではなく、オーガナイズも沿道のファンも最高だったよ。でもここからが本番だよね。ジロはイタリアだからジロなんだよ。そして僕自身グランツールで活躍できるという自信を胸にこれから3週間を駆け抜けるよ。」ヴィヴィアーニは絶好調に冗舌だった。

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ヴィヴィアーニのライバルの動きを見るという作戦は、自身の走りによほどの自信がない限りできないリスキーさもある戦法、新チーム移籍でトレインとの息もぴったりであり、チーム力を盾にした「勝ち方」というものを体が覚えたのだろう。今大会何勝できるかが益々楽しみだ。
総合ではカンペーナツが総合3位から陥落したことで、それ以下の選手たちがそれぞれ一つずつ総合順位を上げた。
ジロ・デ・イタリア第3ステージ
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップ・フロアーズ) 5h02’09”
2位 サッシャ・モドロ(EFエデュケーション・ファーストドラパック)
3位 サム・ベネット(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 ヤコブ・マレツコ(ウィリエール・トリエスティーナ)
5位 ダニー・ファン・ポッペル(ロットNLジャンボ)
6位 イェンス・デブシェール(ロット・ソウダル)
7位 マニュエル・ベレッティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
8位 バプティスト・プランカート(カチューシャ・アルペシン)
9位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)
10位 ホセ・ゴンサルベス(カチューシャ・アルペシン)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ローハン・デニス(BMC) 9h05’30”
2位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +01”
3位 ホセ・ゴンサルベス(カチューシャ・アルペシン) +13”
4位 アレックス・ダウセット(カチューシャ・アルペシン) +17”
5位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +19”
6位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +21”
7位 マキシミリアン・シャッフマン(クイックステップ・フロアーズ) +22”
8位 トニー・マルティン(カチューシャ・アルペシン) +28”
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)
10位 カルロス・ベタンクール(モビスター) +29”
H.Moulinette