E3ハレルベーク:主人公はクイックステップ・フロアーズ!テルプストラが見事な逃げ切り勝利!チームワークでその逃げを支えたジルベールが2位でワンツー!サガンはまた絡めず
ワールドツアーとなったE3ハレルベークの石畳決戦で終始目立ったのはクイックステップ・フロアーズだった。誰もがエース、調子いもので勝負、そんな個性派集団クイックステップ・フロアーズは今シーズンも異なる面々で勝利を量産中、他のチームとは一味違うスタイルを貫いている。そんなチームにはクラシックが得意な面々が多く顔を揃えているが、今大会でその表彰台の中央に立ったのはパリ~ルーベも制したことがあるニキ・テルプストラ(クイックステップ・フロアーズ)だった。さらにはそのサポートに徹したフィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ)が追走集団の頭を取り2位、チームでワン・ツー達成、チームワークのお手本のようなレースを見せた。
この日のレースは多くの落車に見舞われることとなった。ここまで調子が上がらない現世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)に加え、セップ・ファンマルケ(EFエデュケーション・ファーストドラパックp/bキャノンデール)、アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)、オリビエ・ナエセン(AG2R)、アルノー・デマール(グルーパマFDJ)ら有力勢が巻き込まれるが、それぞれ隊列に何とか戻ることに成功する。
しかしこのチャンスをクイックステップ・フロアーズとロット・ソウダルは見逃さなかった。一気にペースを上げ逃げとの間合いを詰めるとともに、集団を大きく削り、第2集団との差もぐんぐんと広げていく。このペースアップに先頭集団は間もなく崩壊し、順に吸収されていく。さらに残り71㎞でタイエンベルグを迎えるとここでテルプストラとイブ・ランパートのクイックステップ・フロアーズコンビが飛び出していく。そのまま逃げの残党をすべて捉え、レースの先頭に躍り出ると、このデュオの走りはますます冴えまくり、ぐんぐんと後続との差を広げていく。
それに対してグレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)らは追走を試みるが、集団内にクイックステップ・フロアーズのメンバーが多くいるために有効打が打てない。ようやく単独で飛び出すも、ティス・ベノート(ロット・ソウダル)に加え、ジルベールがきっちりとマークに入る。
ここからクイックステップ・フロアーズはさらに鮮やかなチームワークを見せる。先頭のランパートがきつくなりテルプストラが単独になりそうになると、すかさずジルベールが追走集団から飛び出していく。しかしランパートが何とか粘りを見せテルプストラに追いつくと、ジルベールは再び追走集団へと戻っていったのだ。
しかし結局残り24㎞でランパートは脱落、ここからテルプストラは独走態勢となる。残り距離からして追走はテルプストラへの脅威になると判断したジルベールはここからはゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ)と力を合わせ徹底して追走のアタックを潰す役割に徹する。近くて遠いテルプストラの背中、僅か20秒ほどのタイム差でありながら、誰も追走を仕掛けることができない。
そのままのタイム差をキープしたテルプストラは最後まで逃げ切りを達成、見事優勝を成し遂げた。その背後では優勝を逃したことが分かった選手たちが一瞬気を抜いたのを見透かしたジルベールが仕掛ける。加速するどくあっという間に差を広げると、余裕で2位を確保した。狙っていたが作戦が何一つ機能しなかったヴァン・アーヴェルマートは3位に終わった。
「この勝利は僕にとっては大きなタイトルだね。今日の勝利はチームワークのたまものだよ。完璧にレースを支配していたからね。全員がしっかりと役割を果たしたからね。去年は不調でもなかったのに1勝もできずに本当にがっかりしたからね。74㎞の逃げなんて馬鹿だろうと思われたかもしれないけど、でも今日は何か成し遂げられると思っていたんだよ。後は心折れないように頑張るだけだったよ。
今シーズンここまで調子が上がらないサガンはこの日も残り40㎞で遅れてしまい勝負に絡めず、まだまだ春は遠そうだ。
E3ハレルベーク順位
優勝 ニキ・テルプストラ(クイックステップ・フロアーズ) 5h03’34”
2位 フィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ) +20”
3位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)
4位 オリビエ・ナエセン(AG2R)
5位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル)
6位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
7位 セップ・ファンマルケ(EFエデュケーション・ファーストドラパック)
8位 ジャンニ・モスコン(チームスカイ)
9位 ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ)
10位 ステファン・キュング(BMC)
H.Moulinette