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一気に派手な展開となることが予想された山岳ステージレースのヴォルタ・ア・カタルーニャ、その第3ステージは通過点である山岳が氷点下9度と極寒となり、エキストリームウェザープロトコル（危険な気候条件下の場合に短縮やコース変更、中止を決定する）を適用しコースを短縮した。本来クイーンステージ（勝負所）であり、総獲得標高（ステージ内での標高の合計）が6000mを超える超難関ステージだっただけに残念だが、それでも見応え十分なステージとなり、ミスター逃げ男トーマス・デ・ヘント（ロット・ソウダル）が見応え十二分なド派手な逃げ切り勝利を決め、そのまま総合リーダージャージをも獲得して見せた。そして第3ステージコース変更のために新たにクイーンステージとなった第4ステージではモビスターが完璧なチームワークを披露、アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）が難なくステージ優勝を獲得し、再び総合リーダージャージを奪還した。

第3ステージ
今年も逃げ大好き逃げ男のデ・ヘントは健在だ。この日のステージでも序盤から逃げ続けると、最後の上りで飛び出すと独走態勢となる。しかしこの日は向かい風が強く、逃げ切りは容易ではないように思われた。しかしながら後続集団内での心理戦が始まり、モビスターなどが積極的に捕まえることをせずに逃げ切りを容認するような動きを見せる。しかしそれでもデ・ヘントのペースが落ちればあっさりと掴まってしまう速度であることには変わりない。それでも意地を見せたデ・ヘントは粘りの走りで最後まで逃げ切り、ステージ優勝を確定させた。これにより、スタート前まで総合でバルベルデに12秒遅れだった男は総合リーダージャージも奪取、スポンサーを喜ばすことのできる男が大仕事をやってのけた。

「今日は最大で2分以上もタイム差をつけられたけど、向かい風がきつかったよ。残り30㎞からは個人TTをしている気持ちで全力だったよ。でも逃げ切りは難しいと思ったんだ。掴まっても先頭集団に残ってゴール勝負に絡みたいと思っていたんだけど、最後まで逃げ切れるとはね！」デ・ヘントは笑顔で語った。

この日はゴール手前でアダム・イェーツ（ミッチェルトン・スコット）も巻き添えになる落車が発生、アダムは骨盤を亀裂骨折の大怪我でそのままリタイアとなった。

ヴォルタ・ア・シクリスタ・ア・カタルーニャ第3ステージ
1位　トーマス・デ・ヘント（ロット・ソウダル）　　　4h13’48”
2位　サイモン・イェーツ（ミッチェルトン・スコット）　　　＋20”
3位　ティボー・ピノー（グルーパマFDJ）
4位　マテアス・フランク（AG2R）
5位　ナイロ・キンターナ（モビスター）

ヴォルタ・ア・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合順位
1位　トーマス・デ・ヘント（ロット・ソウダル）　　　12h34’54”
2位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）　　　＋23”
3位　ジェイ・マッカーシー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋27”
4位　ダリルイムペイ（ミッチェルトン・スコット）　　　＋29”
5位　サイモン・イェーツ（ミッチェルトン・スコット）

第4ステージ
この日はモビスターの戦略が冴えまくった。明確に総合優勝を狙っているこのチームは、残り7㎞でナイロ・キンターナとマルク・ソレルのモビスターコンビが一気にライバルたちを削りにかかる。しかしそんな中でも闘争心と勢いを見せたのは成長株のイーガン・バーナル（チームスカイ）だった。果敢にも攻めの姿勢を見せアタックをするが、バルベルデを温存したままキンターナがその攻めに対応、最後はバルベルデとバーナルの一騎打ちとなったが、余力の差は歴然、バルベルデがステージ2勝目、今シーズン7勝目を獲得するとともに総合リーダーに返り咲いた。バーナルがステージ2位、キンターナは3位、さらにもう一人攻めの姿勢を見せたピエール・ラトゥール（AG2R）がステージ4位と健闘した。

「今日は寒くてきつかったね。今日はチーム力の差が出たね。あれだけ強力なチームメイトのサポートがあれば百人力だよ。今日一日レースコントロールをした上に、ソレルとキンターナが僕の仕事を楽にさせてくれた。最後は勝てばいいだけだったからね。バーナルはいい選手だね。でも結局勝ったのは僕だけどね。まだまだ勝利を譲る気はないよ。」バルベルデは親子ほど年の離れたバーナルの健闘を認めつつも自らのチーム力と己の勝利を誇示した。

昨日アダムを失ったミッチェルトン・スコットだったが、トリプルエースの一角エステバン・チャベスが中盤にアタックを見せるもタイムを奪い返すことはできずに飲み込まれてしまった。いいエース格の選手が揃っているが、モビスターのようにアシストが充実していないことが弱点であると露呈してしまっている。

ヴォルタ・ア・シクリスタ・ア・カタルーニャ第4ステージ
1位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）　　　4h25’54”
2位　イーガン・バーナル（チームスカイ）
3位　ナイロ・キンターナ（モビスター）　　　＋06”
4位　ピエール・ラトゥール（AG2R）　　　＋23”
5位　ティボー・ピノー（グルーパマFDJ）　　　＋53”

ヴォルタ・ア・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合順位
1位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）　　　17h00’58”
2位　イーガン・バーナル（チームスカイ）　　　＋19”
3位　ナイロ・キンターナ（モビスター）　　　＋26”
4位　ピエール・ラトゥール（AG2R）　　　＋48”
5位　サイモン・イェーツ（ミッチェルトン・スコット）　　　＋1’12”

H.Moulinette