フランスの下部レースでベテラン選手のメカニカルドーピング発覚!フランス警察とフランスアンチドーピング協会、ドーピングを拒みレース界を追われたバッソンスが先導してレース界を正す
今までアンチ・ドーピング協会といえば薬物使用禁止撲滅を掲げ、薬物の検査を行う「化学的」な人たちというイメージがあったのではないだろうか?それが昨今メカニカルドーピングが話題となり、実際にその対処を迫られる中で、「化学的」から「科学的」へとその役割を拡大せざるをなくなってきている。そして今回遂にそんなフランスアンチ・ドーピング協会の活躍もあり、フランスのレースシーンで、メカニカルドーピングをしていた選手が実際に御用となった。
氏名は公表されていないが、フランスの下部組織のレースに出場していた43歳のベテラン選手に関しての密告があり、それを基にフランス警察が職務質問、そしてその場でメカニカルドーピングを認めたのだ。フランスアンチドーピング機構によれば、この選手の上りでのパフォーマンスなどに違和感を感じた他の選手達からの指摘があり、密かにマークしていたとのことだ。そしてあるレース終了後に警察が取り調べを行うと、あっさりとその事実を認めたのだ。
今回はなんと本来シートチューブに入れるモーターをなんと巧妙にダウンチューブ内に設置するという巧妙なもの、販売されているVIVAX(<a href=”http://www.cyclingtime.com/modules/ctnews/view.php?p=20293″><font color=”#0000FF”><b>シートチューブの中に隠せるもの~赤点の答案用紙?成績表?おやつ?へそくり?!遂に登場!シートチューブの中に隠れる電動アシストモーターが凄い!</b></font></a>)のモーターを一度切り開いたカーボンフレーム位に装着、その部分を再びカーボン樹脂で補強し、そして塗装をするという手の込んだものだった。今回の一件はあくまでも市販されている電動モーターを内蔵したというケースであり、電磁石など様々なケースが噂されているトッププロの間での疑惑に比べると、いかんせん”雑なメカニカルドーピング”であるといえるだろう。しかしながら違反をしてまで勝ちたいという”欲”が間違いなく人を違法な行為に駆り立てているのは事実だ。
いか現在フランスアンチドーピング協会でその手綱を握って先導しているのは、アームストロングによって自転車レース界を追われた「ドーピングを拒んだ男」クリストフ・バッソンス(ドーピングという闇の力に屈しなかった男、クリストフ・バッソンス~なぜ正しきが責められ引退にまで追い込まれたのか?)だ。自らが不正を拒んだことで追われたレース界、そのレース界を正すべくバッソンスはいま尽力している。
フランスではメカニカルドーピングは詐欺罪に該当し、違法行為でいくら稼いだかに対して処罰が課せられることになりそうだ。もちろん競技会からは追放となる。そもそもフランスではきちんとドーピングに対して対応する法律が準備されていることで、今回のように警察が動くことが出来るというのは良い側面であるといえるだろう。ただそれは裏を返せば、ドーピングがそれだけ身近で頻発しているということでもあり、今後新UCI体制でどのような対応がされていくのかに注目が集まる。少なからず公約の中では、「現在のUCIの採用しているタブレットを使った独自の調査以外にも、サーモグラフィーやX線解析なども使っていく」としており、クックソン政権下で拒まれ続けた様々な検査方法が試されることとなりそうだ。
「いま一番怖いのは、アマチュアレベルでもメカニカルドーピングが蔓延することで、それを容認する風潮などが生まれてしまわないかということだ。それにより、プロレベルではより巧妙化した手口は間違いなく増えると感じている。今現在の時点では薬物ドーピング同様に我々が後手後手の状態だ。自転車レース回の信頼と面目が保たれるように、徹底した対応をしていきたい。」フランス自転車競技連盟のミシェル・カロは語った。
ようやく薬物ドーピングが減少傾向にある中で今度はメカニカルドーピング、アンチ・ドーピング機構の悩みは尽きない。そして自転車界の悩みも尽きない。
H.Moulinette