世界選手権2025男子エリートロード:史上最強ポガチャルが大会連覇!今年も100㎞オーバーの仕掛けから独走!2年連続TDFと世界制覇、エヴァネポエルはバイク交換2度も銀で涙、ヒーリーが粘って銅

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ルワンダで行われた世界選手権、美し街、そして激坂擁する丘、石畳の上りの激難関周回コース、総獲得標高5500m近くを267.5㎞走るというハードすぎるレースは、完走者僅か30名というサバイバルレースとなった。そしてそんなレースを制したの史上最強のタデイ・ポガチャル(スロヴェニア)、昨年同様残り105㎞以上を残して仕掛けると、ホァン・アユソ(スペイン)、アイザック・デル・トロ(メキシコ)の普段はチームメイトである二人を引き連れ集団から飛び出していく。 そしてアユソがまず脱落、そしてデル・トロは30㎞ほど踏ん張ったが、残り66㎞からは独走態勢へと持ち込むと、最後まで手を緩めることなく驚異の平均時速42.1㎞で2年連続で表彰台の中央を、そして世界チャンピオンの証マイヨ・ジョーヌを獲得して見せた。このポガチャルが刻んだペースはゴール終盤にさらにペースアップし、なんと予想ゴールタイムを40分以上も上回る超ハイペースレースとなった。これで2年連続してツール・ド・フランスと世界選手権のダブル制覇という偉業を成し遂げた。ゴール後も余裕の表情で笑顔でインタビューに答えるなど、圧倒的な格の違いを見せつけた。

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その最大ライバルと目されていたレムコ・エヴァネポエル(ベルギー)はポガチャルの仕掛けについていけず一度は順位を下げると、ここから2度にわたりバイク交換をすることとなる。一度目は自分のゴールドバイクはないバイクへと乗り換えたが、ポジションが合わずもう一度脚を止め自分のバイクを待つ羽目となった。苛立ちを見せ路面を蹴りあげ悲壮感溢れる表情を見せたが、ここから大逆襲を見せた。一度は2分弱まで広がった差にあきらめにも似た表情を見せたが、ここからチームメイトの牽引を得て追走集団へ復帰を果たすと、ベン・ヒーリー(アイルランド)、マティアス・スケルモース(デンマーク)、トム・ピドコック(イギリス)、ジャイ・ヒンドリー(オーストラリア)の5名で猛追を続ける。しかしヒンドリーとピドコックが相次いで脱落し、ヒーリーとスケルモースと共にポガチャルを追い続ける。しかしその差は一切詰まることなく、最終周回ではエヴァネポエルがアタックを決め単独追走を始めるが、それでもタイムは一瞬縮んだだけで、最終的には広がっていった。ゴール後はポガチャルとは対照的に、がっくりとうなだれ道路に座り込み、涙を流し、悔しさをにじませた。

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そのエヴァネポエルとポガチャルを追走したヒーリーはこの日は絶好調、ポガチャルがアユソ、デル・トロと逃げた際にも少数の逃げを形成、その後一度は追走集団に吸収されたが、エヴァネポエルの追走にしっかりと乗るときっちりローテーションにも加わり続けた。エヴァネポエルのアタックにはついていけなかったが、最終周回のゴール前の上りでアタックを決めたヒーリーは、そのまま一気にスケルモースを突き放し、アイルランドの名選手、ニコラス・ロッシュ、ショーン・ケリーに続くアイルランド人メダリストとなった。
UCIが考え抜いて用意した難コースは、多くの選手たちにとってはスタート直後から我慢と苦しみのサバイバルとなった。スタートちょくぐから6名の逃げがまず発生、さらに序盤からスロヴェニアとポガチャルを揺さぶるべくフランスがアタックを乱発、いったいどうなるのかと先行きが不安になるほどの荒れた展開となる。カナダで復活の勝利を挙げたジュリアン・アラフィリップ(フランス)だったが、体調不良でそのままスタートから30㎞でリタイアとなった。フランスはその後も波状攻撃を仕掛けるが、ただ揺さぶりで終わってしまう。逃げにはさらに一名が合流し7名となるが、スタートから100㎞を過ぎて2分半にまでしかその差は広がらない。今日のようなコースでは大きなタイム差を広げさせず、常に射程圏内にとどめ続ける。

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そしてレース中盤ではすでに人数は80名ほどまでに減り多くの選手がリタイアとなる。そしてそんな中で迎えたキガリの上りでレースは一気に動く。残り107㎞でポガチャルがジワリとペースを上げると、まず反応したのはアユソだった。それに対してその背後では足がつったエヴァネポエルは順位を下げていく。先頭ではデル・トロが合流し、それに対してエヴァネポエルは自らのゴールドバイクから、黒い通常バイクへと乗り換える。ペースを上げ追走集団へ復帰するが、ここでもバイクがフィットしない。先頭のポガチャルらUAEチームエミレーツトリオとなった集団は、何かしらの声掛けを行い、ペースを上げていく。まるでアユソとデル・トロがアシストしているかのような動きでポガチャルはタイム差を1分前後で推移させる。そんな中エヴァネポエルは2度目のバイク交換を余儀なくされる。しかしチームカーが遅く、エヴァネポエルは苛立ちを爆発させる。今度は自らのゴールドバイクにまたがると、ここから猛追を開始する。

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ポガチャルは一度は脱落しかけたデル・トロを待ち、周回をこなすが、結局残り66㎞でデル・トロを置き去りにして独走態勢へと持ち込んでいく。追走は常に1分前後を推移、無線がない中でもモトバイクからの情報、そして苦手ではないTT走法でペースは常に安定、一人旅ながらも追走とのタイム差を維持し続けた。

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エヴァネポエルは完全復調したが時すでに遅し、ヒーリーらと追走を形成したが、タイム差が縮まらないことで勝利は困難と判断、オーバーペースとなり自滅するよりは2位を狙う事へと切り替えていく。ポガチャルは最後までペースを落とさず見事に大会連覇、最後は満員の沿道の観衆に応えるかのように手を挙げながらのゴール、笑顔で勝利を決めた。その背後ではエヴァネポエルは悔しさを押し殺しながら2位を目指し独走態勢へと持ち込み、ポガチャルとは対照的に硬い表情で軽く手を挙げるだけのゴールとなった。

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タデイ・ポガチャル(金メダル)
「今年最大の目標だったんだよ。そしてこんなにハードな世界選手権は初めてだったよ。標高は高いし、気温も熱いしね。でもアユソとデル・トロと最強UAEトリオが形成できたのは大きかったよ。でもデル・トロがおなかの調子が良く無く脱落してしまったので、結局検年同様に独走態勢となってしまったよ。」
「家のクロゼットをこれで整理しなくて済むね。ツールの後はゆっくりと休んでこのジャージの為に専念してきたんだよ。キガリの上りの仕掛けは予定通りというはなかったし、チームメイトは反対していたんだけど、脚が良く回っていたし、普段チームメイトの面々が集まっていたので仕掛けたんだよね。」
レムコ・エヴァネポエル(銀メダル)
「ポガチャルがあそこで仕掛けてくることはわかっていたんだよね。でもそのタイミングで足がつったんだよね。ほんと不思議なんだけど、タイミングってそんなもんなんだよね。最後のバイク交換をした時点でタイム差が1分45秒差まで広がっていて、”走り続ける意味はあるか?”と思ってしまったよ。でもヘルマンスが来て、車の隊列もうまく活用できたし、脚のつりも収まったのでまだ何かできると思ったんだ。でもタイム差は縮まらないし、ポガチャルもTTスタイルのペース維持走法を心得ているから、確実に2位を取りに行くことに切り替えたんだ。」
「もちろんイラつくよ。脚がつらなければ、デル・トロの動きに反応してポガチャルを終えていたし、そうなれば個人TTとのダブルも狙えただろうね。今日は僕に運がなかったよ。」
ベン・ヒーリー(銅メダル)
「ここ数年進化を遂げられたよね。それはあれやらこれやら小さなことの積み重ねだけど、レースの仕方も変わったんだよね。特に今年のツール・ド・フランスは大きな自信に繋がったよ。今日は無理をし過ぎずにうまく脚を温存すること、これがカギになったね。そしてこの観衆は凄いね。この規模の応援と表彰式は見たことがなかったよ。」
世界選手権順位
金メダル タデイ・ポガチャル(スロヴェニア) 6h21’20”
銀メダル レムコ・エヴァネポエル(ベルギー) +1’28”
銅メダル ベン・ヒーリー(アイルランド) +2’16”
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク) +2’53”
5位 トム・スクインス(ラトヴィア) +6’41”
6位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア) +6’47”
7位 アイザック・デル・トロ(メキシコ)
8位 ホァン・アユソ(スペイン)
9位 アフォンゾ・エルラリオ(ポルトガル) +7’06”
10位 トム・ピドコック(イギリス) +9’05”
H.Moulinette












