街中を疾走するならシングルスピード、速度も服装も気にしない脚としての究極の選択、日本のビルダーが提案するThe Urban Grinder(ジ・アーバン・グラインダー)という提案
昨今スポーツバイクが全盛期だ。多くの自転車がギア式となっており、20速以上の変速性能を持つものが当たり前のようにマーケットに氾濫している。でも多くの人は初めて自転車に乗ったとき、最初に手にした自転車はママチャリや子供用自転車、それらのほとんどが多段ギア式ではなかったはずだ。それらは単速仕様、つまり今風にオシャレな言葉に言い換えれば「シングルスピード」だっただろう。
しかし技術革新と共に世界はどんどんと多段化が進み、気がつけば身の回りの自転車の多くに変速機が搭載されるようになった。それはそれで便利なもので、シチュエーションに合わせてギアを変えるのは楽しい。しかし実際には街中では中々そのギアを有効活用しきれないのが事実だ。また本格的なスポーツサイクルにとってはサイクリングジャージが正装となり、普段着でスポーツ自転車に乗る方がメインストリームとなったことで、普段着で本格的なスポーツサイクルを乗りまわしにくくなってしまった。
そんな中、一時期ピストブームもあったがブレーキがついていない自転車を(ペダルの逆回転で停止はするのだが)での事故が急増、あっという間にそのブームは消え去ってしまった。しかしそこでハンドメイドフレームビルダーのヘラブナサイクルズが一つの新たな提案となる一台を製作した。フロントとリアにはしっかりとブレーキが最初からついたその一台は、その名もThe Urban Grinder(ジ・アーバン・グラインダー)、まさに街中の舗装路を駆け回るためのシングルスピードだ。
ジ・アーバン・グラインダー(The UG)はクラシカルでスポーティーな雰囲気を持ったシティーバイクだ。だがそのフレームは1970年代の貴重なチネリのラグ、そしてピュアロードレーサーと同じコロンバスSLで組まれ、アメリカのPAUL Components (ポールコンポーネンツ)のトラックエンドが採用されている。まさに羊の皮をかぶった狼、ひと踏みすれば、その滑らかな加速は、この自転車が間違いなく”ただものではない”ことがわかる。
街中は信号も多く、あまり加速ができない。なので本格的な多段式ギアではそれを持て余してしまうが、シングルスピードではそんなことを全く考える必要がない。ストップ&GOを快適に繰り返すことができる。そしてそれには本格的なレーシーな姿は似合わない、おしゃれな普段着で軽快に街中を駆け抜ける、これこそが粋で鯔背なシティーライフの楽しみ方だ。
今回はそんな The UGをヘラブナサイクルズが一台だけ特価で提供している(ブログ参照)。多くの人にこの楽しみ方を知ってもらうために、ビルダーの粋な計らいだ。Made in Tokyo、世界屈指の都市東京、そのランドマークの一つ東京タワーそばで作られるフレームはまさにの本の匠の技。クロモリシングルスピードにまたがり都市の喧騒を横目に鼻歌交じりに街中を疾走する、そんなライフスタイルもいいではないか。
H.Moulinette