あまりにも高速化したレースに待った!UCIレースレギュレーションの変更を改めて再チェック、機材の多くに及ぶ変更点満載、UCIポイント、出場レース規定も変更へ
昨年度何度も話題に上がっていたUCIのレースレギュレーションの変更が行われた今シーズン、果たしてその影響がどれほど出るのかは未知数だ。しかしこれらの変更は昨今急速に高速化したレースが起因となっている。機材の進化とともに高速化したレース、そして結果として落車事故の増加と怪我の増加が、競技のリスクを上げるとともに選手生命へのリスクともなってきた。そこでUCIは思い切ったルール変更を打ち出したのだ。今回変更されたのはヘルメット、ハンドルバー、ブレーキレバー、ホイールからフレームに至るまで、主要機材のほとんどに及んでいるのが特徴だ。

©ASO
ヘルメット:ヘルメットに関しては多くの変更が成された。まずはロードステージでのTT用ヘルメットの廃止だ。空力を考えた様々な形状のTTヘルメットが存在していたが、最近ではそれをロードステージでも使うのがトレンドとなりつつあった。具体的にピンポイントで3か所以上のベンチレーションホールが義務付けられ、アイバイザーは廃止、そして耳がヘルメットに隠れ手はならないというのが変更点だ。厳密にいえば変更点というよりは、もともとあったオーソドックスなスタンダードヘルメットの使用を義務としたような形だ。
ハンドルバー:ハンドルバーの横幅は昨今極端に幅の狭いものが一つの主流となりつつあった。オランダのプロロード/トラック選手であるヤン・ウィレム・ファン・シップは194㎝の長身でありながら320㎜という極端の狭い幅のハンドルを用いており空力的優位が議論となった。そして決定したのが、ハンドルバーの外‐外の最低幅が400㎜だ。そして最大フレアもハンドル上部と下部で左右それぞれ65㎜まで、つまり最も狭いハンドルバーの400㎜を例にとると下ハンドル部分での最大幅が530㎜となる。
ブレーキレバー:ブレーキレバーもトレンドとなっていたのが極端に内側に曲げるポジションだ。レムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)などがまさに最大の例であり、ブレーキレバーがハンドルに対して極端に内側を向いたポジションとなっていた。だがこれにも規制が入り、ハンドルバーに対して垂直なポジションから最大で10度までしか内側に曲げられなくなった。またブラケットの形状が様々あることから、ブレーキレバー間の距離も280㎜以上が求められることとなった。
ホイール:リムハイトにも規制が入ることとなった。ロードステージにおいての最大リムハイトが65㎜までとなった。一部メーカーが68㎜というリムハイトの製品を製造していたため反発の声を上げ、タイヤ幅やタイヤのトレッドのほうがよりハンドリングに影響を与えるものであると反論をしたが、最終的に65㎜という数値が決定値となった。

©Hope/Lotus
フレーム/フォーク:トラック用車両などでよく見かけたのが極端に幅の広いフォークだろう。またそれに伴いそれら車両はリアエンドも極端に幅の広いものが見受けられた。この幅が明確に数値化されることとなった。決まったのは、フォークの内幅が最大で115㎜、リアの内幅が145㎜までとなった。
UCIポイント:今シーズのロードレースは該当しないが、今年終盤に始まる2026-2027のシクロクロス、MTB、グラベルで獲得したポイントも、所属チームのポイントとしてカウントされることとなった。これはマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・プレミアテック)、トム・ピドコック(ピナレロQ36.5プロサイクリング)、さらには女子ではポーリーン・フェラン・プレヴォヴ(ヴィズマ・リースアバイク)らが、ロードのみならずシクロクロス、MTB、グラベルでそれぞれ世界の頂点に立ったことが影響を及ぼしたルール変更だ。そもそもロードチーム所属の選手が専業の枠を超えてほかの競技で世界の頂点立つという前提がなかったことがあり、各チームそのポイントを有効的に活用できない状態が男女ともに発生していた。そのことから今シーズン後半の各競技からそれが反映されることとなり、2027年度のUCIロードレースのポイントに加算されていく形となる。
UCIワールドツアーレース招待チーム:昨年度までとは異なり、今シーズンからはすべてのワールドツアーステージレースで、トップカテゴリーのワールドツアー18チームに加え、前年度のプロチームの上位3チームに自動的に出場権が与えられる。これに該当するのはチュードル・プロサイクリング、ピナレロQ36.5プロサイクリング、コフィディスで、今シーズンすべてのグランツール、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・あ・エスパーニャの出場が決定している。またワイルドカード枠も上記の3チーム以外で2チーム分残される形となる。つまり世界最高峰のレースに格下のプロチームから5チームが出場できることとなる。
変更だけでもこれほど多岐にわたるのは珍しい。でもそれほどまでに昨今のレースシーンが時代とともに変化したということだろう。これがレースを面白くするのかは未知数だが、通常ルール変更というのは基本的により競技性を高め競り合いを増やす傾向にあるが、今回に限っては安全性の観点からという側面が非常に大きい。この変更がレースの安全性向上にどれだけ寄与していくのか、それを今シーズンを通して確認していこう。
H.Moulinette












