開催中のバスク一周で怪我人続出、エヴァネポエルが落車で鎖骨と肩甲骨骨折、ツール・ド・フランス連覇中のヴィンゲガードも落車で鎖骨と肋骨骨折、ヴァインは脊椎骨折、ログリッチも落車
現在開催中のバスク一周レース第4ステージで発生した落車で、今シーズングランツールの総合優勝を競い合う予定だった主力選手たちが大怪我を負っている。まずはツール・ド・フランス連覇中のヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)は高速コーナーで滑って落車し、そのままコンクリの排水溝に突っ込む形となり、鎖骨と肋骨を骨折、意識はあったものの、酸素吸入を行いながら緊急搬送された。精密検査の結果、さらに肺挫傷と気胸も発覚。長期離脱を余儀なくされ、現状ではツール・ド・フランスに間に合うかは微妙なところで、間に合ったとしてもベストコンディションで挑むのは極めて難しいだろう。
また元世界チャンピオンで世代最強の一角で、ツール・ド・フランスの頂点を狙っているレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)も落車し、こちらは鎖骨と肩甲骨を骨折した。過去2度制覇しているクラシックのリエージュ・バストーニュ・リエージュもこれで出場できなくなり、チームとしては大きな痛手となった。ツール・ド・フランスも万全の状態で挑めないのであれば回避する可能性が高いだろう。
またタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)の最強アシスト兼サブエースとなる予定のジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ)も落車に巻き込まれ、こちらは脊椎を亀裂骨折となった。
そしてチーム移籍で絶対的エースとして今シーズンに挑んでいるプリモズ・ログリッチ(ヴィズマ・リースアバイク)も第3ステージに引き続き第4ステージでも落車、大きな怪我は逃れたが、足を引きずる様子が見られ、そのままこのステージでリタイアとなった。
また主力選手ではないが、ダイレクトエナジーのステフ・クラスも気胸、胸椎と肋骨の骨折などの重傷となっている。
更には第5ステージではエヴァネポエルの右腕として、またステージレースのエースとしての活躍が期待され移籍してきたミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)も落車で鎖骨を骨折してしまった。これでソウダル・クイックステップは今シーズンの目論見と戦略の練り直しが必要となった。
ログリッチが抜けても健在を見せつけ圧倒的なパフォーマンスを見せてきたヴィズマ・リースアバイクだったが、こちらもここへきて主力2人の長期離脱はチームにとってはとても大きな痛手となりそうだ。ソウダル・クイックステップ同様にこちらも年間を通した戦略の練り直しに頭が痛いところだ。
先日ドワース・ドア・フランデーレンでも世代最強の一角、ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)が落車で鎖骨や肋骨などを骨折する大怪我を負っており、ここ数週間の間にこれだけ主力級の選手たちがけがで離脱することになっているのは、やはりレース界にとってマイナスにしかならない。落車や怪我はレースの一部と言いながらも、これだけ続いてしまえば何らかの見直しに迫られる可能性がある。
H.Moulinette