48才レベッリンが2020年度も現役続行へ、所属予定だったチームが設立かなわず頓挫も、古巣と契約でさらなる下克上を目指す決意
48才と言えば、中年オヤジと呼ばれる時期の後半の時期、孫すらいてもおかしくない年齢だ。そして周囲を見渡せばライバルは全て自分の子供でもおかしくない年齢の選手たちばかり。しかしその中でも、ダビデ・レベッリンの目は輝きを失っていない。
本来は昨年度一杯、イタリア選手権終了後に引退をするつもりだったようだ。しかし新たなチーム、 本格的にジロ・デ・イタリアを狙うチームとしてハンガリー登録でのE‐パワーズ・ファクトリーチーム立ち上げに伴い、そのメンバーとしてリクルートされたのだ。プロコンチネンタルの申請まではいったようだが、結局チームは多くの選手やスタッフを集めたものの、最終的にスポンサー資金が足りずに頓挫してしまったのだ。しかし実情は、チームのオーナーが過去に電磁石を利用したメカニカルドーピングが可能だと訴えたE-バイクメーカー、E-パワーズ代表のイスタバン・ヴァルガスだったことが大きく影響したようだ。
それによりモチベーションを一度上げたにも関わらず、所属チームがないままに宙ぶらりんとなってしまったのがレベッリンだった。しかし2019年度途中まで在籍し、さかのぼれば2012年度も在籍していたメリディアナ・カメンが契約を打診、レベッリンもそれに応え古巣復帰となった。
これが28年目のシーズン、0才だった子供は28歳になるわけで、いかに長い間現役を続けているかということに驚かされる。1992年にGB‐MGマグリフィシオでプロデビュー、その後ジロ・ディ・ロンバルディアをはじめ、2004年にはアルデンヌクラシック3連戦を完全制覇、さらには2008年にはステージレースのパリ~ニースで総合優勝を飾るなど、結果を残してきた。しかし北京五輪で銀メダル獲得後にドーピングで陽性となり出場停止処分となった。それでも2011年に復帰をし、その後もメジャーチームに所属こそなかったが、当時はプロコンチネンタルだったCCCでもエースを務め、40歳を超えてもなお20代の選手と真っ向勝負を挑み勝利するなど、ストイックに競技に打ち込んできた。46歳で迎えたツアー・インターナショナル・デ・ラ・ウィラヤ・ドーラン(アルジェリア)で優勝を果たすなど、いまだ走りに衰えは見えない。今でも早起きして毎日6時間のトレーニングを日課とし続ける寡黙な漢が今期待されていることは、もちろん若手育成もあるのだが、チームは「勝利」をレベッリンに求めている。所属している選手は数名を除き、そのほとんどがレベッリンがプロになってから生まれた世代、完全に父親以上の年齢の男が今年もチームを「コース上」で牽引するのだ。
「彼の経験はチームのために大いに役に立ってくれるだろう。早起きして毎日のトレーニングを欠かさないその姿は、若手の模範となりうるものだ。でもそれだけではない。老練な勝負勘で今でも勝利を挙げることが可能だと感じている。彼はもっと尊敬され評価されるべき選手なんだよ。」メリディアナ・カメンのチームマネージャーはそう語った。
闘うことを止めないオヤジの選手生活はまだ続く。
H.Moulinette