自走で帰ろう!ミスター逃げ男デ・ヘントと同僚のウェレンスがイル・ロンバルディア終了後イタリアからベルギーまで自走の旅路
自転車選手はトレーニング以外での移動はバスや公共交通機関を使うことが多いのだが、ミスター逃げ男こと、トーマス・デ・ヘントと、その同僚でクラシックライダーのティム・ウェレンスはシーズン最終戦をイタリアのイル・ロンバルディアで迎えた後に、ベルギーまでバイクバックパッキングスタイルで帰る旅時に出た。
昨今日本でもはやりつつあるバイクバックパッキング、二人はロードバイクのサドル下、トップチューブ、ハンドルなどにバッグを取り付け、そして足回りを信頼性のあるゾンダにして今回の約1000kmの”小旅行”を楽しんでいる。2か月前から(シーズン中だったが)準備を整えこのセットアップで試走を繰り返してきたそうだ。プロレベルでも、いやプロだからこそきちんとした準備を怠らないあたりがやはり自転車でのロングライドの過酷さと難しさを知り尽くしているからと言えるだろう。
アルプスを越えスイスへ入り、フランス、ルクセンブルグだけでなくドイツにも寄り道しての旅路を満喫したようだ。またわざわざドイツに立ち寄り、マクシム・モンフォールに飯をおごってもらったと大喜び、レースシーンではなかなか見られないようなリラックスした笑顔を見せている。
「レースやトレーニングばかりが自転車じゃないだろ。乗って楽しむ、これが基本だろ。プレッシャーなく自転車で走り、暗くなる前にホテルに着く、ただそれだけの旅だよ。」デ・ヘントは旅を心底楽しんでいる。「僕らは肉体的や精神的なチャレンジを求めていないんだ、ただ家に帰るだけだよ。」
今年は他の選手たちも、シーズン終了後自転車で旅をしている選手もおり、プロ選手たちの間でもちょっとしたブームになりそうだ。日本でもランドナーなど旅行用自転車での旅は今でも根強い人気がある。最近ではロードレーサーでも使えるキャリアや、今回の二人のようなバイクバックパッキング用の専用品が増えたことで、楽しみの幅が広がってきている。レース思考一辺倒、速さだけを求める乗り物からから旅行の脚へ、それもまた自転車の楽しみ方だ。それを体現してくれたのがスピードの世界に生きるプロ、彼らのように旅の脚としての自転車を楽しんでみてはいかがだろうか。
H.Moulinette