なぜ自転車乗りはモテないのか、やらかす前に自覚をもって気をつけよう!一般人から見た本格的ロード乗りが勘違いしていること~自転車乗りが行わなければならない意識改革

多くのスポーツ選手は異性にモテる、これはある意味王道ともいえるだろう。しかし自転車乗りは・・・モテない・・・マニアックな趣味で、「変な人たちが多い」と言う先入観を持たれていることがかなりの頻度である。様々な世代、学生、社会人に数か月にわたりインタビューとアンケートをし、見えてきた”なぜモテないのか?”というのは”なぜ社会的地位を得られないのか?”と言う部分と非常にリンクしていることも見えてきた。今回はサイクリストがどのような目で見られているのか、そして自転車乗りが犯しやすい勘違いを見ていこうと思う。

©Tim D.Waele/Getty Images
昨今自転車の市民権獲得の話が出る度に、自転車に乗らない層、そして本格的には乗らないけど自転車は好きだという層から様々な指摘を受けることがある。それは本格的自転車乗りが「イタイ」勘違いを数多くしているということだ。耳が痛いだろうが、自分の胸に手を当ててよく考えて欲しい、どれか一つでも該当する覚えがあるなら、それは一般大衆の感覚とはずれている節があるということだ。そして自転車乗りという人種が「特殊な人種」であると思われてしまっている原因がいくつかあるのだ。
まずはコアな自転車乗りが行っているある行動が、自転車に好きで乗っているがコアではない層に非常にひんしゅくを買っていることが分かった。それはずばり”態度”と”マナー”である。まずは態度から言えば、趣味人としてついついやってしまいがちな行動の数々、マイワールドを作っていることが”横柄な人たち”との印象を持たれているようだ。そのいくつかを見てみよう。
スピード至上主義:昨今いかに速く走るかのみがロードの美徳であるかのように勘違いしている人たちが増えている。我が物顔で街中でも高速走行、ゆっくりと好きな自転車でのんびり走る人たちを”邪魔”、”どけ”と見下したような発言をしたり鼻で笑ったりするケースすらある。そういう人たちの特徴は、まず速いことがロードであるということが絶対的となっており、ゆっくり走るポタリングなどが論外というだけではなく、道路使用に関しても、自転車が優先であるかのような言動をし、苦言を呈せば昨今話題となる”あおり”ばりに絡んでくることがある。
機材至上主義:最新機材、高級機材こそが絶対であり、大事に昔からの自転車に乗っている人や、ハイエンドパーツではない人たちを見下す人がそこそこいる。これにはショップも絡んでおり、ショップ自体がそういう客を優先することで、優越感に浸り”面倒なヲタク化した輩”と化してしまっていることが多々ある。周囲に聞こえるような大声で走行中や休憩中にパーツ自慢を繰り返す傾向にもある。
初心者除外行動:初心者や周囲に聞ける人がいない自転車乗りが、詳しいだろうからと思いショップやガチロード乗りに質問をすると「そんなことぐらいネットで調べろ」「そんなことも知らないのか」と言われ嫌な思いしたという声を全国で聞く。ネットで画像で見たり説明を見るだけではわかりにくいから実地で知りたいだけなのに、そういう人を煙たがる。つまりは”スポーツ自転車の普及を妨げている”だけでなく、傍目から見れば”いじめ”の様にしか見えない。
思い込み行動:ロード乗りが使うハンドサインは、道路交通法上正式なものではない。なので道路を走る際に、それを車の運転手が認識できないことは当たり前なのだが、そのハンドサインが「正式」なものだと勘違いしているロード乗りが多く、自動車の運転手がそれを認識してないことが悪いかのような言動をする。この思いこみは交通の妨げにないかねないだけに危険な側面がある。逆に法律に順規したハンドサインを知らないロード乗りも多い。
このような人には自信過剰の自分正義主義者が多いのは非常に厄介なところではある。またある程度しっかりと自転車を楽しんでいるホビーライダーからも不評だったのが、以下の行動だ。
ヘルメットポリス:もちろん安全上ヘルメットをかぶるのが自分の身を守るうえでは最良なのは当たり前なのだが、実はこれは道路交通法上義務付けられてはいない。にもかかわらず「ヘルメットポリス」と化し、PR撮影用の写真一枚にさえ、「ヘルメットをかぶっていない、ヘルメットをかぶらなくてもいいと助長している」などとその都度SNSなどで批判、同調する。まるで「世界の警察」と言っているアメリカのような勝手な正義感を振りまく。かぶるのは本来義務付けられたほうがいいとは思うが、そうでない以上、被っていないからと公の場であるSNSなどで批判、非難するのは個人的正義でしかなく、エゴでしかない。PR撮影などでは、あくまでも中心となる商品重視で全体のバランスで構成されたものでありるので、勝手な非難は営業妨害にさえなりかねない。また「被ったほうがいいんじゃないですか」という注意喚起で済ますべきところを、さもかぶってないやつが「害悪」のような言い方をして権限のない正義感を振りかざすのはエゴナルシストに映る。
ストーカーもどき行動:女子のロード乗りを見かけると、そのあとをぞろぞろとくっついて走ったり、馴れ馴れしく声を掛けるガチロード乗りは多い。初心者には全般的に厳しい中で、特に男子には極めて厳しいのに、女子になると途端に鼻の下を伸ばして行動に出る。傍目からみているとこれは非常に気持ちの悪い行動と映るらしい。特にペラペラもっこりのレースジャージでそのような行動をするのだから、自転車の乗らない女性から見れば「怖い」、「きもい」と映ることが多い。
その延長上で、自転車に乗らない人に最も評判が悪かったのが、ジャージが正装だとして何でも許されると思っている行動だ。例えば海岸線沿いのコンビニやレストランでは、水着での入店は許可されているが、都市部店舗の大多数ではそれは当然マナー違反となる。入店には通常の服装とマナーが要求される。自転車乗りは体形が露出する薄いペラペラのジャージ、水着と同じ生地一枚のその格好でどこにでも入っていく。特に女性から多く聞かれたのが、「恰好自体がセクハラ」という言葉だった。「誰が好んで汗まみれの男のボディーラインを見せられなければならない?」、「見るに堪えられない体形なのにあの格好はない。」とかなり手厳しい言葉まであった。最低限でもマナーとしてバックポケットに一枚羽織るものを忍ばせておくべきだろう。これはヨーロッパのサイクリストから聞かれたのだが、「どうしてもレースジャージで走る際は、必ず羽織ったりして他の人を不快にさせないマナーを意識している人は多い。」とのことだった。自転車がメジャースポーツである地域でもこのようなマナーは守るべきもののようだ。
またサイクリストが訪れる店側から不評だったのがクリートだ。特にウッドフロアを持つお店からは、「フロアが傷つく可能性があるので脱いでほしい」、他のハードフロアのお店からは「カツカツとうるさく、他の客に迷惑なことがある」などと言う声が聞かれた。これもクリートカバーをつければ回避することも可能だが、それをやらない人が多いというのが現状だろう。
モテるスポーツになるためにはまずは市民権を得ること、それには超えなければならない壁はかなり高そうだ。ただ裏を返せば、何に気を付けなければいけないかははっきりとしている。これらは自転車乗りが意識して改善していけることが多いのだ。だったらどんどんと改善しよう、そして自転車に乗ることが格好いいと思われる、誰もが憧れるスポーツを目指そうではないか。サイクリストの価値を変えられるのは、サイクリストしかいないのだ。
H.Moulinette