新世代はシャフトドライブ?セラミックスピードが独自のDrivEnを発表、摩擦の大幅な軽減がチェーンを超える?
自転車はギアによる駆動が定着してから、今までずっとチェーン駆動が一般的だった。シャフトドライブやベルトドライブなどもないことはないが、主流派ずっとチェーン駆動であり続けた。しかしここへ来てベアリングパーツ専門メーカーのセラミックスピードが全く違う発想の自転車を作り上げた。
その名もセラミックスピードDrivEn(ドリブン)だ。セラミック駆動と言う意味であり、チェーンステーとは別に設定されたベアリングのついたシャフトが、完全平面に歯が立ち並んだ特殊なギアの上を転がる形で駆動するのだ。ある種これもシャフトドライブの進化系ともいえる構造であり、リアのギア部が露出したシャフトドライブと言えるだろう。進化系とはいえ、重量物であったシャフトドライブの難点を、簡素化することで軽量化した、という解決策を見出した形だ。
何よりもセラミックスピードが強調しているのが、摩擦軽減だ。チェーンドライブのデュラエースに比べて49%という大幅な摩擦軽減だとしている。またセラミックスピードの自社製品であるUFOチェーンとオーバーサイズプーリーの組み合わせと比べても32%の摩擦軽減としていることからも、かなり大幅な摩擦抵抗の減少があることが容易に想像できる。
「セラミックスピードでは、99%の効率、というものを研究目標として掲げて実験を繰り返してきた。これはその途中経過の一つだ。」としている。従来のチェーン駆動では、自社製品に加えて特殊なオイルなどを使用しておよそ98%という数値までは達成できたが、そこで限界が見えたために、根本的に違う方法での解決策模索を探ったのだ。
「すぐに駆動部分が少ないシャフトドライブが頭に浮かんだが、問題なのはあのエネルギー効率の悪いベベルギアだった。だったらそのベベルギアをやめてしまえばいい、それが我々が行き着いた結論だった。」代表のジェイソン・スミスはそう開発の経緯を語った。
見た目的には一見すっきりとはしているが、根幹のシャフト周りのベアリングはまるで花丸マークであり、お世辞にもすっきりしているとはいいがたい。またこの部分をぶつけてしまえばトラブルが起きることは容易に想定でき、今現在のままでの市販化は難しそうだ。まだ現段階ではプロトタイプと言うよりはケーススタディと言ったポイントではあるが、新たな駆動システムへの大いなる可能性を感じさせてはくれる。電動化する場合のシャフト内が空洞なので、そこにすべてを収めることも可能だとしている。ただこの変速(変則)システムのためには、専用設計されたフレームがまず必要なうえに、スプロケットも特殊、つまりはハブも専用設計にしなければならない。
もしこれが現実化した場合に大いなるメリットとしては、リア幅を大きく狭くすることができる。昨今の多速化で、リア幅を広げようとする流れとは全く逆の動きだが、広げることは空気抵抗を大きくすることにほかならず、リア幅を狭くできるのであれば空力上大きなメリットも生まれることとなる。ベアリング花丸マーク部分もエアロパーツでカバーすれば、摩擦軽減のみならずすっきりとし空力向上と言う多大なる恩恵があるシステムと言えるだろう。
果たしてこのシステムが現実に商品化まで到達できるのかは未知数だ、しかしこれはこれで非常に個性的な夢があるコンセプトモデル、こういう全く違う視点からの商品開発こそ、次世代のイノヴェーションをもたらす可能性を秘めている。
H.Moulinette