7月1日にUCIがディスクブレーキが本格解禁、トレックやスペシャライズドはディスク投入予定も、まだメーカー間と選手間に温度差あり

ここまでの数シーズンその是非が何度となく問われ、機材メーカー中心の業界と選手たちで意見の相違があり続けたディスクブレーキ問題だが、7月1日にUCIが正式にBMXとロードレースでのディスクブレーキを解禁することとなった。
今まで問題となってきた重量増、ホイール交換の速度、危険性などすべてに関して解決策が見出せたわけではないが、業界のバックを得て新会長となったラパルシャン新UCI会長の下、新機材解禁の運びとなった。

©Tim D.Waele/Getty Images
企業規模の大きいトレックやスペシャライズドなどは早い段階からこれを見越しての開発を進めており、軽量化したフレームなどの開発により6.8㎏のUCIウェイトリミットに近いマシンを完成させており、解禁後最初のビッグレースとなるツール・ド・フランスに投入予定となっている。トレックがメインスポンサーを務めるトレック・セガフレド、そしてスペシャライズドが機材提供をしているクイックステップ・フロアーズとボーラ・ハンスグロエは間違いなく投入が見込まれ、さらにはEFエデュケーション・ファーストドラパックをスポンサーするキャノンデール、複数選手が繰り返しテストをしてきているBMCや、ウィリエールを使用するダイレクト・エナジーもディスクブレーキ仕様の機材を持ち込んでくると予想される。

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当初はディスクブレーキのカバー装着を義務付ける話も、結局ローターのエッジを丸くすることで収まり、そして解禁へとこぎつけた。機材メーカーであるシマノや大手フレームメーカーは今回の解禁を諸手を挙げて歓迎しているが、他のメーカーはいまだに懐疑的なスタンスを見せている。一応開発は進めており、用意はしているものの企業規模的に大きな投資とリスクになる新たなフレームの為の金型の準備と生産(費用回収のための販売の目途)に加え、未だ多くの選手がディスクを要望していないこともその一因となっている。
今年のツールでは間違いなくディスクとキャリパーが混在するペロトンとなるだろう。「正直ブレーキングのタイミングの差がやはり怖いと思う」出場予定の複数の選手たちはやはりその懸念を示している反面、使用が見込まれている選手は「新機材はレースを変える可能性があるだけに、早くから慣れておく必要性がある」とも答えている。

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一般ユーザーマーケットのロードディスクはあくまでもレースシーンとは別物として考えなければならない事をしっかりと認識しつつ、今年のツールは選手たちの争いのみならず、機材の変化がレースにどのような変化をもたらすのかを確認する大会となりそうだ。
H.Moulinette