コラム:どうしたらサイクリスト仲間を増やせるのか、短期間で飽きてしまうが多い理由とは?高速巡行だけのサイクリングでは損をしていることも多い!楽しみ方は無限大!
サイクリストの中には常々仲間を増やしたがる人が多い。一人で楽しむ「ソロライダー」、「お一人派」も多いが、「群れるの大好き派」も多分にいる。そういった人たちは積極的に自転車を人に勧めてサイクリストを増やそうとするが、残念ながら今の自転車界を見ていると、その総合的な自転車人口のパイは一切増加を見せていない。漫画効果での一過性の増加はあったが、結局飽きてバイクを手放す人、物干し化する人が続出しているのが現実だ。現在の暗黒のような自転車界の現状打開には、末端のサイクリストを増やす必要があるだろう。
いったいなぜ多くの人がサイクリングを趣味にすることを短期間でやめてしまうのだろう。その原因の一端は、「サイクリストはなぜモテないのか」でも書いた理由もあるだろう。さらにそれに加え、サイクリストの傾向として「走ることが目的」となってしまっていることが大きな要因ではないだろうか。
自転車をやめてしまった人たちへのアンケート結果の中で多かったのが、「速く走る人についていくのがしんどい」、「走るだけの何が楽しいのかわからない」、「高いチャリで走って飯を安く済まそうとするのがケチくさい」という回答だった。それぞれをよく見て分析すると、結果的にやめてしまった人たちの目に映るサイクリスト像が「ナルシスト」的であり、「自分勝手な生き物」であるということだ。
早く走るのがしんどい、と答えた人の中で多く聞かれた意見が、「ペースをいかにも合わせています的な雰囲気や行動をされるのは嫌」、「本当はもっと早く走れるのに、走りたいのに、といった素振りをされると、楽しくなくなる」といったところだ。つまりこれは物理的にしんどいもあるが、それ以上に「精神的にしんどい」というのが大きいようだ。
走ることだけの何が楽しいかがわからないという人の多くが、走ること、という以外の目的がないことが「つまらない」というのが多数派を占めた。そしてこれはケチくさいというのとリンクするところもあり、「目的地でコンビに飯を食べて帰ってくるだけのケチくさい貧乏旅行」といった声もかなり聞かれた。頑張って走ったのだから、美味しいものを食べたい、という思いに対して、本格的なロード乗りの多くは食に無頓着というのはよく聞こえてくる。「健康に気遣っている感を出すのに、コンビニ飯やラーメンという意味が分からない」と、「体調管理の為とか語るだけで行動が伴っていない」という厳しい声が多かった。
もちろんこれら否定的な意見に該当しない楽しみ方をしている人は多いはずだ。しかし初心者が、たまたまこのような人たちに当たってしまうと・・・やはり「自転車って・・・」となってしまう。自分が楽しむことだけ、自分たちの楽しみ方を押し付けることなく、いかに初めて走る人たちが楽しめるかを考えてあげるのも重要なことだ。それにより自転車に対する理解がより広がり、また門戸を広げユーザーを拡大していくことに繋がっていくだろう。自転車の車種もバリエーション然り、楽しみ方は千差万別なのだ。
より良いサイクリングライフを楽しむためにも、独りよがりな遊び方、コアサイクリストだけの世界を作るのではなく、すべてのレベルのユーザーにオープンで楽しめる遊び方の提案をしていこうではないか。例えば歴史スポット散策もいいだろう、美味しいものをはしごするのもいいだろう、そしてのんびりとクルージングして写真を撮るのもいいだろう。そういった遊びを知らないというのも、ある意味残念なことであり、走ることしかしていない人は大きな損をしていることにもなるのだ。
コアユーザーが自分たちの世界を築けば築くほどに、社会では孤立していってしまう。「マニア」や「おたく」というレッテルを貼られてしまえば、「一般的」とは違った色眼鏡で見られてしまうというを意識しなければならないだろう。そうしなければいつまでたっても自転車の市民権は程遠く、サイクリストやレースは理解をしてもらえない日々に悶々とすることになるだろう。
Have a FUN ride, and enjoy CYCLING!
H.Moulinette