コラム:事故経験者が語る、街中ではフラットペダルを履こう、事故から身を守る一つの自衛手段

昨今自転車と自動車の事故が多く取りざたされるが、その中でもロードバイクと自動車の事故は頻繁に耳にする。特に街中での接触事故が多く、怪我の度合いも重傷のケースをよく耳にする。ヘビーなロード乗りであり、日常のみならず常にビンディングペダルを使用し続けていたが、事故をきっかけにイベントやレース以外、特に街中ではフラットペダルを愛用するようになった3名の自転車乗りの声は、僕ら自転車乗りが今後自衛手段として考えなければいけない事だと思う。
昨今街中でもかなりのスピードで走行するロード乗りをよく見かける。当然そのような人物はかなり熟練した人が多く、ウェアもサイクルジャージを着て足元はビンディングペダルであることが多い。そのような人の多くは自分の腕に自信があるため、ある程度の速度とストップ&ゴーを無難にこなす人が多い。実際今回声を寄せてくれたサイクリストもそのような人たちだ。
「過信してましたね。絶対に転ばない自信があったんですよ。」3人はそろってそう語った。軽車両なので、自動車と同じ速度までは出してもOKだと常々考えていました。ロードは気持ちいいし、あっという間に加速しますからね。」

時には安全面でフラットペダルも選択肢に ©66
ではどのようにして事故に巻き込まれたのだろう。「僕は雨の後の左コーナーでスリップしました。白線が危険なのはわかっていたので、それを避けて走っていたのですが、それでも落車しました。とっさのことでビンディングペダルを外せなかったので、そのまま自転車が車道側に流れてしまい、後続の自動車にそのまま巻き込まれました。その際の自転車が車に引っかかってしまい引きずられました。うまくペダルが外れなかったために僕自身が引きずられる形となりさらにタイヤに巻き込まれて骨折をしました。」
「僕も似たような感じでやはり転倒時にビンディングがうまく外れなかったために、車を避けようにも下半身が自転車と引っ付いた状態でうまく動けずに接触しました。大怪我でにはなりませんでしたが、まさかペダルを外せないとは思ってもいなかったのでショックでしたね。」
「私は左折する車に十分原則できないままに突っ込んでしまいましたね。ボンネットの上に上半身から乗っかる形となってしまったのですが、その際にやはりペダルが外せずに、自転車が跳ねた際に足の腱を切断してしまいました。僕も普段から慣れていたんで油断していましたね。外せないとは思ってもいなかったし、いざという時でも体の向きが変われば外れるだろうぐらいに思っていました。」
3者に共通するのは外せると思っていた過信と、いざという時でも外れるだろうという思い込みだ。実際にはとっさに外せる人も多いだろうし、いざという時でも外れるケースが多いだろう。でもそれは裏を返せばその逆も必ずあるということでもあるのだ。そしてフラットペダルであれば、「外れなかった」というリスクはないということだ。
万が一街中で交通量が多い道路などで、うまく外せずに道路側に倒れたらどうなるだろう。自分が怪我をするだけではすまないのだ。目の前に急に倒れられたとしても自動車の運転手は前方不注意扱いとなり、結果的に迷惑をかけてしまうケースだってあるのだ。あなたが自動車を運転している人であれば、その危険性と怖さは間違いなく理解できるだろう。
最近初心者でもビンディングペダルを履き、都市部で走り回っている姿をよく見かける。もちろんそれはそれでいいと思うし、自分が他者に迷惑をかけるケースが発生しなければ何の問題もない。ただ一つのリスク回避方法として、街中で普段走る際にはフラットペダルで走るというのも一つ選択肢に加えるべきだろう。本格的なロード乗りからすれば「ダサい」と言われるかもしれないが、それでも一つ危険回避ができると考えれば考慮すべきだろう。恰好を優先するのか、リスク回避の一つと考えるのか、それは乗りて次第ではあるが、自衛手段の一つとして考えるべきだろう。
ペダルの交換をしなくても、簡単にビンディングペダルの上からはめ込める簡易フラットペダルなども売っているので、それを利用するのもありだろう。
筆者も原則ロードバイクはフラットペダルで乗ることが多い。それは撮影が多いので何度も止まる機会があること、そして過去にやはり同じくペダルが外れずに転倒時に直ぐに避けられずに車と接触しそうになったことがあることから、あえてフラットペダルを選択している。安全度が増すというのも、趣味を楽しむうえでは重要なファクターとは言えないだろうか。
H.Moulinette