ジロ・デ・イタリア2026第19st:最難関ステージでクスが逃げ集団から独走で勝利!それを追ったジーは総合表彰台争い圏内に浮上、ヴィンゲガードはあえて動かずクスの勝利をアシスト(ダイジェスト動画あり)
総合優勝はヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)がかなり確定的にしている中で、総合表彰台争いは激化している。そしてそれと同時にグランツールの総合トップ10入りというもう一つの栄光を目指す戦いも、ここへきて激しく変動した。そんなステージは、昨日までの総合トップ10メンバ複数名を含むそうそうたるメンバーによる逃げが勃発する。大逆転での総合表彰台入りと言えば、2012年のジロ・デ・イタリアでトーマス・デ・ヘントが大逃げを決め大逆転総合表彰台に上ったことが印象深いが、今回はより総合順位の高い総合トップ10圏内外当たりの選手がそろったことで波乱さえ予感させた。しかしステージ優勝をさらったのはヴィンゲガードの最強アシストにしてブエルタ・ア・エスパーニャ覇者のセップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)だった。これですべてのグランツールでのステージ優勝も達成し、グランツールクラブ入りとなった。

©Giro d’Italia
強豪選手たちはそれぞれの思惑でアタックを繰り返し仕掛けていくが、クスは明確にヴィンゲガードが総合優勝を争いのアタックを仕掛け追いついてきたときのアシストの役割としてこの逃げに乗っていたのだ。その”待ち”の姿勢が脚を大きく温存させた。この日山岳賞ジャージを繰り下げで暫定的に着用していたジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)が、それを自らのものにするため今大会最高峰チマ・コッピのパッソ・ジャウを先頭で通過するなど山岳ポイントを荒稼ぎし、逆転で山岳賞ジャージを確定させていた。そのままステージ優勝も狙おうと頂上ゴールへ向けアタックを決める。逃げの面々に1分以上の差をつけ最後の上りに入ったが、それを背後から切れ味鋭くクスが猛追、さらにそれをデレック・ジー・ウエスト(リドル・トレック)が追う展開となる。

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この日山頂通過でのポイントを稼ぐために動いていたチッコーネはさすがに疲労感から失速、残り2.2㎞でクスは追いつきざまに一気に加速してチッコーネを置き去りにした。その15秒ほど後ろをジーも追走、これまたチッコーネを置き去りにした。ジーはステージ優勝もそうだが逆転での表彰台を狙っており、このステージで大きくタイムを稼ぎたいため最後まであきらめない走りを見せた。結果ステージ優勝はクス、2位にジーが入り総合で5位へとジャンプアップを果たした。チッコーネは3位に入り、その背後にすべての逃げを吸収して上がってきた総合上位勢、フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM)、ヴィンゲガード、ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)が続いた。総合3位だったテイメン・アレンスマン(ネットワーク・イネオス)は苦しみ総合でヒンドリーに逆転を許し4位へと後退した。新人賞争いのアフォンソ・エウラリオ(バーレーン・ヴィクトリアス)は昨日の走りで関東賞ジャージで出走したが、この日も頂上ゴールまで残り8㎞を残して遅れていったが、ここから粘りの走りを続け最大ライバルのダビデ・ピガッツァーリ(ヴィズマ・リースアバイク)に逆転を許さず、1分以上のタイムを維持して見せた。
今大会ヴィズマ・リースアバイクはこれで5勝目、19ステージで5勝という圧倒的存在感を見せ続けながら、総合首位とチーム総合でも圧倒的首位を保ち続けている。ステージ4勝目を挙げた際に、ヴィンゲガードは自信の勝利ではなくクスとピガンツァーリにステージ優勝をさせたいし、そのアシストもすると話していたが、この日はまさに自らがアタックを仕掛けないことでクスに自由を与える選択肢を作って見せた。

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第19ステージは151㎞で獲得標高が5000mを超えるステージ、クライマーたちにとっては総合順位を上げられる可能性があるだけに動くことが予想された。まずこのひ最初のパッソ・デュランで逃げが発生するが、これはヴィズマ・リースアバイクを主体としたメイン集団が吸収、するとここで新たな逃げが決まる。クス、チッコーネ、総合9位のダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)らが飛び出すが、カルーソが入ったことで、総合6位のジー、総合7位のマイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング)らも飛び出していく。この上りでメイン集団は大分裂を起こし、多くの小集団でクリアしていくこととなった。チッコーネは当然先頭で通過し、その後次の山岳ポイントまでに総勢26名の逃げの集団が形成された。マシス・ロンデル(チュードル・プロサイクリング)、アイナー・ルビオ、エンリック・マス(共にモビスター)、イゴール・アリエッタ(UAEチームエミレーツXRG)、ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)らも加わり、強力な布陣が逃げることとなった。
ヴィズマ・リースアバイクはその逃げを常に2分台にとどめ射程圏内で走行を続ける。危険なメンバーが逃げに揃ったが、大きな人数は協調性も難しく、さらに今大会最高峰のパッソ・ジャウが待ち構えることからも、淡々と追走を続けた。
平均勾配9%越えで2233mまで上るパッソ・ジャウは今大会最高峰である証チマ・コッピを冠しており、逃げ集団は徐々に崩れていき、あっという間に8人にまで人数を減らした。ここでもチッコーネが先頭通過、これでヴィンゲガードを逆転し一気に山岳賞トップに躍り出た。メイン集団はこの8人に対し2分25秒遅れで山頂を通過、ひたすらに淡々と追走を続ける。しかしここへきてジーとストーラーがガルの総合表彰台を脅かしかねない状況となり始め、デカスロンCMA・CGMも追走に加わりペースを上げていく。
しかしレッドブルキロメーターで逃げ集団が分裂する。ボーナスタイムを欲しいジーとストーラーがここで競い合い先頭で通過、しかしレッドブルキロメーターランキングでトップのルビオは協調してきたことで自らが取らせてもらえると思っていたにもかかわらず奪われたことに立腹、次の山岳ポイントでチッコーネから山岳ポイントを奪う形で先頭通過してしまう。すると今度はこれに激怒したチッコーネがルビオに文句を言った直後にそのまま下りでアタック、独走態勢でゴールを目指すこととなった。

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怒りに任せてペース配分が狂ったのか、チッコーネは山頂ゴールを前に失速、クスとチームメイトのジーにも抜かれてしまったが、それでも3位でゴール、この日荒稼ぎした山岳ポイントで山岳賞ジャージを自らのものとした。ヴィンゲガードはアタックをすれば一気に先頭にまで追い付けたかもしれないが、あえてそれをすることなく沈黙、クスの勝利をアシストした。
セップ・クス(ステージ1位)
「チームの目標はヴィンゲガードのマリア・ローザ、それがある程度見えてきたので、チームからは逃げに乗っていいといわれていたんだ。こういうチャンスは生かさないとね。こういうチャンスを毎年願ってはいるんだけど、年々レースペースが上がりどんどんトレースが難しくなっていっているし進化が速すぎてなかなか苦戦しているんだよ。でもこうしてここで勝てたことですべてのグランツールでステージ勝利することができた、本当に信じられないよ。ゴール前500mに母がいるのは知っていたのでそれも後押ししてくれたよ。僕はこっち(ヨーロッパ)で暮らしているので、年に僅かしか会えないからね。」
ジロ・デ・イタリア第19ステージ順位
1位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) 4h28’33”
2位 デレック・ジー・ウエスト(リドル・トレック) +13”
3位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +36”
4位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM) +39”
5位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)
6位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +43”
7位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’06”
8位 ダビデ・ピガッツァーリ(ヴィズマ・リースアバイク) +1’11”
9位 アイナー・ルビオ(モビスター) +1’19”
10位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) 75h13’16”
2位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM) +4’03”
3位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +5’04”
4位 テイメン・アレンスマン(ネットワーク・イネオス) +5’33”
5位 デレック・ジー・ウエスト(リドル・トレック) +6’31”
6位 アフォンソ・エウラリオ(バーレーン・ヴィクトリアス) +7’26”
7位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +7’50”
8位 ダビデ・ピガッツァーリ(ヴィズマ・リースアバイク) +8’29”
9位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +9’01”
10位 イーガン・ベルナル(ネットワーク・イネオス) +11’19”
H.Moulinette












