コラム:新しい道路交通法、自転車側にも罰則規定が追加はご存じ?自転車の横を車が追い越す際の距離や速度に規則も、自転車側も車線左側端を走ることが求められることに

Pocket

新たに始まる道路交通法を喜んだサイクリストの方も多いだろう。兼ねてより車が自転車を追い越す際に”怖い”という指摘が上がっており、それによるトラブルも絶えなかった。一番多かったのはぎりぎりの距離間で車に追い越しをかけられたために、自動車と自転車が接触する事故だ。またスポーツサイクルのスピード感を知らないドライバーが早めに車線に戻ることで、自転車ユーザー側からは「幅寄せをされた」と感じられる瞬間も多く、これらは常にトラブルのもとになっていた。

そこへきて、今回の道交法での「自転車を追い越す際には適切な距離と安全な速度を開けて追い越す」はサイクリストたちの間では歓迎されている。ただ実際に道交法を見ると具体的な数値の指定はないので、その内容を詳しく解説していこう。まず適切な距離とはどのくらいのことを指すのだろうか?今回の道交法では具体的な距離の言及はされていない。警察庁は目安として1m以上と説明をしており、これが基準値となるだろう。またこの距離が取れない場合には時速20~30㎞に徐行して追い抜くこと、というのが基準値となっている。つまり道路幅が狭く自動車が追い抜く際に対向車線に大きくはみ出して危険な場合、追い越し禁止中央線(黄色い実線)がある場合など、は、「減速して追い抜く」この場合には1m以上でなければならないという部分は該当しないこととなる。また交通渋滞を招く可能性がある場合もこれに該当しないことになる。あくまでも道路は自動車が優先的であることは変わらない。また自動車が減速して追い越さねばならない場合、交通状態を招く一因に成りかねないことは理解しなくてはならないだろう。

実は今回この法律と同時に自転車側にも同時に新たに法律が加わったのを知らない人が多い。これはサイクリスト側が肝に命じなければいけない部分なので覚えていこう。今回上記の車への法規制に合わせて、「自転車はできる限り道路の左側端を走らねばならない」ということが規定された。実はこれが実は非常に大きな問題になりかねないリスクをはらんでいる。なぜならば多くのサイクリングイベントなどで聞かれるのが、道路端は舗装の状態や段差、グレーチングなどが多く危険であり、怖い人もいると思うのでので、車線の中央よりを走ってください」というアナウンスを聞くことがあるからだ。自転車乗りたちの間では、「危ないと思うところでは道路真ん中付近を走る、というアドバイスは頻繁に聞くものだが、今後これは道交法違反になってしまうということだ。つまりこのアドバイスをすれば道交法違反(被側方通過車義務違反)を助長する発言になってしまうということだ。

ちなみに今回の道交法による自動車のドライバーに対する罰則は、悪質な事故につながったケースなどには3か月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰則、もしくは反則金7000円と減点2点となる。対して自転車側が左側端に寄っていなかったと判断された場合、交通を妨げるような危険運転とみなされた場合5万円以下の罰金、もしくは反則金5000円となっている。

つまり我々サイクリストは、自動車側に厳しくなったと喜んでいる場合ではないのだ。これは同時に我々サイクリスト側にもより厳格に法規制で走行位置が定められたことを意味するのだ。そもそも今回の道交法は、スポーツサイクルでの走行だけを念頭に置いたものではない。自動車側に対する規制に関しては、ママチャリで子供を乗せて走っている母親たちからの声が強かったから改正に繋がったものであり、彼女たちは子供を乗せて車線の中央寄りを走ろうとなど思うことはまずない。対して自転車側に対する規定に関しては、明らかに車線の端ではない車線中央よりを走り、交通の妨げや交通渋滞の原因となっていることが見受けられるスポーツサイクリスト達に対し、ドライバー側からの要望で成立している。

どちらにせよ交通事故の軽減を目的としており、法整備されたことに関してはありがたいことではあるが、今後もサイクリストたちの”常識”が通用しなくなるケースが出てくるということだ。サイクリストたちのハンドサインがドライバーたちに伝わらない(道交法のハンドサインと異なるため)ケース然り、法規制がグレーだったことで自転車界が自前で定めていたルールが、今後はまかり通らなくなっていく可能性を示唆している。

▶自動車などのドライバー:自転車との「間隔に応じた安全な速度」で進行しなければならない(道路交通法18条3項)。
・【自動車等(自動車+一般原動機付自転車)】3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金、反則金(普通車7,000円)、違反点数2点

▶自転車などの運転手:できる限り道路の左側端に寄って通行しなければならない(道路交通法18条4項)。
・【自転車等(特定小型原動機付自転車+軽車両)】5万円以下の罰金、反則金(5,000円)

人間とは勝手なもので、自転車に乗っているときは自動車を邪魔者扱いし、自動車に乗っているときは自転車を邪魔者扱いしてしまう。どうあれ事故なく安全に自転車を楽しんでいってほしい。

H.Moulinette