ミラノ・サンレモ2026:落車も何のその!298㎞の長丁場、6度目の正直でついにポガチャルがミラノ・サンレモを制覇!ピドコックとのマッチスプリントを制し、一人波状攻撃でモニュメント11勝目!

©Milano SanRemo
歴代最強と呼ばれる男が最も苦労してきたレースで、ついにその頂点に立った。喉から手が出るほど欲しかったミラノ・サンレモを、6度目の挑戦でついにタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)が勝利の女神を手繰り寄せた。これでポガチャルはクラシックレースの5大モニュメントのうち4つ目の栄冠を手にして見せた。通算でもモニュメント11勝目となり勝利数でロジャー・デ・フラミニックと並び、モニュメント通算19勝のエディ・メルクスに次ぐ歴代2位タイとした。
ポガチャルとクラシックレースでの最大ライバルマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・プレミアテック)との勝負に注目が集まったが、残り32㎞でポガチャルがまさかの落車に見舞われてしまう。、そしてそれにポガチャルをマークしていたファン・デル・ポエル、ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)らが巻き込まれ落車してしまう。メイン集団のペースが上がっていたタイミングでもあったために、レースはこのまま混戦の様相を見せるかに思われた。しかし破れた世界チャンピオンジャージを身に纏うポガチャルはここから脅威的な猛追を見せ、ペースを上げていたメイン集団に追いつくことに成功する。そしてそこから休む間もなくチームのアシストを受け猛然と攻撃を仕掛け始める。順番にライバルたちを置き去りにしても、攻撃の手を緩めることなくさらなる加速を見せた。

©Milano SanRemo
そんなアタックに最後までついていけたのは、先日のミラノ~トリノを制し最強の挑戦者であるトム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング)のみだった。対して「ただついていくだけでいいんだ。」と語っていたファン・デル・ポエルは今大会3連覇を狙っていたが、落車の際に転びはしなかったが後続のバイクに突っ込まれ左手に深い裂傷を負ってしまい、ハンドルを力を込めて握ることが困難となった。何とかピドコックとともにポガチャルに喰らいつき踏ん張りを見せたが、今年はポガチャルの勝利への飽くなき欲求の前に屈した。

©Milano SanRemo
298㎞の長丁場のレースは9名の逃げがペースを作る。しかしこの日は勝利を狙うチームが明確な意思を持ってメイン集団をコントロールする。UAEチームエミレーツXRG、レッドブル・ボーラハンスグロエ、ピナレロQ36.5 プロサイクリング、アルペシン・プレミアテックら優勝を狙う各チームが逃げとの距離を一定に保ち、大きな仕掛けを許さない。残り100㎞で逃げとメイン集団との差は6分ほど、”10㎞1分”の追走が追いつけるといわれる目安のタイム差から考えれば問題のない範囲であり、ここから徐々にその差は詰まって行き、逃げの最後の3人とメイン集団の差は残り38㎞で遂に1分差を切った。
逃げとの差が40秒まで縮まった残り32㎞でレースは大きな展開を迎える。集団内に位置どっていたポガチャルがきっかけとなり集団の中で落車が発生、これにポガチャルをマークしていた多くの選手が巻き込まれてしまう。メイン集団は逃げを捉えるためにペースが上がっていたこともあり、ポガチャルにとってはこれでレースは終わってしまうという考えが頭の中をよぎる。あっという間にタイム差が1分弱まで広がるが、各チームエース格が遅れたこともありファンデル・ポエルを抱える追走集団、さらにその背後にポガチャルを抱える集団、さらにその後ろにファン・アールトを抱える集団とばらばらの状態それぞれがかなりのハイペースで猛追して集団復帰を図った。
残り27㎞からの勝負所、チプレッサの丘を前に逃げがついに吸収されると、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)らが先頭で仕掛けを始める。すると伸びたメイン集団の最後尾についにポガチャルが追いついてくる。そしてここからポガチャルの逆襲が始まる。メイン集団の間をするりと別次元の走りで順位を上げていくと、残り26㎞で遂に先頭に躍り出る。待っていたブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツXRG)がここで一気にペースを上げメイン集団を破壊し始める。

©Milano SanRemo
さらに残り24.6㎞ではポガチャルの最強アシストとなったアイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG)が一気にペースアップすると集団は一撃で粉々になる。有力選手は何とか耐えしのぐが集団は縦一列となる。そして残り24.1㎞でポガチャルが遂に自らアタックを開始すると、ついていけたのはピドコックとファン・デル・ポエルだけだった。3人はペースは落とさないが協調性のない動きでお互いを警戒するが、残り22㎞でポガチャルはあっさりと更なるアタックを仕掛け揺さぶりをかける。下りでポガチャルはさらに攻めの走りでペースを上げていくとが、下りが得意なピドコックはこれに難なく対応していくが、ファン・デル・ポエルは耐える時間が続く。後続集団との差はおよそ30秒ほどで推移するが、先行する3人に追いつけるほどの協調性を見せることができない。
そして脚を休めつつ後続との差が7秒まで縮み迎えたポッジオの丘で、ポガチャルがさらに攻撃を見せる。残り8.6㎞でついにファン・デル・ポエルが脱落、ポガチャルとピドコックのマッチレースへと展開は移行する。しかしそれでもポガチャルは手を緩めない。さらにアタックを繰り返すが、ピドコックも好調でそれに対応していく。そして力尽きたファン・デル・ポエルは徐々に迫ってきた追走集団に飲み込まれていった。
残り1㎞、駆け引きを始めた二人の背後に迫るのは追走集団から飛び出してきたファン・アールトだが、充分な差があったことから二人は最後の瞬間まで背後を確認しながら駆け引きを続けると、最後は横並びのスプリントで力と力の真っ向勝負を繰り広げた。ゴールラインでは二人ともバイクを投げ出しての勝負となり、ホイール半分差の僅差でポガチャルが念願の勝利を手にした。ゴール後は二人方を組み、お互いの健闘を称えあった。

©Milano SanRemo
タデイ・ポガチャル(優勝):「理想的なレースではなかったね。落車した瞬間は、終わったって一瞬思ったよ。でもすぐに戦列に復帰することができたのと、チームメイトたちがアシストをしてくれたことで、勝利の可能性を取り戻すことができたんだ。あとはマクナルティとデル・トロが最高の仕事をしてくれたからね。攻撃を何度も仕掛けたのは独走したかったからなんだけど、ピドコックがいい走りで最後まで突き放せなかったね。スプリントも僅差だったね。とにかくようやく勝てたよ。ここでの勝利のために毎年調整していたからね。もう一度ミラノ・サンレモに戻ってくることがあるとすれば、それはフォカッチャを食べにだよ。」
トム・ピドコック(2位):「マジ悔しいよ。チャンスは連日来るものではないからね。でもポジティブに捉えるとすれば、ポガチャルと僅差だったし、ポガチャルについていけたのは僕だけだったからね。」
マシュー・ファン・デル・ポエル(8位):「落車の際に僕に後続のバイクが突っ込んできて手を痛めてしまったんだよ。だからそこからは最悪で、無線でも”ハンドルが握れない”と伝えていたんだよ。

©Milano SanRemo
ミラノ・サンレモ2026順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 6h35’49”
2位 トム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング)
3位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リース・ア・バイク) +04”
4位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック)
5位 コルビン・ストロング(MSNサイクリング)
6位 アンドレア・ヴェンダラメ(ジェイコ・アルーラ)
7位 ヤスパー・ストゥーヴェン(ソウダル・クイックステップ)
8位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・プレミアテック)
9位 マッテオ・トレンティン(チュードル・プロサイクリング)
10位 エドアルド・ザンバニーニ(バーレーン・ヴィクトリアス)
H.Moulinette












