ミラノ・サンレモでポガチャルが落車後に破損したフレーム、ディスクブレーキを引きずったまま走り切って優勝していたことが発覚、ポガチャルの凄さと破損して大事故になっていた可能性のリスク
ミラノ・サンレモはポガチャルの驚異的な走りで4つ目のモニュメント制覇を達成したが、その裏で今後議論になりそうな案件が発生していたことが、チームのメカニックの証言で分かった。
ポガチャルはなかなか勝利できなかったミラノ・サンレモに明確に照準を合わせ、貪欲に勝利を狙ってきた。残り32㎞でまさかの落車をし勝利が指の間からするりと逃げたかに思われたが、チームメイトの献身的なアシストに加え、そのあとアタックを繰り返し敢行、下りでもぎりぎりのコーナリングで攻め続け、ピドコックとのゴール勝負へと持ち込んだ末に勝利を手にした。
落車からの復帰時に曲がったブラケットを治すためにハンドルをたたく姿は見られたが、フレーム交換を要求することなくすぐさまバイクに再びまたがり再スタートを切っていた。「まだ諦めない」、そんな強い意志を感じ取れた瞬間だった。
しかしゴール後にチームのメカニックがチェックをしたところ、フレームは破損、ディスクブレーキも引きずった状態だったことが分かった。「レース後にチェックしたら、リアステーが破損していたことが分かったんだ。これが完全に破断しなかったのは運がよかったよ。ポガチャルは破損を知っていたら、下りであそこまで攻められかったと思うよ。あとブレーキも引きずった状態だったんだよ。左側に倒れたんで変速機に破損はなかったけど、クラッシュモードになったので、ポガチャルが自らリセットして走り出したんだよ。大丈夫そうだったからバイク交換しなかったんだよ。」

©Milano SanRemo
明確にわかるほどの破損だったようで、ポガチャルほどの選手が違和感や違いに全く気付かなかったとは考えにくいが、レース中アドレナリンが出まくっている状況で、さらに落車での焦りもあったことを考えれば、気づかなかった可能性は高いといえるだろう。ただしブレーキが引きずっていたのは気づいていた可能性が高く、フレーム側に異常振動などがあったとしても、それがブレーキのせいと考えた可能性は高い。
それを踏まえたうえであの下りでの時速80㎞越えのコーナリングと路面からの衝撃など、非常に強い負荷のかかる状態でフレームが破断しなかったこと、ブレーキがきちんと機能し続けたことには本当に胸をなでおろす。万が一破断などあった場合には、歴代最高の選手が取り返しのつかないような落車、大けがに見舞われていた可能性があったことを考えれば背筋が凍る思いだ。

©Milano SanRemo
カーボンは非常に優れた素材で軽く丈夫に作れることでレース用機材として自転車レースからモータースポーツなどでも多く使われている。中でも自転車競技ではフレームからホイール、ハンドルバーに至るまで、ほぼすべてにカーボン素材が使われている。技術革新により格段に丈夫になってはいるが、カーボンフレームの製造はカーボンレイアップなど手作業の製造工程も多く、100%製造ムラがないとは言えないのだ。またディスクブレーキのせい動力は素晴らしいが、引きずった状態で高速で走行、ディスクローターが過熱すればブレーキング能力が著しく低下する可能性もある。どんなに優れたものであってもの最先端技術への盲目の過信は禁物なのだ。
今後今回のケースは伝説のように語り継がれるだろうが、それは「幸運」も味方した結果だったことは忘れてはならないだろう。レース前から破損があれば乗らないという選択は簡単にできるが、レース中に落車した場合、1秒を競う状況で破損がないという前提のもと(破損があったとしても)で機材交換をしないという選択は、リスクが伴うということは考えなければならない。そうでなくともペラペラのウェア一枚でハイスピードで競うリスキーなスポーツ、今後レース中のリスクを考えた場合にどこまでどんなことを規定していくのか、主催者と競技団体はあらためて考えるきっかけになったかもしれない。
H.Moulinette












