ジロ・デ・イタリア2025第1st:初日から総合勢に大波乱続出!ステージを制したのはピーダースン!初日のマリア・ローザ獲得!ファン・アールトは僅かに届かず2位

開幕したジロ・デ・イタリア第1ステージはアルバニアの大自然の中を駆け抜けた。初日は大人しく進むかに思われたが、ステージ優勝と初日の総合リーダージャージ獲得を狙う各チームが予想をはるかに超えるハイペースの展開をステージ終盤に見せた。主導権を握ったリドル・トレックは、そのまま上りでチームの総合エースのジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)が渾身のペースアップをしたことで、総合上位候補たちの明暗はくっきりと分かれることとなった。

©Giro d’Italia
ステージ優勝はそのお膳立てを最大限に生かしたマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)、負けられない状況でもきっちりとスプリントでワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)を抑えきって初日の勝利と総合リーダーの証、マリア・ローザを獲得した。そしてこの勝利の為にリドル・トレックが仕掛けた容赦なき攻撃が、多くの総合系選手たちを初日にして奈落へと突き落とす結果となった。最大の犠牲者はソウダル・クイックステップのエース、ミケル・ランダ、今大会最初のリタイアとなってしまった。先頭集団に残って迎えたゴールへの下りコーナーでオーバーラン、そのまま道路脇の支柱に突っ込み落車してしまう。苦痛に顔を歪めて倒れるランダは、その後ストレッチャーに乗せられ救急車でコースを後にした。
そしてこの落車にはUAEチームエミレーツXRGのサブエース格であるジェイ・ヴァインの巻き込まれてしまう。同じようにオーバースピードで侵入したが、そこにはすでに落車していたランダのバイクが路上に転がっており、避けきれずに乗り上げる形で落車を喫した。またこれ以外にもデレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)とサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)の2人が先頭集団のペースについていけずに途中の3級山岳で脱落、結果的に初日だけで二人とも1分以上のタイムを失う結果となった。

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新天地へ移籍し、「レースが楽しい」と語るピドコックは、しっかりとステージ5位に入り、総合でも5位、最高の滑り出しとなった。またこの日は36名が先頭と同タイムでゴールし、優勝候補筆頭のプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)も順調な滑り出しとなった。またその対抗馬と目されるホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG)は残り90㎞で落車を喫したが、大きなケガもなく戦列に復帰、最後まで走り切った。
また激しいバトルが繰り広げられているワールドツアー昇格・降格争いも激しさを増している。その中でも今シーズン序盤から圧倒的なポイントの荒稼ぎをしているXDSアスタナがこの日もその目的を着実に遂行して見せた。このステージでトップ10に2人を送り込み、また着実にポイントを積み重ねた。

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オープニングステージはスタートからわずか5㎞で逃げが決まる。その逃げを追うメイン集団は早めに逃げを追い詰める。今大会から導入されたレッドブルの中間スプリントを超えると残り40㎞で吸収、リドル・トレックとヴィズマ・リースアバイクがペースをどんどんと上げていく。すると徐々に集団は削られていき、ここまで耐えしのいできたスプリンターたちが脱落していく。この日はスプリント勝負に持ち込みたいリドル・トレックはエースのチッコーネまでも上りセクションで牽引役として集団先頭で厳しいペースアップを図る。更にマティアス・ヴァチェック(リドル・トレック)が下りでペースアップと、ライバルたちに入る隙を与えない徹底したペースづくりでゴール勝負へと持ち込む。

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そして開始されたスプリント、かなりの長距離からのスプリントとなったが、迫るファン・アールトを間一髪しのぎ切ったピーダースンに軍配が上がった。ピーダースンは今シーズンここまで春のクラシックでマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)とタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)、レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)らに真っ向勝負を挑み、ヘント・ウェヴェレヘムで優勝、ツアー・オブ・フランダースとE3サクソクラシックで2位、パリ~ルーベで3位、ドワース・ドア・フランデーレンで5位、ミラノ・サンレモで7位と確実に結果を積み上げてきたが、ここでもいきなりのステージ優勝と総合リーダージャージ獲得と、これ以上ない最高のシーズンを送っている。

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マッズ・ピーダースン(ステージ1位、総合1位)
「ステージ勝利とマリア・ローザ獲得なんて最高の気分だよ!特にあれだけチームがお膳立てをしてくれたからね。最後もファン・アールトをきっちりマークしたよ。彼みたいな選手は野放しにはできない。自分の間合いだけでは勝ちきれないんだよ。正しく恐れることで、彼を抑えることができたんだよ。グランツールの総合リーダージャージは初めての経験だよ。これは特別だよね。」
ワウト・ファン・アールト(ステージ2位、総合2位)
「山岳だらけの今大会では、このジャージを狙えるチャンスは少ないんだよ。だから今日も狙ったんだよ。 最後の山岳では正直限界だった。ついていくので精いっぱいだったよ。だからこそ2位に終わったことは残念でならない。何とか最後までメイン集団に残れて勝負に持ち込めたのにね。でもそれでも自分が予想していた以上の走りができたので満足だよ。」
ジロ・デ・イタリア第1ステージ順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 3h36’24”
2位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)
3位 オールイ・アルラール(モビスター)
4位 フランチェスコ・ブサット(インターマルシェ・ワンティ)
5位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)
6位 ディエゴ・ウリッシ(XDSアスタナ)
7位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 マックス・プール(ピクニック・ポストNL)
9位 ニコラ・コンチ(XDSアスタナ)
10位 ダビデ・ピガッツォーリ(チームポルティ・ヴィジットマルタ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 3h36’14”
2位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) +04”
3位 オールイ・アルラール(モビスター) +06”
4位 フランチェスコ・ブサット(インターマルシェ・ワンティ) +10”
5位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)
6位 ディエゴ・ウリッシ(XDSアスタナ)
7位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 マックス・プール(ピクニック・ポストNL)
9位 ニコラ・コンチ(XDSアスタナ)
10位 ダビデ・ピガッツォーリ(チームポルティ・ヴィジットマルタ)
H.Moulinette