ツアー・オブ・オマーン2025:ポガチャルの右腕アダム・イェーツが2年連続の制覇!今年も盤石なUAE、総合2位パレ・パントレはエヴァネポエル、総合5位アイデブルックスはヴィンゲガードの右腕となりうるか

今年のロードレースの注目の一つは、誰が歴代最強のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)を止めることができるのか、だろう。しかしまずそれにはその右腕であるこの男、アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG)に匹敵する懐刀を誰が持ち得るかという事だ。そして今年の大会では最終第5ステージでその可能性が垣間見えた。

©Tour of Oman
総合優勝をさらったのはA.イェーツ、最終山頂ゴールで2位となり総合で逆転し2年連続の総合優勝を果たした。その最終ステージで勝利を飾り総合2位に躍進したのはヴァレンティン・パレ・パントレ(ソウダル・クイックステップ)だった。昨年度ジロ・デ・イタリアの第10ステージを独走で山頂ゴールを制したパレ・パントレは、ブエルタでもその山岳での走りで強さを見せた。そのポテンシャルを評価され、AG2Rシトロエンからソウダル・クイックステップへのステップアップを果たした。そして今大会でもその走りでポイント賞と新人賞を獲得し、ステージ優勝と総合2位と予想を上回る結果を残して見せた。

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もう一人気になったのは総合5位となったキアン・アイデブルックス(ヴィズマ・リースアバイク)だ。将来のグランツール総合エースを期待され、昨年度は期待通りジロでは総合リーダージャージを8ステージキープする躍動を見せたがリタイア、ブエルタではCOVID-19に感染しリタイアと少し躓いた感がある。しかしこのレースでは最終的に総合5位を獲得して見せた。ポガチャルの最強ライバルと目されながらも爆発力の無さが弱点とも言われているヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)だが、もしアイデブルックスがアシストとして嵌ればチームの戦略も切れるカードも大きく変わることとなる。
この大会でもソウダル・クイックステップがステージ2勝、ヴィズマ・リースアバイクがステージ2勝、そしてUAEチームエミレーツXRGはステージ勝利こそないが総合優勝と仲良く結果を分け合っている。最強の称号を狙うそれぞれのエースとチームは、グランツールはるか前のこの段階から激しくしのぎを削っている。ジロ開幕は5月、その間にクラシックシーズンを迎えるが、今年の覇権争いはどのチームが握っていくのかが楽しみだ。

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ツアー・オブ・オマーン2025ステージ勝者
第1ステージ:オラフ・クーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
第2ステージ:ルイ・ヴルヴァーク(ソウダル・クイックステップ)
第3ステージ:ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)
第4ステージ:オラフ・クーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
第5ステージ:ヴァレンティン・パレ・パントレ(ソウダル・クイックステップ)
ツアー・オブ・オマーン総合順位
優勝 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG) 21h13’18”
2位 ヴァレンティン・パレ・パントレ(ソウダル・クイックステップ) +06”
3位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +39”
4位 ダミアン・ハウソン(Q36.5プロサイクリング) +1’07”
5位 キアン・アイデブルックス(ヴィズマ・リースアバイク) +1’16”
6位 クリス・ハーパー(ジェイコ・アルーラ) +1’22”
7位 ワウト・ポエルス(XDSアスタナ) +1’23”
8位 エンブレッド・スヴェスタッド・バルソン(アルケアB&Bホテルズ) +1’27”
9位 マルコ・ブレナー(チュードル・プロサイクリング) +1’37”
10位 サイモン・ダルビー(Uno-Xモビリティ) +2.05”
H.Moulinette