ジロ・デ・イタリア第6ステージ:連日の逃げ切り決着!アラフィリップをかわしたサンチェスが劇的勝利!ストラーデ・ビアンケの未舗装路バトルは予想外の展開に
逃げ切りというのはなかなか決まるものではない。でもだからこそ選手たちはギャンブルを仕掛けて挑み続ける。僅かでもそこに可能性があるなら。そうしたアタックは時として思わぬ協調体制が成立、それがメイン集団を最後まで寄せ付けないことがある。元世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)は非常に冷静だった。一緒に逃げていたペラヨ・サンチェス(モビスター)とルーク・プラップ(ジェイコ・アルーラ)に協調して逃げ続けることを提案、これを2人とも快諾したことで一蓮托生の逃げ集団が最後まで逃げ切って見せた。
そんな中勝負はゴール前へ。そしてゴールまでの緩やかなカーブしながらの上りでアラフィリップは最高のインコースを駆け上がった。しかし勝利の女神がほほ笑んだのはその逆サイドを外から強引に駆け抜けたサンチェスだった。自身初のグランツール勝利、今シーズンその存在感を見せている24歳は今シーズンこれが2勝目となった。そして3位に入ったプラップは一時バーチャルリーダーに躍り出たが、結局最終的にはタイムを30秒ほど奪い返した。
ストラーデ・ビアンケでおなじみの白い道、未舗装路区間が待ち受けたこのステージは、序盤からアラフィリップを含む多くのアタックが繰り返された。しかしこれがなかなか決まらず、レースも中判となったころにアルペシン・ドゥクーニンクが集団を分断する動きを見せたことが、逃げを確定させる決定打となった。サンチェス、アラフィリップ、プラップに加え、マッテオ・トレンティン(チュードル・プロサイクリング)、カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)、アンドレア・ヴェンダラメ(デカスロンAG2Rラモンディアル)、フィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアー二CSFファイザネ)画が追う粒子、この日の逃げが確定する。そしてこの逃げは未舗装路区間に突入する段階で3分以上にまでその差を広げ、昨日の段階で2分33秒差の総合21位につけているプラップがバーチャル総合リーダーとなる。
しかしここからイネオス・グレナディアスがペースアップをしメイン集団との差はグングンと近づいていく。そんな中プラップが逃げ集団から飛び出し、これに対応できたのはサンチェスとアラフィリップだけだった。一旦はメイン集団とこの3名の差は縮まったが、アラフィリップの声掛けにより共聴した3名はチームTTのような走りを披露、そこから再び差が開いていく。これでまたもプラップはバーチャル総合リーダーへと躍り出る。だがここから総合リーダージャージをキープし続けているタデイ・ポガチャル擁するUAEチームエミレーツやイネオス・グレナディアス、さらにはスプリントに持ち込みたい各チームが動き出し、残り17.8㎞、最後の未舗装路区間を抜ける頃には逃げのリードは削られタイム差は1分20を切ってくる。
更に先頭ではサンチェスとアラフィリップがコース取りを間違いタイムを失い停止、影響を受けなたっかプラップを必死で追う状況となる。しかしここでも踏ん張り切った逃げは、何とか30秒ほどのタイムを保ったままゴール勝負へと持ち込み、この日一番牽引をしたプラップが脱落、そしてアラフィリップが満を持して仕掛けたが、サンチェスの速さは圧倒的だった。悔しがるアラフィリップだったが、ゴール後はサンチェスに祝福の言葉を投げかけた。
メイン集団は結局視界にとらえた3人を捉まえることができなかった。しかしUAEチームエミレーツとすればマリア・ローザをキープできたことで、満足のいくステージとなった。
ペラヨ・サンチェス(ステージ1位)
「今日は本当にきついステージだった。スタートから常に全開で、ようやく中盤で逃げが決まったけど、その時も全開だった。でもそこでアラフィリップとプラップと協調できたことでタイム差を維持することができたし、逃げを減らすことができたよ。ただ僕はその役にはあまりたたなかったけどね。最後はできる限り引き付けてからゴールスプリントをしたんだ。残ったメンバーの中で最速でよかったよ。」
ルーク・プラップ(ステージ3位)
「きょうはとにかくしんどいすてーじだったよ。常に皆が全開だったからね。でもいいメンバーで協調出来て、僕は総合とステージ狙いの二刀流でいったから、残りの二人よりも多く仕事をすることになったよ。結局UAEがジャージを渡す気がなさそうだったからね。でもまあいい走りができたので満足だよ。」
タデイ・ポガチャル(総合1位)
「じつはプラップにジャージを明け渡してもよかったんだけど、未舗装路区間に入ってからイネオス・グレナディアスがプッシュするから、反応せざるを得なかったんだよ。僕的にはどっちでもOKだったね。でもここを走るのはクラシックのストラーデ・ビアンケの方がいいね。それぞれのチームが違う思惑を持って走るのは難しいね。」
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 ペラヨ・サンチェス(モビスター) 4h01’18”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)
3位 ルーク・プラップ(ジェイコ・アルーラ) +01”
4位 アンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト) +24”
5位 ヨナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアス) +29”
6位 ルーカ・メズゲック(ジェイコ・アルーラ)
7位 クインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)
8位 ニック・シュルツ(イスラエル・プレミアテック)
9位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ)
10位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 23h20’52”
2位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +46”
3位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ) +47”
4位 キアン・アイデブルックス(ヴィズマ・リースアバイク) +56”
5位 アイナー・ルビオ(モビスター)
6位 ロレンツォ・フォーチュナト(アスタナ・カザフスタン) +1’07”
7位 ホアン・ペドロ・ロペス(リドル・トレック) +1’11”
8位 ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ) +1’13”
9位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン) +1’26”
10位 エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)
H.Moulinette