ジロ・デ・イタリア2024第1ステージ:初日からポガチャル劇場開演!しかしゴールスプリンでポガチャルを下したのはナルバエス!大殊勲の初日のマリア・ローザ獲得!総合勢初日から明暗
ついに開幕したジロ・デイタリアは、初日から絶対的優勝候補の史上最強男タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が自らのポリシーである「攻撃は最大の防御」を実演して見せた。これにより総合勢ライバルは早くも明暗がくっきり、タイムを失う選手たちが続出することとなった。しかし初日のステージ勝利と総合リーダーの証マリア・ローザを奪い去ったのは、ヨナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアス)だった。
ゴール手前最後の上りで集団から飛び出したのはスロベニアチャンピオンのポガチャル、エクアドルチャンピオンのナルバエス、そして元ドイツチャンピオンのマックス・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ)、そんな豪華な3人によるゴール勝負となったオープニングステージは、パンアメリカンのジュニアトラックチャンピオンだったナルバエスが、その加速度を見せつけポガチャルを振り切り鮮やかなステージ勝利を奪い去った。自身2020年のジロ・デ・イタリアに続いてのステージ2勝目となるとともに、初日の勝者の特権であるマリア・ローザに袖を通すこととなった。シャフマンはステージ2位、そしてポガチャルはステージ3位に終わったが、総合上位候補であるダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)には11秒、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)には14秒、そして初日いきなりの悪夢となったロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)には57秒と大差をつけ、いきなり総合優勝争いで主導権を握る形となった。
各チームと選手が貪欲に狙う初日のステージ優勝と総合リーダージャージ、毎年激しいぶつかり合いとなるオープニングステージは、今年もグランツールの名に恥じない激戦となった。そしてここに初日の山岳賞ジャージ争いが加わったことで、140㎞のショートステージは終盤に一気に激しい展開となる。山岳賞ジャージを獲得したのはスタートからわずか10㎞で飛び出し逃げに乗ったリリアン・カルメジャーヌ(インターマルシェ・ワンティ)、最後まで逃げ続けこの日最後の山岳ポイントをトップ通過し、ジャージを確定させた。
そんなカルメジャーヌの背後ではUAEチームエミレーツが上りで猛烈なペースアップを図る。これによりサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)、バルデらが順に遅れて行ってしまう。初日からチームを挙げての攻撃態勢はさらに続き、カルメジャーヌを吸収後に新たに発生したカルーソを含む逃げ集団が前方を行く中、最後の上りでポガチャルが猛烈なペースアップでメイン集団から一気に加速していく。あっという間に先行する選手たちを捉えると、そのまま最後の上りをトップ通過し、ゴールまでの下りへと突入していく。この走りに反応できたのはナルバエスただ一人、そして下りに入るとシャフマンも合流し、ハイペースな3人はそのままゴールスプリント勝負へと突入していく。
駆け引きをするポガチャルはタイミングを待ったが、トラック競技出身のナルバエスに対しては仕掛けが遅すぎた。必死にスプリントするポガチャルだったが、結局シャフマンにもかわされこの日は3市に終わった。しかし結果的には総合で早くもライバルたちに対しタイムアドバンテージを築き、納得の初日となった。
ヨナタン・ナルバエス(ステージ1位、総合1位)
「世界最強の男の後を付いていくのは本当にしんどかったよ。それだけで限界だったよ。でも勝利の可能性が見えたから、そこは我慢し続けたよ。ポガチャルは仕掛けが遅すぎたね。疲れてたからあの200mのショートスプリントでなければ勝てなかった。通常初日は個人TTだったり、集団スプリントになるからマリア・ローザを奪える機会なんてそうないからね。今日は運が巡ってきたよ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ3位、総合3位)
「今日はショートステージだったし、チームでうまくコントロールできたよ。最後の上りで一気に仕掛けたけど、最後までナルバエスを振り落とせなかったよ。スプリントが強いのを知っていたので、何とか振り切りたかったんだけどね。今日は僕らの日じゃなかったのかもしれないね。でも明日は僕ら向けのステージなんで、また動くよ。」
ジロ・デ・イタリア第1ステージ順位
1位 ヨナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアス) 3h14’23”
2位 マックス・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
4位 アレックス・バウディン(デカスロンAG2Rラモンディアル) +06”
5位 ニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク) +10”
6位 クインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)
7位 マウリ・ファンセヴェナント(ソウダル・クイックステップ)
8位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 アッティラ・ヴァルター(ヴィズマ・リースアバイク)
10位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヨナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアス) 3h14’13”
2位 マックス・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +03”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +06”
4位 アレックス・バウディン(デカスロンAG2Rラモンディアル) +16”
5位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +17”
6位 ニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク) +18”
7位 クインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク) +20”
8位 マウリ・ファンセヴェナント(ソウダル・クイックステップ)
9位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 アッティラ・ヴァルター(ヴィズマ・リースアバイク)
H.Moulinette