ミラノ・サンレモ2024:過去最高速も大混戦はゴールスプリントで決着、チームプレイでファン・デル・ポエルが勝利狙いからアシストへ素早く切り替えフィリップセンが勝利!ポガチャルは3位表彰台を獲得


©Milano Sanremo
イタリアのもっとの長い一日の一つ、ミラノ・サンレモのもっぱらの話題は、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がいかにしてミラノ・サンレモを制するかだった。しかし昨年度の覇者で現世界チャンピオンのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)、昨年度2位のフィリッポ・ガンナとトム・ピドコック(共にイネオス・グレナディアス)、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)など強豪たちがそれを阻止するべく極めて激しいバトルを展開した。そして例年勝負が決まるポッジオの丘の上りを超えてもそれは続き、最後は自らの勝利からアシストへと何の躊躇もなく役割を変えたファン・デル・ポエルの最強リードアウトから飛び出したヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントを制した。全ての丘を乗り越えてワンデイスペシャリストたちに喰らいついてきたフィリップセンの勝利へのハングリーさが、最後の最後で自らの勝利への道を切り開いた。

©Milano Sanremo
288㎞のレースは過去最速の平均時速46.133㎞という超高速バトルとなった。そんなレースは序盤から逃げが決まるが、勝利を賭けた動きが始まった終盤のチプレッサの丘ではUAEチームエミレーツが積極的に動く。これによりメイン集団は徐々に数を減らしていくが、決定打とはならない。逆にアシストの数を減らしてしまったUAEチームエミレーツは、ポガチャルの前にティム・ウェレンスを残すのみとなってしまう。僅か1枚となってしまったアシストを前に、ポガチャルは攻め手が絞られた展開となる。対してポガチャルを徹底マークしているファン・デル・ポエルは、余裕の走りで目を光らせる。
先行していた逃げは徐々に数を減らし5人となるが、そこにはポルティ・コメタが3人を残しており、イタリア登録のチームがホームで印象的な走りを継続する。ポッジオを前に優勝を狙う面々がばらついた集団の先頭を先導する中、逃げ続けた5人は僅か3人となるが、ファン・デル・ポエルのアシストをしていたフィリップセンがこれに追いつくタイミングで逃げのセルジオ・サミティエ(モビスター)が落車、これにポルティ・コメタの一人が巻き込まれるが、ダビデ・バイスは難を逃れる。下りのブラインドコーナーの先で路面に転がる自転車を避けながらクリアしていくこととなった各選手たちの速度は、ここで一旦緩まることとなる。

©Milano Sanremo
しかしここからも激しいアタックの応酬が続くこととなる。まずは吸収された逃げのデビデ・バイス(ポルティ・コメタ)がアタックを仕掛ける。ポッジオの上りに差し掛かるまでしばらく粘ったが、これが吸収されると一気にウェレンスがペースアップをし、先頭集団は間延びした形となる。40名ほどの大人数が残る中、満を持して頂上まで残り1㎞でポガチャルがアタックを仕掛けるが、ファン・デル・ポエルはこれにしっかりと対応、逃げ切りを許さない。頂上を超え一旦はペースが緩むと、ばらけた後続が合流し12名が最終バトルに名乗りを上げる、だが残り5.8㎞の下りでまたしてもポガチャルがアタックを敢行、ライバルたちの反応が遅れたがこれにもファン・デル・ポエルが何とか対応してそのまま先頭は二人でつづら折れの下りへと入っていく。

©Milano Sanremo
そしてここへきて今度は現在最強のダウンヒラーの呼び声高いピドコックが一気にその差を詰め、ファン・デル・ポエルとポガチャルに追いついてくる。このまま3人で展開するかに思われたが、後続の選手たちも粘りの走りで大きな差が開かない。更にはモホリッチも得意の下りでアタックを仕掛け、速いペースの中でのアタックの応酬は止むことを知らない。
更にゴールが近づくとコントが今度は先頭集団に合流してきたマッテオ・ソブレロ(ボーラ・ハンスグロエ)がするすると抜け出していく。更にはこれにピドコックがまたしても追走アタックを仕掛けて追いつくと、今度はそのまま逃げ切りを図るべくロングスパートを仕掛ける。この段階で後続の集団では役割の配置転換が行われていた。追いついてきたスプリンターのフィリップセンが加速度では最速と判断したアルペシン・ドゥクーニンクは躊躇なくファン・デル・ポエルの役割をエースからアシストへ、フィリップセンをアシストからエースへと切り替えた。

©Milano Sanremo
これが見事にはまりピドコックを猛追すると、ファン・デル・ポエルのアシストから飛び出したフィリップセンが渾身のスプリントでコース左端を駆け上がった行く。マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)がこれに迫るも一歩及ばず、体を投げ出したゴールスプリントをフィリップセンが制した。そしてマシューズの背後に迫ったのは何とポガチャル、勝利こそ逃したがしっかりと3位という結果を残し、笑顔で表彰台に上がった。
フィリップセンは「信じられないよ!だってモニュメントをは誰もが夢見るビッグタイトルだよ!そしてミラノ・サンレモはモニュメントの中で唯一ぼくにもチャンスがあると思っていたんだけど、この勝利はファン・デル・ポエル抜きでは無理だったね。彼がいてくれたおかげで勝つことができたよ。これには感謝しかないよ。でも最後はマシューズがあそこまで力を残しているとは思わなかったね。300㎞走ってのスプリントは変な気分だったよ。」と語り、チーム戦略がこの勝利のカギとなったことに感謝を示した。

©Milano Sanremo
3位に終わったポガチャルだが、レース後のコメントでは、「今までの中で一番簡単なレースだったよ。脚もあったし 、展開も難しくかったしね。でも今回はクライマーレースではなかったんで、勝てなかったよ。」と語った。史上最強の呼び声高い男は、優勝こそ逃したが、スプリンターたちに交じっても結果を残して見せた。
ミラノ・サンレモ2024
優勝 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) 6h14’44”
2位 マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
4位 マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
5位 アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 マクシム・ファン・ギルス(ロット・デスティニー)
8位 ヤスパー・ストゥーヴェン(リドル・トレック)
9位 ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)
10位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)
H.Moulinette
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ
- クリックしてHPへ