ジロ・デ・イタリア2023第14ステージ(ダイジェスト動画あり):第12ステージに続きデンツが逃げ切り勝利!残り100mで先行3人を捉えそのままスプリント勝利!アルミレイルがマリア・ローザ獲得
逃げ切り勝利というのはなかなか難しいものだ。逃げ切り自体が成功する確率が低いうえに、さらに勝利となればさらにその確率は低下する。そんな確立を世界最高峰のジロ・デ・イタリアで2度も成功させたのが、ニコ・デンツ(ボーラ・ハンスグロエ)だ。逃げ続けた上に、先行していた3人をゴール前ギリギリで捉えると、そのまま力強くスプリントでライバル全員を振り切って見せた。好調すぎる男が120%の力を発揮し、悪天候のステージを制した。
そして総合リーダージャージも入れ替わった。逃げに乗ったブルーノ・アルミレイル(グルーパマFDJ)がメイン集団に対して20分近くのタイム差をつけてゴールしたことで、一気に逆転で総合首位に躍り出た。もちろんゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)やプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)らがこの日は体力の温存に努め無理をしなかったことで、譲り渡す形になった。理由がどうあれアルミラルにとってもグルーパマFDJにとってもこれ以上ない結果であり、歴史に名前を刻む一日となった。フランス人としては24年前の名選手ローラン・フィニョン以来となり、チームにとっても獲得は予想外だったようだ。
冷たい雨が選手たちを苦しめた193㎞のこのステージは、前半に山岳があるが残りは平坦、だからこそ逃げ切りが容認される可能性が高かった。そのため序盤から激しく逃げを形成すべく展開が動く。そしてアルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)、デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)、アルミラル、デンツに加え、山岳賞ジャージを狙うダビデ・バイス(エオロコメタ・サイクリングチーム)ら強力な布陣は、それぞれの思惑を抱えながらもペースが上がり、あっという間に楮kのメイン集団との差は二桁の10分を超えていく。
しかし残り50㎞で、ステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス)、トム・スクインス(トレック・セガフレド)、ダビデ・バレリー二(ソウダル・クイックステップ)、ローレンス・レックス(インターマルシェ・サーカス・ワンティ)の4人が抜け出していく。ここからはこの4人と追走の逃げ集団との追いかけっこが最後まで続いた。その背後のメイン集団は、バーチャルでアルミレイルにマリア・ローザが写ってもお構いなしにマイペースで走り続ける。
先頭の4人からレックスが脱落3名となる中で、追走集団では激しく追走アタックが繰り返されたが、最終的にデンツ、ベッティオール、ジーら4名が猛追を仕掛ける。脱落したレックスを加え5人となった追走は、なんと先行する3名を残り500mで捉えると、そのまま一気にスプリント勝負へとなだれ込んでいく。逃げ続けた3名は消耗が激しくそれに対応できない中で、すでにステージ勝利を挙げテンション高いデンツはパワフルなスプリントでライバルたちを引き離す。しかしそれにジーが最後まで食らいつき、最後は差を詰めたが僅かに及ばず、デンツが今大会2勝目を挙げた。しかし2位に入ったジーも初めてのジロ出場ですでに3度目の2位獲得、「僕の方がこれっぽち弱かったね。」と笑顔で指でその差を示しながらも、悔しさをにじませた。
メイン集団はそのはるか後方でゆったりとゴール、総合リーダーを明け渡してでも悪天候で無理をしないことに徹した。総合リーダーに躍り出たアルミレイルは2位のトーマスに1分41秒の差をつけてのマリア・ローザ、記録に大きくその名を刻んだ。
ジロ・デ・イタリア第14ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第14ステージ順位
1位 ニコ・デンツ(ボーラ・ハンスグロエ) 4h37’30”
2位 デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)
3位 アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)
4位 ローレンス・レックス(インターマルシェ・サーカス・ワンティ) +01”
5位 ダビデ・バレリー二(ソウダル・クイックステップ)
6位 トム・スクインス(トレック・セガフレド) +04”
7位 マウリス・メイホファー(チームDSM) +10”
8位 ステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス) +20”
9位 アンドレア・パスカロン(バーレーン・ヴィクトリアス) +50”
10位 ミルコ・マエストリ(エオロコメタ・サイクリングチーム)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ブルーノ・アルミレイル(グルーパマFDJ) 56h17’01”
2位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +1’41”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’43”
4位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’03”
5位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) +2’23”
6位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +3’09”
7位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +3’33”
8位 エドワード・ダンバー(ジェイコ・アルーラ) +4’13”
9位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +4’26”
10位 ローレンス・デ・プラス(イネオス・グレナディアス) +4’49”
H.Moulinette